【9章】脆弱
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「体育祭、お疲れさん」
ソファで寝転んでいると相澤さんがコーヒーを持ってきてくれた。
「ありがとう」
カップを手に取り、両手で包んだ。
入れ立てなので温かいを通り越してちょっと熱い。
寝転んでいた身体を起こして、隣に相澤さんが座るスペースを空けた。
「ごめんね、体育祭・・・」
「何がだ」
「途中棄権しちゃって」
あんな結末になるなんて。
相澤さんの立場を考えたら今更ながら申し訳なくなった。
「もっと頑張れば良かった。私は皆と同じ立場じゃないし」
「来年もあるから次頑張ればいいさ」
「でも、相澤さん私のせいで他の先生に責められたりしてない?」
それが一番心配だった。
優勝して当たり前の私がこんな結果になってしまったのだ。
「大丈夫だ」
「本当にほんと?」
「ああ」
「私、相澤さんに恩を仇で返すようなことだけはしたくない・・・」
ソファに上げていた足を両腕で抱え込んで丸くなると、相澤さんは私の頭に手を置いた。
「何も心配しなくていい。名前は次の職場体験を楽しみにしてろ」
「職場体験?」
私は首を捻った。
********
さすがに今日ばかりは名前も疲れたようだ。
ソファで項垂れているのでコーヒーを持っていくとそれを受け取った。
初めの頃は口に入れるものは空腹を満たせれば何でもいいと言っていた彼女も、最近は食事を選ぶようになった。
料理をし出してからだろうか。
飲み物もその日によって気分で変えているようだ。
だから棚には最近コーヒー以外にも紅茶や緑茶など色々種類が増えていっている。
そして俺も名前に合わせているので嗜好が少し変わった。
「ごめんね、体育祭・・・」
脳裏には名前の泣き顔が蘇った。
名前は俺の立場をひどく気にしていた。
当然あの後どうなったのか詰問されたわけだが、体調不良で押し通した。
訝しむ者もいたが、体育祭のおかげでそこまで深く突き詰められることはなかった。
喰種が人間を食べるだなんて、とてもじゃないが報告できない。
この事実が他に漏れれば、名前はすぐさま警察に引き渡されてしまう。
何としてでもこの秘密は守らねばならなかった。
俺はもう"名前の情報を引き出すためのイレイザーヘッド"ではなく、"名前を守るための相澤消太"になっていることを十分に自覚していた。
ソファで寝転んでいると相澤さんがコーヒーを持ってきてくれた。
「ありがとう」
カップを手に取り、両手で包んだ。
入れ立てなので温かいを通り越してちょっと熱い。
寝転んでいた身体を起こして、隣に相澤さんが座るスペースを空けた。
「ごめんね、体育祭・・・」
「何がだ」
「途中棄権しちゃって」
あんな結末になるなんて。
相澤さんの立場を考えたら今更ながら申し訳なくなった。
「もっと頑張れば良かった。私は皆と同じ立場じゃないし」
「来年もあるから次頑張ればいいさ」
「でも、相澤さん私のせいで他の先生に責められたりしてない?」
それが一番心配だった。
優勝して当たり前の私がこんな結果になってしまったのだ。
「大丈夫だ」
「本当にほんと?」
「ああ」
「私、相澤さんに恩を仇で返すようなことだけはしたくない・・・」
ソファに上げていた足を両腕で抱え込んで丸くなると、相澤さんは私の頭に手を置いた。
「何も心配しなくていい。名前は次の職場体験を楽しみにしてろ」
「職場体験?」
私は首を捻った。
********
さすがに今日ばかりは名前も疲れたようだ。
ソファで項垂れているのでコーヒーを持っていくとそれを受け取った。
初めの頃は口に入れるものは空腹を満たせれば何でもいいと言っていた彼女も、最近は食事を選ぶようになった。
料理をし出してからだろうか。
飲み物もその日によって気分で変えているようだ。
だから棚には最近コーヒー以外にも紅茶や緑茶など色々種類が増えていっている。
そして俺も名前に合わせているので嗜好が少し変わった。
「ごめんね、体育祭・・・」
脳裏には名前の泣き顔が蘇った。
名前は俺の立場をひどく気にしていた。
当然あの後どうなったのか詰問されたわけだが、体調不良で押し通した。
訝しむ者もいたが、体育祭のおかげでそこまで深く突き詰められることはなかった。
喰種が人間を食べるだなんて、とてもじゃないが報告できない。
この事実が他に漏れれば、名前はすぐさま警察に引き渡されてしまう。
何としてでもこの秘密は守らねばならなかった。
俺はもう"名前の情報を引き出すためのイレイザーヘッド"ではなく、"名前を守るための相澤消太"になっていることを十分に自覚していた。
