【8章】日常
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本日の業務を終え、食堂へと足を運んだ。
名前は自習室で勉強しているのだろう。
生徒達の下校時刻はとっくに過ぎている。
最近は俺が夕食を終わらせると連絡を入れて、そこから裏門近くで合流し、一緒に帰宅する流れだ。
名前と一緒に食事を取れなくなったので、わざわざ俺の分まで作らなくてもいいと言ったが、栄養に難があるとのことで却下された。
「お疲れ様です」
まだ残っていたランチラッシュに声を掛けた。
「やあ、相澤先生。お疲れ様」
「今日はカレーですか」
「ふふふ」
「・・・どうかしたんですか?」
急に笑い出したランチラッシュを後目にカレーが入った皿をトレーに乗せて席についた。
自由に動かない腕をゆっくり動かし、一口運んで咀嚼した。
なおも半笑いのランチラッシュ。
「美味しい?」
「はい」
「それね、名前ちゃんが作ったんだよ」
「名前が?」
俺はスプーンを口に運ぶ動作を止めた。
「料理を学びたいって僕のところに弟子入りしに来たんだよ」
「昨日もお粥を作ってくれたんですよ」
「相澤先生がそうなってしまったから少しでも役に立ちたいみたいだよ」
「そうだったんですか」
正直、複雑な思いだった。
嬉しい反面、勉強についていくのがやっとな名前。
「・・・ごちそうさまでした」
皿を返却した俺は携帯で帰宅する旨の連絡を入れた。
********
「お待たせ」
裏門で待っているとスクールバッグを肩に掛けた名前が現れた。
「お疲れ」
並んで歩く帰り道。
生徒に見られないように細心の注意を払って歩く。
「今日のカレー、名前が作ったんだな」
「うん。切って煮込むだけだから簡単だった。美味しかった?」
「ああ。だが、俺の為に無理しなくていいぞ」
「無理なんてしてないよ」
「・・・勉強大変だろう?」
「でも、休みの日とか私が作りたいなって」
「俺がこんなんだからか?」
ギプスに巻かれた腕を上げてみせた。
「それももちろんあるけど、料理って面白いなって思って」
そうか。
彼女は抑圧されていた分、今色んなものに興味を持っているのだ。
きっかけは俺の状態かもしれないが、一度やってみた結果料理が気になるのだろう。
学業の支障になりそうならその時はまた考えればいい。
出来る限り意思を尊重してやりたかった。
「じゃあ今度は筑前煮楽しみにしてる」
「うん!任せて」
パッと明るい笑顔を咲かせた。
急に放課後の一件を思い出した。
「そういえば・・・轟とはどうなったんだ?」
「へ!?」
平静を装って尋ねるが、内心少し焦っている。
「男女交際するなとは言わんが」
「まさか!ありえないよ」
食い気味に俺の言葉に被せてきた。
「第一、私この世界の人間じゃないんだよ?恋人なんて作ったら相手に迷惑になるよ」
見てたなんて相澤さん趣味悪い、と悪態をつかれるが軽く躱した。
「見てたんじゃなく見えたんだ。じゃあ断ったのか?」
「だから!そもそも告白じゃないし」
「何の話だったんだ?」
しつこすぎるな、と自分に辟易した。
しかし名前のことは把握しておかなければならないと自分に都合のいい建前を作った。
「明日、体育祭の訓練に付き合って欲しいって言われただけだよ」
「わざわざそれだけを言いに中庭に?」
「もう!それはあれだよ!轟くんシャイだから」
確かに轟は他のクラスメイトとあまり馴染んでいない様子だった。
しかし名前の言い分には少し違和感がある。
「私だって、ちょっと告白かな~って思ったからね!」
大きく身振りする名前は何かをごまかしているようだったが、これ以上は聞かないことにした。
"恋人を作ったら迷惑になる"と言い放った名前に今更だが俺は心の中で「そんなことない」と答えておいた。
名前は自習室で勉強しているのだろう。
生徒達の下校時刻はとっくに過ぎている。
最近は俺が夕食を終わらせると連絡を入れて、そこから裏門近くで合流し、一緒に帰宅する流れだ。
名前と一緒に食事を取れなくなったので、わざわざ俺の分まで作らなくてもいいと言ったが、栄養に難があるとのことで却下された。
「お疲れ様です」
まだ残っていたランチラッシュに声を掛けた。
「やあ、相澤先生。お疲れ様」
「今日はカレーですか」
「ふふふ」
「・・・どうかしたんですか?」
急に笑い出したランチラッシュを後目にカレーが入った皿をトレーに乗せて席についた。
自由に動かない腕をゆっくり動かし、一口運んで咀嚼した。
なおも半笑いのランチラッシュ。
「美味しい?」
「はい」
「それね、名前ちゃんが作ったんだよ」
「名前が?」
俺はスプーンを口に運ぶ動作を止めた。
「料理を学びたいって僕のところに弟子入りしに来たんだよ」
「昨日もお粥を作ってくれたんですよ」
「相澤先生がそうなってしまったから少しでも役に立ちたいみたいだよ」
「そうだったんですか」
正直、複雑な思いだった。
嬉しい反面、勉強についていくのがやっとな名前。
「・・・ごちそうさまでした」
皿を返却した俺は携帯で帰宅する旨の連絡を入れた。
********
「お待たせ」
裏門で待っているとスクールバッグを肩に掛けた名前が現れた。
「お疲れ」
並んで歩く帰り道。
生徒に見られないように細心の注意を払って歩く。
「今日のカレー、名前が作ったんだな」
「うん。切って煮込むだけだから簡単だった。美味しかった?」
「ああ。だが、俺の為に無理しなくていいぞ」
「無理なんてしてないよ」
「・・・勉強大変だろう?」
「でも、休みの日とか私が作りたいなって」
「俺がこんなんだからか?」
ギプスに巻かれた腕を上げてみせた。
「それももちろんあるけど、料理って面白いなって思って」
そうか。
彼女は抑圧されていた分、今色んなものに興味を持っているのだ。
きっかけは俺の状態かもしれないが、一度やってみた結果料理が気になるのだろう。
学業の支障になりそうならその時はまた考えればいい。
出来る限り意思を尊重してやりたかった。
「じゃあ今度は筑前煮楽しみにしてる」
「うん!任せて」
パッと明るい笑顔を咲かせた。
急に放課後の一件を思い出した。
「そういえば・・・轟とはどうなったんだ?」
「へ!?」
平静を装って尋ねるが、内心少し焦っている。
「男女交際するなとは言わんが」
「まさか!ありえないよ」
食い気味に俺の言葉に被せてきた。
「第一、私この世界の人間じゃないんだよ?恋人なんて作ったら相手に迷惑になるよ」
見てたなんて相澤さん趣味悪い、と悪態をつかれるが軽く躱した。
「見てたんじゃなく見えたんだ。じゃあ断ったのか?」
「だから!そもそも告白じゃないし」
「何の話だったんだ?」
しつこすぎるな、と自分に辟易した。
しかし名前のことは把握しておかなければならないと自分に都合のいい建前を作った。
「明日、体育祭の訓練に付き合って欲しいって言われただけだよ」
「わざわざそれだけを言いに中庭に?」
「もう!それはあれだよ!轟くんシャイだから」
確かに轟は他のクラスメイトとあまり馴染んでいない様子だった。
しかし名前の言い分には少し違和感がある。
「私だって、ちょっと告白かな~って思ったからね!」
大きく身振りする名前は何かをごまかしているようだったが、これ以上は聞かないことにした。
"恋人を作ったら迷惑になる"と言い放った名前に今更だが俺は心の中で「そんなことない」と答えておいた。
