【8章】日常
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「いやいやいやいや、無理でしょ!」
私は病室のベッドに相澤さんを押し付けた。
「体育祭が迫ってるんだ。悠長にしてられん」
無理に退院しようとする相澤さんとそれを阻止する私。
「そんなん相澤さんいなくてもみんな適当にやるよ!」
私の言葉に相澤さんの目がぎゅんっと開いた。
「うちの体育祭はそんな生温いもんじゃねぇ。将来が掛かってると言っても過言じゃない」
「そんな大げさな・・・」
「ヒーローが見に来るんだ。自分をここでアピールできるかどうかで将来のスカウトにも大きく関わる」
「へー・・・」
「何、他人事みたいな反応してんだ。お前もだぞ」
「はーい」
ぶっちゃけ、今はそんなことどうでもいい。
そりゃ重要なのは分かるけど、無理して相澤さんに悪化して欲しくなかった。
結局、押し問答は繰り返され、見かねた校長がリカバリーガールの元へ通う事を条件に退院を許可した。
「私の能力が回復系だったら良かったのに」
そうしたら相澤さんが無茶しても私が治してあげられる。
「気持ちだけ受け取っとく」
とにもかくにも、相澤宅へ一緒に帰れることは嬉しかった。
「名前ちゃん、相澤くんのことしっかり監視してあげてね」
「ミッドナイト先生、了解です!」
ビシッと敬礼ポーズをミッドナイトさんに向けた。
********
久しぶりの帰宅。
私自身相澤さんの病室に張り付いていたので、相澤さんと同じタイミングでの帰宅だ。
「やってほしいことあったら言ってね」
「何か食うか」
今日は学校が休みなのでランチラッシュのご飯がない。
自分達で調達しなければならないが、相澤さんは使い物にならない。
「まぁ飲料ゼリーしかないがな」
そういえば、小さい頃私が熱を出した時はお母さんお粥を作ってくれたような・・・?
私は飲料ゼリーでいいにしても、相澤さんは今が回復するのにとって大事な時期である。
飲料ゼリーだけではいけないことだけは分かった。
「私作る!!!!!」
ギョッとした様子で私を止める相澤さんの言葉は耳に届かなかった。
「大丈夫!ネットで調べればなんとかなるよ!」
砂藤くんが料理サイトを見ていたのを思い出し、私はスマホを取り出して検索機能を使った。
「本当に大丈夫なのか・・・?」
相澤さんが冷や汗を掻きながら、私の背中に向かって呟いていたことには気づかなかった。
*******************
「お粥より雑炊の方が栄養取れそう・・・?」
スマホと格闘している名前の様子をソファに座りながら眺めた。
「残念だが冷蔵庫にはほとんど何もないぞ」
「あ、そっか・・・」
名前はお粥にすることに決めたらしい。
正直、熱はないのでお粥である必要はないのだが、せっかくの厚意を反故にするのは気が引けた。
それにまあ、自分の為に頑張ろうとしてくれる後ろ姿を見ているのは悪くなかった。
「うわ、ほんとに何もない。玉子と白米で何とかなるかな・・・?」
冷蔵庫を開けた名前が呟いた。
「だしってある?」
「だし?」
「ここに書いてある」
「そういや、鍋したときの余りがあるな」
名前はネットのレシピを俺に見せた。
「相澤さんは座ってて!指示だけ頂戴」
ソファから立ち上がろうとする俺を押さえつけて、キッチンへ戻った。
「確か、右の戸棚に入れた気がする」
「これ?」
名前は適当に物を掲げて見せた。
「違う、それは塩だ」
「じゃぁこれ?」
「それも違う」
「もー、全部持ってくからちょっと待ってて」
粥一つにこんなに時間がかかるなんて。
だが、不思議とイラつきなどはなく、むしろ平和な日常を思わせてくれた。
色々抱えて持ってきた中からだしを取り出してやると満足そうにそれを調理台の上に置いた。
「よし、やるぞ」
腕捲りをした名前はスマホ片手にIHの電源を入れた。
俺自身も料理はしないのでアドバイスなんてものはできないが、火加減とか大丈夫なのか不安になって、様子を伺おうとすると怒られた。
「相澤さんは座っててってば!」
「味見係りはいらないのか?」
「味見?」
「料理は出来上がる前に味を微調整する為に少し食べるんだよ」
「なるほど・・・」
自分は味が分からないから、俺に頼むしかない。
名前は納得した様子で俺が隣に立つことを許可した。
「本当に、料理初めてなのか?」
正直、失敗作を食べる覚悟をしていた。
これも彼女のためだと思って。
「初めてだよ」
しかし、コンロの上でぐつぐつ煮立っているのはどこからどう見ても卵粥だ。
確かに難易度は低いかもしれないが、それでも初めて料理をするなら失敗してもおかしくはない。
「分量もちゃんと書いてるから守れば問題ないでしょ。写真だってついてるし」
スマホを確認して、煮立たせる時間まではかっている。
「もうそろそろかな。はい、相澤さん」
一口分スプーンに掬って俺の口元まで持ってきた。
ぱくりと口に含めば、だしの味が程よく効いていた。
「・・・美味い」
「ほんと?」
俺が気を遣っているんじゃないかと思っているのだろう。
その表情が疑っているようだった。
「ああ。本当に美味しい。嘘じゃない」
「良かったぁ!!」
満面の笑みにドキリとした。
名前は火を止めると器にお粥を移した。
「冷めないうちに早く食べて」
テーブルについて、俺達は手を合わせた。
私は病室のベッドに相澤さんを押し付けた。
「体育祭が迫ってるんだ。悠長にしてられん」
無理に退院しようとする相澤さんとそれを阻止する私。
「そんなん相澤さんいなくてもみんな適当にやるよ!」
私の言葉に相澤さんの目がぎゅんっと開いた。
「うちの体育祭はそんな生温いもんじゃねぇ。将来が掛かってると言っても過言じゃない」
「そんな大げさな・・・」
「ヒーローが見に来るんだ。自分をここでアピールできるかどうかで将来のスカウトにも大きく関わる」
「へー・・・」
「何、他人事みたいな反応してんだ。お前もだぞ」
「はーい」
ぶっちゃけ、今はそんなことどうでもいい。
そりゃ重要なのは分かるけど、無理して相澤さんに悪化して欲しくなかった。
結局、押し問答は繰り返され、見かねた校長がリカバリーガールの元へ通う事を条件に退院を許可した。
「私の能力が回復系だったら良かったのに」
そうしたら相澤さんが無茶しても私が治してあげられる。
「気持ちだけ受け取っとく」
とにもかくにも、相澤宅へ一緒に帰れることは嬉しかった。
「名前ちゃん、相澤くんのことしっかり監視してあげてね」
「ミッドナイト先生、了解です!」
ビシッと敬礼ポーズをミッドナイトさんに向けた。
********
久しぶりの帰宅。
私自身相澤さんの病室に張り付いていたので、相澤さんと同じタイミングでの帰宅だ。
「やってほしいことあったら言ってね」
「何か食うか」
今日は学校が休みなのでランチラッシュのご飯がない。
自分達で調達しなければならないが、相澤さんは使い物にならない。
「まぁ飲料ゼリーしかないがな」
そういえば、小さい頃私が熱を出した時はお母さんお粥を作ってくれたような・・・?
私は飲料ゼリーでいいにしても、相澤さんは今が回復するのにとって大事な時期である。
飲料ゼリーだけではいけないことだけは分かった。
「私作る!!!!!」
ギョッとした様子で私を止める相澤さんの言葉は耳に届かなかった。
「大丈夫!ネットで調べればなんとかなるよ!」
砂藤くんが料理サイトを見ていたのを思い出し、私はスマホを取り出して検索機能を使った。
「本当に大丈夫なのか・・・?」
相澤さんが冷や汗を掻きながら、私の背中に向かって呟いていたことには気づかなかった。
*******************
「お粥より雑炊の方が栄養取れそう・・・?」
スマホと格闘している名前の様子をソファに座りながら眺めた。
「残念だが冷蔵庫にはほとんど何もないぞ」
「あ、そっか・・・」
名前はお粥にすることに決めたらしい。
正直、熱はないのでお粥である必要はないのだが、せっかくの厚意を反故にするのは気が引けた。
それにまあ、自分の為に頑張ろうとしてくれる後ろ姿を見ているのは悪くなかった。
「うわ、ほんとに何もない。玉子と白米で何とかなるかな・・・?」
冷蔵庫を開けた名前が呟いた。
「だしってある?」
「だし?」
「ここに書いてある」
「そういや、鍋したときの余りがあるな」
名前はネットのレシピを俺に見せた。
「相澤さんは座ってて!指示だけ頂戴」
ソファから立ち上がろうとする俺を押さえつけて、キッチンへ戻った。
「確か、右の戸棚に入れた気がする」
「これ?」
名前は適当に物を掲げて見せた。
「違う、それは塩だ」
「じゃぁこれ?」
「それも違う」
「もー、全部持ってくからちょっと待ってて」
粥一つにこんなに時間がかかるなんて。
だが、不思議とイラつきなどはなく、むしろ平和な日常を思わせてくれた。
色々抱えて持ってきた中からだしを取り出してやると満足そうにそれを調理台の上に置いた。
「よし、やるぞ」
腕捲りをした名前はスマホ片手にIHの電源を入れた。
俺自身も料理はしないのでアドバイスなんてものはできないが、火加減とか大丈夫なのか不安になって、様子を伺おうとすると怒られた。
「相澤さんは座っててってば!」
「味見係りはいらないのか?」
「味見?」
「料理は出来上がる前に味を微調整する為に少し食べるんだよ」
「なるほど・・・」
自分は味が分からないから、俺に頼むしかない。
名前は納得した様子で俺が隣に立つことを許可した。
「本当に、料理初めてなのか?」
正直、失敗作を食べる覚悟をしていた。
これも彼女のためだと思って。
「初めてだよ」
しかし、コンロの上でぐつぐつ煮立っているのはどこからどう見ても卵粥だ。
確かに難易度は低いかもしれないが、それでも初めて料理をするなら失敗してもおかしくはない。
「分量もちゃんと書いてるから守れば問題ないでしょ。写真だってついてるし」
スマホを確認して、煮立たせる時間まではかっている。
「もうそろそろかな。はい、相澤さん」
一口分スプーンに掬って俺の口元まで持ってきた。
ぱくりと口に含めば、だしの味が程よく効いていた。
「・・・美味い」
「ほんと?」
俺が気を遣っているんじゃないかと思っているのだろう。
その表情が疑っているようだった。
「ああ。本当に美味しい。嘘じゃない」
「良かったぁ!!」
満面の笑みにドキリとした。
名前は火を止めると器にお粥を移した。
「冷めないうちに早く食べて」
テーブルについて、俺達は手を合わせた。
