【7章】過去
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「まぁ、ざっとこんな感じ・・・」
あの後、おじいさんがどうなったのかずっと気がかりだった。
数年後に訪ねてみたが、家は廃墟と化し、畑も荒れ放題でとても人が住んでいる様子はなかった。
病室に掛かった時計を見ると長針は軽く一周していた。
そう、私は人間が嫌いだった。
憎くて憎くて仕方がなかったはずなのに。
この世界に来る少し前から感情が揺れた。
"ここを無事に出られたら今度一緒にご飯でも食べましょうか"
中性的な顔立ちをした人間の彼が言った"今度"が来るかどうかは分からない。
だって私は世界を飛び越えてしまったから。
それに、もうあの世界に戻りたいとも思えない。
「名前は・・・」
一方的に話していたので相澤さんの声は随分久しぶりに聞いた気がした。
途中、寝ているのではないかと思うほど静かだった。
「今でも人間が嫌いか?」
その問いかけにはすぐに答えることができなかった。
私は逡巡した後、口を開いた。
「・・・・・・ここに来るちょっと前、私は喰種に裏切られて人間に助けられたの」
「そういえば喰種と戦ってたって言ってたな」
「相澤さんにも助けてもらった」
人間は嫌い。
そう思ってたはずなのに。
「今はそうでもない・・・かも」
人間自体を好きになったわけではない。
でも目の前の相澤さんには全てを捧げてもいい。
そう思えるぐらいには全てを憎んでいたあの頃とは変わっていた。
「ところで、俺の質問に答えていないように思えるのだが?」
「ああ!相澤さん、死にかけてたから私の血を流し込んだんだよね」
ほら、回復力高いから。
そこまで言っても相澤さんはピンときていないようだった。
「過去にね、喰種の臓器を移植した人間が喰種化しちゃったケースがあるの。喰種化したら、ほら。人間しか食べられなくなるでしょ?」
ここでようやく合点がいったらしい。
「つまり、名前の血を摂取した俺が喰種化したら、人間しか食べられなくなってたということか?」
「そういうこと。飢餓状態になったら無差別に人間を襲うから、起きてすぐに確認する必要があったの」
相澤さんは口を閉ざしてしまった。
つとめて明るく事実を伝えたつもりだったが、やはり常に冷静な相澤さんでも喰種化する可能性があったと知ってショックだったのだろうか。
「あれ・・・?失神しちゃった?」
「してない」
包帯ぐるぐるすぎて起きているのか分からない。
私が様子を伺うと切れ味のよい反応が返ってきた。
「・・・・・・ありがとう」
「へ?」
まさかお礼を言われるとは思っていなかったので、間抜けな声が出てしまった。
「何でお礼?」
「むしろ助けて貰って何でお礼を言わないんだ?」
「もしかしたらそんなことしなくても助かってたかもしれないし」
「"たられば"は好かん。が、あえていうなら名前が血を分けてくれなかったら死んでたかもしれん」
「そうかもだけど、喰種化してたら生きてても地獄だったよ、きっと」
「その時はその時だ」
おじいさんと同じことを言うんだな。
もしかしたら責められるかもと思っていた。
でも心のどこかで相澤さんなら受けれてくれるかもしれないという期待もあった。
私の期待に相澤さんは応えてくれた。
この人のために生きよう。
さっき芽生えたこの気持ちを後押ししてくれているようだった。
あの後、おじいさんがどうなったのかずっと気がかりだった。
数年後に訪ねてみたが、家は廃墟と化し、畑も荒れ放題でとても人が住んでいる様子はなかった。
病室に掛かった時計を見ると長針は軽く一周していた。
そう、私は人間が嫌いだった。
憎くて憎くて仕方がなかったはずなのに。
この世界に来る少し前から感情が揺れた。
"ここを無事に出られたら今度一緒にご飯でも食べましょうか"
中性的な顔立ちをした人間の彼が言った"今度"が来るかどうかは分からない。
だって私は世界を飛び越えてしまったから。
それに、もうあの世界に戻りたいとも思えない。
「名前は・・・」
一方的に話していたので相澤さんの声は随分久しぶりに聞いた気がした。
途中、寝ているのではないかと思うほど静かだった。
「今でも人間が嫌いか?」
その問いかけにはすぐに答えることができなかった。
私は逡巡した後、口を開いた。
「・・・・・・ここに来るちょっと前、私は喰種に裏切られて人間に助けられたの」
「そういえば喰種と戦ってたって言ってたな」
「相澤さんにも助けてもらった」
人間は嫌い。
そう思ってたはずなのに。
「今はそうでもない・・・かも」
人間自体を好きになったわけではない。
でも目の前の相澤さんには全てを捧げてもいい。
そう思えるぐらいには全てを憎んでいたあの頃とは変わっていた。
「ところで、俺の質問に答えていないように思えるのだが?」
「ああ!相澤さん、死にかけてたから私の血を流し込んだんだよね」
ほら、回復力高いから。
そこまで言っても相澤さんはピンときていないようだった。
「過去にね、喰種の臓器を移植した人間が喰種化しちゃったケースがあるの。喰種化したら、ほら。人間しか食べられなくなるでしょ?」
ここでようやく合点がいったらしい。
「つまり、名前の血を摂取した俺が喰種化したら、人間しか食べられなくなってたということか?」
「そういうこと。飢餓状態になったら無差別に人間を襲うから、起きてすぐに確認する必要があったの」
相澤さんは口を閉ざしてしまった。
つとめて明るく事実を伝えたつもりだったが、やはり常に冷静な相澤さんでも喰種化する可能性があったと知ってショックだったのだろうか。
「あれ・・・?失神しちゃった?」
「してない」
包帯ぐるぐるすぎて起きているのか分からない。
私が様子を伺うと切れ味のよい反応が返ってきた。
「・・・・・・ありがとう」
「へ?」
まさかお礼を言われるとは思っていなかったので、間抜けな声が出てしまった。
「何でお礼?」
「むしろ助けて貰って何でお礼を言わないんだ?」
「もしかしたらそんなことしなくても助かってたかもしれないし」
「"たられば"は好かん。が、あえていうなら名前が血を分けてくれなかったら死んでたかもしれん」
「そうかもだけど、喰種化してたら生きてても地獄だったよ、きっと」
「その時はその時だ」
おじいさんと同じことを言うんだな。
もしかしたら責められるかもと思っていた。
でも心のどこかで相澤さんなら受けれてくれるかもしれないという期待もあった。
私の期待に相澤さんは応えてくれた。
この人のために生きよう。
さっき芽生えたこの気持ちを後押ししてくれているようだった。
