【7章】過去
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「少年、送ってやりたいところではあるが・・・無理そうだ。一人で帰れるか?」
彼はずっと小さく震えていた。
「できればこのことは誰にも言わないで欲しい」
おじいさんの問いかけに彼は答えなかった。
「・・・行くぞ。名前」
私は黒翼をしまうことも忘れてただ茫然と立っていた。
しかしおじいさんに声を掛けられ我に返った。
「ばいばい」
もう二度と会う事はない。
いつも神社で別れる「ばいばい」とは違う意味を込めた。
おじいさんと並んで森の奥へと帰ろうとした。
「待って!」
振り返るとまるで生まれたての小鹿のように震える足で彼は立っていた。
「お祭りの日、待ってるから!僕、名前ちゃんのこと待ってるよ。今日のことも言わない。誰にも言わない」
私は彼に何も返すことなく立ち去った。
********
「おじいさん喰種だったんだ」
「初めて会った日に言っただろう。外の人間とは気が合わんって」
「私が喰種だって気付いてたの?」
「確信はなかった。お前さん普通に人間の飯を食うからな」
家までまだまだ距離がある。
私は自分の生い立ちと、おじいさんと出会う前に遭った出来事を話した。
「なるほどな・・・」
「どうしておじいさんは私を匿ってくれたの?」
「こんな世界じゃ。子ども1人なら親を喰種に殺された人間か、人間に殺された喰種かのどっちかしかないだろう」
「通報を嫌がってたから喰種の可能性が高いけど、私が人間のご飯を食べてるから戸惑った?」
「そうじゃな」
「にしては冷静だね」
「だてに老いぼれておらんよ。色んなものを見てきた。まさか最後に人間の食事をする喰種に会うとは思わなかったがな」
少し曲がった背筋。
おじいさんは一体どんな過去を背負っているのだろうか。
獣道を歩いていく。
やっと我が家が見えてきた。
玄関扉をくぐると、いつもと同じ光景なのに違って見えた。
それはおじいさんが喰種だと分かったから。
特にキッチン。
おじいさんが私と一緒に食事をしないのは食べるものが違うから。
私が来てから家電製品が増えた。
私は知ってる。
おじいさんがたまに街へ出かけては料理本を買っていること。
おじいさんの料理の腕がイマイチなのは経験がないからだと、ただそう思っていた。
でもそうじゃなかった。
喰種だから、人間の食事を食べたことがなくて正解が分からないのだ。
私のために頑張ってくれていた。
今だから分かる。
きっとここで育てている畑の農作物を出荷してお金を稼いで、それを元手におじいさんは人肉を買っていたのだ。
喰種は自分で人間を狩って食料にする者と、喰種市場で販売されている人肉を買う者に分かれる。
さっき遭遇した喰種は前者で、父やおじいさんは後者なのだ。
「ありがとう」
おじいさんは照れくさいのか、私の言葉は聞こえていたはずなのに、聞こえていないふりをした。
彼はずっと小さく震えていた。
「できればこのことは誰にも言わないで欲しい」
おじいさんの問いかけに彼は答えなかった。
「・・・行くぞ。名前」
私は黒翼をしまうことも忘れてただ茫然と立っていた。
しかしおじいさんに声を掛けられ我に返った。
「ばいばい」
もう二度と会う事はない。
いつも神社で別れる「ばいばい」とは違う意味を込めた。
おじいさんと並んで森の奥へと帰ろうとした。
「待って!」
振り返るとまるで生まれたての小鹿のように震える足で彼は立っていた。
「お祭りの日、待ってるから!僕、名前ちゃんのこと待ってるよ。今日のことも言わない。誰にも言わない」
私は彼に何も返すことなく立ち去った。
********
「おじいさん喰種だったんだ」
「初めて会った日に言っただろう。外の人間とは気が合わんって」
「私が喰種だって気付いてたの?」
「確信はなかった。お前さん普通に人間の飯を食うからな」
家までまだまだ距離がある。
私は自分の生い立ちと、おじいさんと出会う前に遭った出来事を話した。
「なるほどな・・・」
「どうしておじいさんは私を匿ってくれたの?」
「こんな世界じゃ。子ども1人なら親を喰種に殺された人間か、人間に殺された喰種かのどっちかしかないだろう」
「通報を嫌がってたから喰種の可能性が高いけど、私が人間のご飯を食べてるから戸惑った?」
「そうじゃな」
「にしては冷静だね」
「だてに老いぼれておらんよ。色んなものを見てきた。まさか最後に人間の食事をする喰種に会うとは思わなかったがな」
少し曲がった背筋。
おじいさんは一体どんな過去を背負っているのだろうか。
獣道を歩いていく。
やっと我が家が見えてきた。
玄関扉をくぐると、いつもと同じ光景なのに違って見えた。
それはおじいさんが喰種だと分かったから。
特にキッチン。
おじいさんが私と一緒に食事をしないのは食べるものが違うから。
私が来てから家電製品が増えた。
私は知ってる。
おじいさんがたまに街へ出かけては料理本を買っていること。
おじいさんの料理の腕がイマイチなのは経験がないからだと、ただそう思っていた。
でもそうじゃなかった。
喰種だから、人間の食事を食べたことがなくて正解が分からないのだ。
私のために頑張ってくれていた。
今だから分かる。
きっとここで育てている畑の農作物を出荷してお金を稼いで、それを元手におじいさんは人肉を買っていたのだ。
喰種は自分で人間を狩って食料にする者と、喰種市場で販売されている人肉を買う者に分かれる。
さっき遭遇した喰種は前者で、父やおじいさんは後者なのだ。
「ありがとう」
おじいさんは照れくさいのか、私の言葉は聞こえていたはずなのに、聞こえていないふりをした。
