【7章】過去
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家を出た私は人目につかない為に森へ入った。
森にいればきっと動物がいるから、何とか飢えは凌げるだろう。
なるべく街から離れたい。
そんな心理が働いたのか、気付けば相当奥深くまで歩いていた。
「お腹空いてきたな」
私はリュックから家にあった缶詰やお菓子を一部取り出そうとしたが、前を見ずに歩いていたら視界が急に開けた。
茂みを出るとそこは畑だった。
「こんなところに人住んでるの・・・?」
民家などもう随分見ていない。
古びた民家が畑と共にポツンと建っていた。
「誰だ」
鍬を抱えたおじいさんが遠目からこちらを向いていた。
「あ・・・」
逃げよう、と踵を返そうとした。
「待ちなさい、お嬢ちゃん」
今度は優しい声色だった。
少しずつ近づいてくるおじいさんに警戒心を見せた。
「迷ったのか?」
私は首を振った。
「迷子じゃない・・・?こんなとこ普通来る場所じゃない。親はどうした」
もうとっくに日は沈んだ。
明るくない時間にこんなところに少女が1人でいたら怪しむだろう。
脳裏には半日ほど前の光景が過った。
「いない」
私のお腹がきゅるきゅると音を立てた。
「・・・とりあえず来なさい」
おじいさんは私の手を取り、家の中に入れてくれた。
「慌てずゆっくり食べなさい」
味は分からないけれど、出されたポトフは温かかった。
「さっき親はいないって言っていたが、喧嘩でもしたのか。心配するだろう」
私は首を横に振った。
ポタリと涙がスープの中に落ちた。
「・・・死んじゃった」
家を出てからずっと我慢していたけれど、一度言葉にしたら認めざるを得なくて。
あれが現実なんだと今更ながらに実感した。
「そうか」
おじいさんはそれ以上何も言うことはなかった。
お風呂も借りてさっぱりした。
どうして私を家に上げてくれたのだろう。
きっと小さい少女だから可哀想に思ったのだ。
それなら好都合だ。
雨風凌げた方がありがたい。
布団に入りながら腫れぼったい目を閉じた。
「(待って・・・!通報されたかも)」
普通子どもが1人でフラフラしていたら警察に通報するだろう。
捜査局どうこうの問題じゃない。
私はガバッと起き上がって、元着ていた服に袖を通した。
急いでリュックを背負い、玄関へ向かう。
「こんな時間にどこへ行くんじゃ」
おじいさんは寝間着でそこに立っていた。
「通報されたら困るの」
「通報なんてしておらんよ」
「嘘!普通こんな小さな子どもが1人だったら警察呼ぶでしょ?」
おじいさんはフウ、と溜息を一つ吐いた。
「外の人間とは気が合わんでな。ここには電話なんてものはない。調べてみるといい」
促されるまま、私はそのまま外界と連絡を取る手段を探したがそんなものはどこにも見つからなかった。
「話は明日にしよう。もう寝なさい」
おじいさんは再び私を寝室に戻した。
私は不安を抱えながらも疲れていたので眠りについた。
*******************
翌朝、私は早い時間に目が覚めた。
神経が立っていたのか、寝たような寝てないような。
ふわぁ、と欠伸を一つ漏らした。
眠気眼を擦りながら部屋を出ると台所の方から生活音がした。
「起きたか」
「・・・」
「ほれ、朝ごはんだ」
私の前に白米が置かれた。
「今何もなくてな」
「ううん。ありがとう」
空腹が満たせれば何でもいい。
「今日は買い出しに街へ降りるが、ついてくるか?」
「…買い物」
「なに、通報したりせんよ」
私は首を横に振った。
「ふむ…」
おじいさんはそれ以上何も言わなかった。
街へ行くと言って出掛けたおじいさんを見送った私はどうするべきか考えていた。
ここに居れば空腹と雨風を凌げる。
でも帰ってきたときには警察を引き連れている可能性もある。
私は悩んだ末、おじいさんの帰宅予定である15時頃に一度家を離れて様子を遠目から見守ることにした。
そのときに警察を引き連れていたらそのまま立ち去ろう。
約束通りの時間におじいさんは帰宅した。
遠目で確認するが、警察はいないようだ。
木の陰に隠れてしばらく待つとおじいさんは玄関から出てきてキョロキョロと探し物をしているようだった。
「私のこと探してるのかな・・・」
茂みから姿を出すと、おじいさんはすぐに気付いて手招きをした。
私はその手に導かれるかのように足を進めた。
「変わったことはなかったか」
おじいさんは私に尋ねた。
首を横に振った。
さりげなくおじいさんの匂いを嗅いだが、長く他人と接触した様子はない。
「さて、お前さんがついてこなかったから適当に選んだぞ」
おじいさんは紙袋を私に渡した。
中には洋服が入っていた。
「あの部屋はお前にやろう」
今日話をしようと言っていたおじいさんは結局私に何も聞かなかった。
森にいればきっと動物がいるから、何とか飢えは凌げるだろう。
なるべく街から離れたい。
そんな心理が働いたのか、気付けば相当奥深くまで歩いていた。
「お腹空いてきたな」
私はリュックから家にあった缶詰やお菓子を一部取り出そうとしたが、前を見ずに歩いていたら視界が急に開けた。
茂みを出るとそこは畑だった。
「こんなところに人住んでるの・・・?」
民家などもう随分見ていない。
古びた民家が畑と共にポツンと建っていた。
「誰だ」
鍬を抱えたおじいさんが遠目からこちらを向いていた。
「あ・・・」
逃げよう、と踵を返そうとした。
「待ちなさい、お嬢ちゃん」
今度は優しい声色だった。
少しずつ近づいてくるおじいさんに警戒心を見せた。
「迷ったのか?」
私は首を振った。
「迷子じゃない・・・?こんなとこ普通来る場所じゃない。親はどうした」
もうとっくに日は沈んだ。
明るくない時間にこんなところに少女が1人でいたら怪しむだろう。
脳裏には半日ほど前の光景が過った。
「いない」
私のお腹がきゅるきゅると音を立てた。
「・・・とりあえず来なさい」
おじいさんは私の手を取り、家の中に入れてくれた。
「慌てずゆっくり食べなさい」
味は分からないけれど、出されたポトフは温かかった。
「さっき親はいないって言っていたが、喧嘩でもしたのか。心配するだろう」
私は首を横に振った。
ポタリと涙がスープの中に落ちた。
「・・・死んじゃった」
家を出てからずっと我慢していたけれど、一度言葉にしたら認めざるを得なくて。
あれが現実なんだと今更ながらに実感した。
「そうか」
おじいさんはそれ以上何も言うことはなかった。
お風呂も借りてさっぱりした。
どうして私を家に上げてくれたのだろう。
きっと小さい少女だから可哀想に思ったのだ。
それなら好都合だ。
雨風凌げた方がありがたい。
布団に入りながら腫れぼったい目を閉じた。
「(待って・・・!通報されたかも)」
普通子どもが1人でフラフラしていたら警察に通報するだろう。
捜査局どうこうの問題じゃない。
私はガバッと起き上がって、元着ていた服に袖を通した。
急いでリュックを背負い、玄関へ向かう。
「こんな時間にどこへ行くんじゃ」
おじいさんは寝間着でそこに立っていた。
「通報されたら困るの」
「通報なんてしておらんよ」
「嘘!普通こんな小さな子どもが1人だったら警察呼ぶでしょ?」
おじいさんはフウ、と溜息を一つ吐いた。
「外の人間とは気が合わんでな。ここには電話なんてものはない。調べてみるといい」
促されるまま、私はそのまま外界と連絡を取る手段を探したがそんなものはどこにも見つからなかった。
「話は明日にしよう。もう寝なさい」
おじいさんは再び私を寝室に戻した。
私は不安を抱えながらも疲れていたので眠りについた。
*******************
翌朝、私は早い時間に目が覚めた。
神経が立っていたのか、寝たような寝てないような。
ふわぁ、と欠伸を一つ漏らした。
眠気眼を擦りながら部屋を出ると台所の方から生活音がした。
「起きたか」
「・・・」
「ほれ、朝ごはんだ」
私の前に白米が置かれた。
「今何もなくてな」
「ううん。ありがとう」
空腹が満たせれば何でもいい。
「今日は買い出しに街へ降りるが、ついてくるか?」
「…買い物」
「なに、通報したりせんよ」
私は首を横に振った。
「ふむ…」
おじいさんはそれ以上何も言わなかった。
街へ行くと言って出掛けたおじいさんを見送った私はどうするべきか考えていた。
ここに居れば空腹と雨風を凌げる。
でも帰ってきたときには警察を引き連れている可能性もある。
私は悩んだ末、おじいさんの帰宅予定である15時頃に一度家を離れて様子を遠目から見守ることにした。
そのときに警察を引き連れていたらそのまま立ち去ろう。
約束通りの時間におじいさんは帰宅した。
遠目で確認するが、警察はいないようだ。
木の陰に隠れてしばらく待つとおじいさんは玄関から出てきてキョロキョロと探し物をしているようだった。
「私のこと探してるのかな・・・」
茂みから姿を出すと、おじいさんはすぐに気付いて手招きをした。
私はその手に導かれるかのように足を進めた。
「変わったことはなかったか」
おじいさんは私に尋ねた。
首を横に振った。
さりげなくおじいさんの匂いを嗅いだが、長く他人と接触した様子はない。
「さて、お前さんがついてこなかったから適当に選んだぞ」
おじいさんは紙袋を私に渡した。
中には洋服が入っていた。
「あの部屋はお前にやろう」
今日話をしようと言っていたおじいさんは結局私に何も聞かなかった。
