ちゃんと、向き合わなきゃ。


そう思った。


私は自分の気持ちを整理しながら、ゆっくりと口を開いた。



「私･･･自分の存在価値がなくなって不安なの」



「戦えなくなった私には何も残らない」



「この世界に置いてもらうためには戦えなきゃ」



「全部なくなっちゃった私は、これからどうすればいいんだろう」



「空っぽになった自分に不安なの」



肩を落とす私に、相澤さんは距離を詰めて真横に座り直した。
こてんと頭を相澤さんの肩口に置いた。


「大丈夫だよ」


ポスンと頭に骨ばった手が乗った。


「空っぽなんかじゃない」
「でも、ヒーロー科にはもういられない」
「"ヒーロー科"にはな」
「え?」


相澤さんは私の前に1枚の紙を差し出した。





「"普通科"への編入用紙だ」





紙を受け取った私は呆然とそれを見つめた。

「ヒーローになることは諦めてもらわないといけない。だが･･･これからは自由に夢見ていいんだ」
「自由に･･･?」
「ああ。何でもいい。花屋でも教師でも、プログラマーでも何でも」
「･･･」
「それをこれから雄英高校で探せばいい」
「私･･･まだここに居ていいの?」





戦えなくなった私なんてお払い箱だと思っていた。

きっと今度こそ追い出される。

そんな不安があったのだ。





「いい加減俺達のことを信用しろ」





涙を堪えるために、手に力を込めたら紙がぐしゃりと歪んだ。





「あ、そうそう。名前をスカウトしたいって言ってる人がいる」