【24章】彼の想い
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オークションの商品の中に捜査官が潜入捜査で混じっていたため、場が混乱した。
観客を巻き込んでの喰種対捜査局。
捜査官が何人いようが、僕の敵ではなかった。
戦いながら、頭の片隅に名前の顔が過った。
「(もう逃げたかな・・・)」
建物の崩落が予想されたため、外に移動する。
捜査官達が僕を見つける度に束になって掛かってくるが、雑魚がどれだけ群れようが一緒だよね。
ふと、視線を上にあげると屋根の上に名前の姿を捉えた。
「(まだ逃げてなかったのか・・・)」
その隣には白髪の捜査官の姿。
「(ちっ・・・)」
捜査官に見つかったのか。
加勢に行くか悩んだが、そうするときっと彼女は混乱して逃げようとしなくなるだろう。
ギリッと奥歯を噛みしめた。
しかしどういうわけか、戦っているわけではなさそうだった。
2人で屋根に寝そべり何やら話している。
この戦場にはそぐわない和やかな雰囲気に疑問符を浮かべた。
そんな2人を引き裂いたのは、うちのグループにいたはずの男だった。
何がどうなってるんだ。
そう思ったが男の狙いは予想がつく。
名前は半喰種だから、狙っている者は多い。
名前をオークションにかこつけて逃がす案を話した時も、あの男はどこか不服そうだった。
「(殺すか・・・)」
この騒動が終わった後、あいつは殺す。
だからとにかく名前は逃げてさえくれればいい。
その願いが通じたのか、捜査官が男と対峙し名前は屋根から飛び降りて闇夜に姿を消した。
あの捜査官がなぜ名前を庇ったのかは分からない。
しかし、結果として自分が望む形になったのだからこれでいい。
そう思っていたのに・・・。
「(何で帰ってきたんだ)」
頭が痛くなる。
逃げたと思った名前が再び戻って来て、屋根の上で捜査官の代わりに男と対峙している。
僕の方もどこから湧いてくるんだこの蟻たちは、と思うほどわらわらと捜査官が寄ってくる。
僕はいつものように楽しみながらも、意識は常に屋根の方に向いていた。
やはり、助けにいけばよかった。
僕のやり方は間違っていたのだろうか。
「名前・・・!」
腹部を貫かれた名前が視界に入った時、僕の息も止まった気がした。
そして名前は男の腕を掴みながら、まっすぐ僕に目がけて落下してきた。
最後に合った目はとても悲しそうだった。
思わず伸ばした僕の手は空を切った。
「え・・・?」
男もろとも名前は消え去ったのだ。
どうなっているのかなんてすぐに答えはでなかった。
だから楽しむことは終わりにして、一気にカタをつけた。
その場にいた僕以外の全員が息絶えたことを確認すると、地面に落ちた名前のマスクを拾い上げた。
辺りを見回すが名前の姿はもちろん見当たらない。
「(夢を見ているのか・・・?)」
それぐらい不思議な現象だ。
名前が居た屋根に降り立ったが、上から見ても特段風景に変わりはない。
まるで狐につままれた気分だった。
****************
「結局、あれから見つからないもんね」
イトリさんに状況を話したら、当初は鼻で笑われたがやはり心配な気持ちもあったため手分けして探した。
しかし見つからずに今に至る。
「見つからない・・・かもね」
イリュージョンのように消えてしまった名前は直前、致命傷を負っていた。
仮にこの世界のどこかに居たとしても、あの状況から助かったとは思えない。
ふと、マスクを修復する手が止まった。
「ウーさん?」
体重を後ろに掛けるとキィ・・・と椅子が軋んだ。
「もしかしたら・・・」
「もしかしたら?」
「生まれ変わったのかもね」
そう思う方が楽だった。
そしてそうであって欲しいとも思った。
僕はマスクの修復を止めてゴミ箱にそれを捨てた。
「ええっ!捨てちゃうの!?」
「うん」
君をこの世界から解き放つには、これがいいと思ったんだ。
観客を巻き込んでの喰種対捜査局。
捜査官が何人いようが、僕の敵ではなかった。
戦いながら、頭の片隅に名前の顔が過った。
「(もう逃げたかな・・・)」
建物の崩落が予想されたため、外に移動する。
捜査官達が僕を見つける度に束になって掛かってくるが、雑魚がどれだけ群れようが一緒だよね。
ふと、視線を上にあげると屋根の上に名前の姿を捉えた。
「(まだ逃げてなかったのか・・・)」
その隣には白髪の捜査官の姿。
「(ちっ・・・)」
捜査官に見つかったのか。
加勢に行くか悩んだが、そうするときっと彼女は混乱して逃げようとしなくなるだろう。
ギリッと奥歯を噛みしめた。
しかしどういうわけか、戦っているわけではなさそうだった。
2人で屋根に寝そべり何やら話している。
この戦場にはそぐわない和やかな雰囲気に疑問符を浮かべた。
そんな2人を引き裂いたのは、うちのグループにいたはずの男だった。
何がどうなってるんだ。
そう思ったが男の狙いは予想がつく。
名前は半喰種だから、狙っている者は多い。
名前をオークションにかこつけて逃がす案を話した時も、あの男はどこか不服そうだった。
「(殺すか・・・)」
この騒動が終わった後、あいつは殺す。
だからとにかく名前は逃げてさえくれればいい。
その願いが通じたのか、捜査官が男と対峙し名前は屋根から飛び降りて闇夜に姿を消した。
あの捜査官がなぜ名前を庇ったのかは分からない。
しかし、結果として自分が望む形になったのだからこれでいい。
そう思っていたのに・・・。
「(何で帰ってきたんだ)」
頭が痛くなる。
逃げたと思った名前が再び戻って来て、屋根の上で捜査官の代わりに男と対峙している。
僕の方もどこから湧いてくるんだこの蟻たちは、と思うほどわらわらと捜査官が寄ってくる。
僕はいつものように楽しみながらも、意識は常に屋根の方に向いていた。
やはり、助けにいけばよかった。
僕のやり方は間違っていたのだろうか。
「名前・・・!」
腹部を貫かれた名前が視界に入った時、僕の息も止まった気がした。
そして名前は男の腕を掴みながら、まっすぐ僕に目がけて落下してきた。
最後に合った目はとても悲しそうだった。
思わず伸ばした僕の手は空を切った。
「え・・・?」
男もろとも名前は消え去ったのだ。
どうなっているのかなんてすぐに答えはでなかった。
だから楽しむことは終わりにして、一気にカタをつけた。
その場にいた僕以外の全員が息絶えたことを確認すると、地面に落ちた名前のマスクを拾い上げた。
辺りを見回すが名前の姿はもちろん見当たらない。
「(夢を見ているのか・・・?)」
それぐらい不思議な現象だ。
名前が居た屋根に降り立ったが、上から見ても特段風景に変わりはない。
まるで狐につままれた気分だった。
****************
「結局、あれから見つからないもんね」
イトリさんに状況を話したら、当初は鼻で笑われたがやはり心配な気持ちもあったため手分けして探した。
しかし見つからずに今に至る。
「見つからない・・・かもね」
イリュージョンのように消えてしまった名前は直前、致命傷を負っていた。
仮にこの世界のどこかに居たとしても、あの状況から助かったとは思えない。
ふと、マスクを修復する手が止まった。
「ウーさん?」
体重を後ろに掛けるとキィ・・・と椅子が軋んだ。
「もしかしたら・・・」
「もしかしたら?」
「生まれ変わったのかもね」
そう思う方が楽だった。
そしてそうであって欲しいとも思った。
僕はマスクの修復を止めてゴミ箱にそれを捨てた。
「ええっ!捨てちゃうの!?」
「うん」
君をこの世界から解き放つには、これがいいと思ったんだ。