【24章】彼の想い
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ねー、名前ちゃん大丈夫なの?」
「酔いつぶれてるだけだよ」
「そっちじゃなくて!明らかにウーさんと一緒にいるせいで、最近捜査局から狙われてると思うんだけど」
「・・・」
イトリさんが経営しているBarで酔いつぶれている名前の髪を一房掬った。
ここ連日、名前が一人のところを狙って襲撃してくる輩が多いことは確かだった。
「あくまで噂なんだけどさ・・・」
情報屋でもある彼女。
カウンターから身を乗り出して僕に耳打ちをした。
「あの有馬が近々名前の討伐に出てくるって」
飲んでいたお酒のグラスを置いた。
グラスの中に注がれている赤々とした血酒が波打った。
「確証はないけど、わりと有力な情報」
有馬という男は捜査官の中でもトップの実力を誇る。
彼に勝てる喰種など存在するのか疑わしい。
出会ったが最後・・・。
「少し・・・考えるよ」
「できることがあったら協力するよ」
「たいがいイトリさんも名前に甘いよね」
彼女は名前のことを妹のように可愛がっている。
だからここは喰種専門のBarであるにもかかわらず、名前のグラスの中には人間が飲むお酒が入っていた。
「うーん・・・」
「ほら、名前。もう帰るよ」
「ふぁい」
微妙に覚醒してきたようなので、肩を叩いて起こした。
「ウタさん、おんぶ」
「はいはい」
背中によじ登ろうとする名前の身体を掬い上げて、背負った。
「じゃ、またね」
「ウーさん、さっきのセリフそっくりそのままお返しするよ」
砂糖を吐く真似をするイトリさんに笑ってしまった。
*******************
そして事件は起こった。
「名前・・・!どうしたの」
ずぶ濡れになった名前が店の裏口から入ってきた。
今日は朝から雨が降っている。
「ちょっと・・・ヘマしちゃった」
庇った腕からが血が滴り落ちている。
その匂いに僕の鼻がピクリと動いた。
「美味しそう?」
「・・・馬鹿なこと言ってないで早く手当するよ」
店の看板を"close"にひっくり返し、名前を店の奥にあるプライベート空間へと押し込めた。
「こんなに深手を負うなんて珍しい」
「認めたくないけど、最近出会う捜査官やたらと強くて」
イトリさんの顔が脳裏に過った。
「そう・・・」
「でも大丈夫!負けるなんてことないよ」
ケラケラ笑う名前に対して、僕は笑えない。
嫌というほど知っているから。
命は奪うのも奪われるのも一瞬であるということを。
まるで死にそうにないヤツも些細なきっかけでその華を散らす。
僕はいい。
そういったスリルを自ら味わいに行っている者だから。
でも名前は違う。
名前が捜査官を殺すのはあくまで自分の身を守るため。
ゾクリと背筋が冷えた。
「ウタさん?」
ぼんやりしている僕の顔を名前が覗き込んだ。
「大丈夫?」
「ああ・・・大丈夫だよ」
こんな感情初めてだ。
これが"怖い"ということなのか。
目の前で笑う華が散ってしまう。
僕は初めての感情に戸惑い、そしてその感情から目を背けるために、自らその華を手放す決意をした。
「酔いつぶれてるだけだよ」
「そっちじゃなくて!明らかにウーさんと一緒にいるせいで、最近捜査局から狙われてると思うんだけど」
「・・・」
イトリさんが経営しているBarで酔いつぶれている名前の髪を一房掬った。
ここ連日、名前が一人のところを狙って襲撃してくる輩が多いことは確かだった。
「あくまで噂なんだけどさ・・・」
情報屋でもある彼女。
カウンターから身を乗り出して僕に耳打ちをした。
「あの有馬が近々名前の討伐に出てくるって」
飲んでいたお酒のグラスを置いた。
グラスの中に注がれている赤々とした血酒が波打った。
「確証はないけど、わりと有力な情報」
有馬という男は捜査官の中でもトップの実力を誇る。
彼に勝てる喰種など存在するのか疑わしい。
出会ったが最後・・・。
「少し・・・考えるよ」
「できることがあったら協力するよ」
「たいがいイトリさんも名前に甘いよね」
彼女は名前のことを妹のように可愛がっている。
だからここは喰種専門のBarであるにもかかわらず、名前のグラスの中には人間が飲むお酒が入っていた。
「うーん・・・」
「ほら、名前。もう帰るよ」
「ふぁい」
微妙に覚醒してきたようなので、肩を叩いて起こした。
「ウタさん、おんぶ」
「はいはい」
背中によじ登ろうとする名前の身体を掬い上げて、背負った。
「じゃ、またね」
「ウーさん、さっきのセリフそっくりそのままお返しするよ」
砂糖を吐く真似をするイトリさんに笑ってしまった。
*******************
そして事件は起こった。
「名前・・・!どうしたの」
ずぶ濡れになった名前が店の裏口から入ってきた。
今日は朝から雨が降っている。
「ちょっと・・・ヘマしちゃった」
庇った腕からが血が滴り落ちている。
その匂いに僕の鼻がピクリと動いた。
「美味しそう?」
「・・・馬鹿なこと言ってないで早く手当するよ」
店の看板を"close"にひっくり返し、名前を店の奥にあるプライベート空間へと押し込めた。
「こんなに深手を負うなんて珍しい」
「認めたくないけど、最近出会う捜査官やたらと強くて」
イトリさんの顔が脳裏に過った。
「そう・・・」
「でも大丈夫!負けるなんてことないよ」
ケラケラ笑う名前に対して、僕は笑えない。
嫌というほど知っているから。
命は奪うのも奪われるのも一瞬であるということを。
まるで死にそうにないヤツも些細なきっかけでその華を散らす。
僕はいい。
そういったスリルを自ら味わいに行っている者だから。
でも名前は違う。
名前が捜査官を殺すのはあくまで自分の身を守るため。
ゾクリと背筋が冷えた。
「ウタさん?」
ぼんやりしている僕の顔を名前が覗き込んだ。
「大丈夫?」
「ああ・・・大丈夫だよ」
こんな感情初めてだ。
これが"怖い"ということなのか。
目の前で笑う華が散ってしまう。
僕は初めての感情に戸惑い、そしてその感情から目を背けるために、自らその華を手放す決意をした。