【24章】彼の想い
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パリン。
HySy ArtMask Studioは僕の城。
ここで僕は日々、仮面を作っている。
「あー!それ名前ちゃんのマスクじゃん?」
「・・・」
いつものように名前のマスクを手入れしていると、それは音を立てて割れてしまった。
旧知の仲であるイトリさんが「いっけないんだー」とまるで子供の様に指摘してきた。
覗き込んできたときに、彼女の長い髪が僕の頬を触った。
「力入れてなかったんだけどね」
僕はすぐに修復作業に入った。
「名前ちゃん、どこに行っちゃったんだろうね」
「・・・」
「あの作戦は失敗になるのかな?」
「どうだろう」
「ほーんと器用なのに不器用だにゃー。ウーさんは」
「イトリさんうるさくて集中できない」
ごめん、ごめんとイトリさんは僕の真後ろから移動して、近くにあった椅子に腰かけた。
「そんなに大事だったなら傍に置いておけば良かったじゃない」
ピタリと僕の指が止まった。
「こんなことになるぐらいならね」
「後悔先に立たず」
ふと名前の柔らかい笑顔を思い出した。
しかし、彼女はもういない。
・・・昔から、僕は楽しいコトが好きだ。
だから捜査局との抗争も楽しんでいた。
一人で好き勝手楽しんでいた僕に新しい感情をくれたのは、名前だった。
出会った当初は人間の食事ができる喰種なんていう珍しさから面白いことに使えそうだと思って傍に置いていた。
しかしいつからか、彼女が他の誰かに触れられそうになると独占欲に似た感情が沸き上がるようになった。
名前が笑うと少しだけ僕の心に灯りがついた。
そして・・・彼女と出会って何十回も季節が巡ったある秋の日、僕が名前を手放す決意をする出来事が起こった。
*******************
「げー。靴汚れた」
名前は転がってる死体の血で汚れた靴を見て顔を歪めた。
「今日はまた一段と数が多かったね」
「そうだね」
マスクを外して首をコキリと鳴らした。
数が多いのは僕のせい。
強い者の性なのだろうか。
マスク職人をしている一方で、戦いを楽しみたいという欲求は消えることがない。
面白いコトが好きな僕は、危険地帯3区を拠点とするピエロという組織に所属している。
それは名前には内緒だった。
ピエロが捜査局との抗争を激化させているといっても過言ではない。
だってさ、楽しいんだもん。
「ウタさんさぁ・・・ずっと気になってることがあるんだけど」
「何?」
「浮気してる?」
僕は身に覚えのない問いを掛けられ、パチリと目を見開いた。
首を傾げると名前は俯きながら続けた。
「時々・・・どっか行っちゃうじゃない?」
ああ。
そのことには心当たりがあった。
「ウタさんがいなくなるときってイトリさんもいないこと多い気がして・・・」
それはそうだ。
だって彼女もピエロの一員なのだから。
「イトリさんに嫉妬?」
「う・・・まぁ。だって綺麗だし」
「馬鹿だなぁ」
こんなに可愛い恋人いるのに浮気なんてするはずないでしょ?
そう言えば、名前は顔を赤くさせて嬉しそうに笑った。
そう、浮気なんてしていない。
しているのはただ自分の欲求を満たすだけの殺戮だよ。
HySy ArtMask Studioは僕の城。
ここで僕は日々、仮面を作っている。
「あー!それ名前ちゃんのマスクじゃん?」
「・・・」
いつものように名前のマスクを手入れしていると、それは音を立てて割れてしまった。
旧知の仲であるイトリさんが「いっけないんだー」とまるで子供の様に指摘してきた。
覗き込んできたときに、彼女の長い髪が僕の頬を触った。
「力入れてなかったんだけどね」
僕はすぐに修復作業に入った。
「名前ちゃん、どこに行っちゃったんだろうね」
「・・・」
「あの作戦は失敗になるのかな?」
「どうだろう」
「ほーんと器用なのに不器用だにゃー。ウーさんは」
「イトリさんうるさくて集中できない」
ごめん、ごめんとイトリさんは僕の真後ろから移動して、近くにあった椅子に腰かけた。
「そんなに大事だったなら傍に置いておけば良かったじゃない」
ピタリと僕の指が止まった。
「こんなことになるぐらいならね」
「後悔先に立たず」
ふと名前の柔らかい笑顔を思い出した。
しかし、彼女はもういない。
・・・昔から、僕は楽しいコトが好きだ。
だから捜査局との抗争も楽しんでいた。
一人で好き勝手楽しんでいた僕に新しい感情をくれたのは、名前だった。
出会った当初は人間の食事ができる喰種なんていう珍しさから面白いことに使えそうだと思って傍に置いていた。
しかしいつからか、彼女が他の誰かに触れられそうになると独占欲に似た感情が沸き上がるようになった。
名前が笑うと少しだけ僕の心に灯りがついた。
そして・・・彼女と出会って何十回も季節が巡ったある秋の日、僕が名前を手放す決意をする出来事が起こった。
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「げー。靴汚れた」
名前は転がってる死体の血で汚れた靴を見て顔を歪めた。
「今日はまた一段と数が多かったね」
「そうだね」
マスクを外して首をコキリと鳴らした。
数が多いのは僕のせい。
強い者の性なのだろうか。
マスク職人をしている一方で、戦いを楽しみたいという欲求は消えることがない。
面白いコトが好きな僕は、危険地帯3区を拠点とするピエロという組織に所属している。
それは名前には内緒だった。
ピエロが捜査局との抗争を激化させているといっても過言ではない。
だってさ、楽しいんだもん。
「ウタさんさぁ・・・ずっと気になってることがあるんだけど」
「何?」
「浮気してる?」
僕は身に覚えのない問いを掛けられ、パチリと目を見開いた。
首を傾げると名前は俯きながら続けた。
「時々・・・どっか行っちゃうじゃない?」
ああ。
そのことには心当たりがあった。
「ウタさんがいなくなるときってイトリさんもいないこと多い気がして・・・」
それはそうだ。
だって彼女もピエロの一員なのだから。
「イトリさんに嫉妬?」
「う・・・まぁ。だって綺麗だし」
「馬鹿だなぁ」
こんなに可愛い恋人いるのに浮気なんてするはずないでしょ?
そう言えば、名前は顔を赤くさせて嬉しそうに笑った。
そう、浮気なんてしていない。
しているのはただ自分の欲求を満たすだけの殺戮だよ。