【23章】異変
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いよいよシャレにならなくなってきた。
「うーん・・・」
俺の部屋で必死に黒翼を出そうと念じている名前。
「なんでなんで」
最初は時間が経てば戻るのではと思っていたが、その望みは日を追うごとに薄くなっていく。
「っていうかもう黒翼どうやって出してたかわかんなくなってきた」
俺はここ最近考えていたことを名前に切り出した。
「病院に行こう」
「病院?」
至極嫌そうな顔をしている。
「今こそ"身体検査"をすべき時だ」
実はもう病院は押さえていた。
俺は渋る名前を説得して明日の休みに行くことを約束させた。
********
晴れた日曜の朝。
俺は名前を宣言通り病院へ引きずっていった。
大きな病院の門構えに怯んでいる。
「嫌だ・・・」
「一緒にいるから大丈夫だ」
リカバリーガールに紹介してもらった医師には、あらかじめ事情を説明している。
もちろん事の経緯は校長も了承済みだ。
不安そうな表情を浮かべる名前の手を握った。
日曜日のため、病院は入院患者以外いない。
受付はがらんとしていた。
「では、こちらにどうぞ」
看護師に案内されて検査室に入った。
********
検査は嫌い。
あの研究所のことを思い出すから。
私はありとあらゆる検査を受けた。
気付けば半日経っていて、検査結果が出るまでの間、私は能面のような表情でソファに座っていた。
「ほら、お疲れさん」
「ありがとう」
受け取った飲み物を喉に流し込む。
「なんか怖いな」
漠然とした恐怖心。
大体、喰種の不調の原因なんてこちらの医師に分かるのだろうか。
「大丈夫だ」
根拠なんかないはずなのに、相澤さんの"大丈夫"はなぜか安心できる。
「検査の結果がでました」
医師が困惑した表情で私達を呼んだ。
*******************
「えっと・・・」
医師はカルテを見ながら顎を擦った。
「何かあったんですか?」
なかなか言い出さない医師に痺れを切らして俺が口を開いた。
「いえ・・・その逆です」
「逆?」
「"何もない"んです」
「何も・・・ない?」
医師は首を捻った。
「お話では翼を出せるんですよね?」
「はい」
「普段背中の中に仕舞われているのでしたら、それらしい骨格や影が映るはずなんですが・・・」
レントゲンを差し込み、俺達にも見えるようにペンで指した。
「ね?綺麗なもんでしょ」
俺はいよいよ"本題"を切り出した。
「血液検査はどうでしたか?」
「それも問題ないですよ」
「"アレ"と比べてもらえましたか?」
「ああ、そうそう」
「アレ?」
名前は首を傾げた。
俺は名前の問いには答えずに医師の返事を待った。
「あの血液サンプルには我々人間にはない、未確認の成分が含まれていました」
「彼女の血液には?」
「含まれていません」
「つまり?」
「名字さんは我々と同じ"人間"であるといえます」
****************
私は目の前の医師はヤブ医者なんじゃないかと思う。
だって、この医者は今はっきりと私が"人間"だと言った。
「どういうこと?」
「結論は出ました。どうも、ありがとうございました」
相澤さんは私の問にまるで答えてくれない。
手を引かれて病院を出た。
「ねぇ、ねぇってば!」
「車の中で話す」
自分のことなのに私だけが置いてきぼりを喰らった気分。
相澤さんの表情は、戸惑いと同時に少しだけ嬉しそうだった。
「うーん・・・」
俺の部屋で必死に黒翼を出そうと念じている名前。
「なんでなんで」
最初は時間が経てば戻るのではと思っていたが、その望みは日を追うごとに薄くなっていく。
「っていうかもう黒翼どうやって出してたかわかんなくなってきた」
俺はここ最近考えていたことを名前に切り出した。
「病院に行こう」
「病院?」
至極嫌そうな顔をしている。
「今こそ"身体検査"をすべき時だ」
実はもう病院は押さえていた。
俺は渋る名前を説得して明日の休みに行くことを約束させた。
********
晴れた日曜の朝。
俺は名前を宣言通り病院へ引きずっていった。
大きな病院の門構えに怯んでいる。
「嫌だ・・・」
「一緒にいるから大丈夫だ」
リカバリーガールに紹介してもらった医師には、あらかじめ事情を説明している。
もちろん事の経緯は校長も了承済みだ。
不安そうな表情を浮かべる名前の手を握った。
日曜日のため、病院は入院患者以外いない。
受付はがらんとしていた。
「では、こちらにどうぞ」
看護師に案内されて検査室に入った。
********
検査は嫌い。
あの研究所のことを思い出すから。
私はありとあらゆる検査を受けた。
気付けば半日経っていて、検査結果が出るまでの間、私は能面のような表情でソファに座っていた。
「ほら、お疲れさん」
「ありがとう」
受け取った飲み物を喉に流し込む。
「なんか怖いな」
漠然とした恐怖心。
大体、喰種の不調の原因なんてこちらの医師に分かるのだろうか。
「大丈夫だ」
根拠なんかないはずなのに、相澤さんの"大丈夫"はなぜか安心できる。
「検査の結果がでました」
医師が困惑した表情で私達を呼んだ。
*******************
「えっと・・・」
医師はカルテを見ながら顎を擦った。
「何かあったんですか?」
なかなか言い出さない医師に痺れを切らして俺が口を開いた。
「いえ・・・その逆です」
「逆?」
「"何もない"んです」
「何も・・・ない?」
医師は首を捻った。
「お話では翼を出せるんですよね?」
「はい」
「普段背中の中に仕舞われているのでしたら、それらしい骨格や影が映るはずなんですが・・・」
レントゲンを差し込み、俺達にも見えるようにペンで指した。
「ね?綺麗なもんでしょ」
俺はいよいよ"本題"を切り出した。
「血液検査はどうでしたか?」
「それも問題ないですよ」
「"アレ"と比べてもらえましたか?」
「ああ、そうそう」
「アレ?」
名前は首を傾げた。
俺は名前の問いには答えずに医師の返事を待った。
「あの血液サンプルには我々人間にはない、未確認の成分が含まれていました」
「彼女の血液には?」
「含まれていません」
「つまり?」
「名字さんは我々と同じ"人間"であるといえます」
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私は目の前の医師はヤブ医者なんじゃないかと思う。
だって、この医者は今はっきりと私が"人間"だと言った。
「どういうこと?」
「結論は出ました。どうも、ありがとうございました」
相澤さんは私の問にまるで答えてくれない。
手を引かれて病院を出た。
「ねぇ、ねぇってば!」
「車の中で話す」
自分のことなのに私だけが置いてきぼりを喰らった気分。
相澤さんの表情は、戸惑いと同時に少しだけ嬉しそうだった。
