【3章】決意
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休日の相澤さんはわりと寝坊助である。
まだ起きてこないので、目が覚めた私はリビングで昨日の復習と次の予習を進めた。
集中し始めて2時間ほど経過した頃、相澤さんの気配が近づいてきた。
「おはよう」
「ああ、おはよう」
あくびをして冷蔵庫から飲み物を取り出している。
「朝飯まだだよな」
「飲料ゼリーもらったよ!でもお昼ご飯はまだ」
私が時計を指差すとあと1時間ほどで正午だ。
「俺は朝昼兼用だな。今日は出かけるぞ」
「うそ!軟禁生活終了!?」
「これからヒーロー目指すなら日常生活の情報も入れておかないと、生徒達と話が合わない」
「それもそうか」
「あと買いたいものがあればリスト化しておけ」
買いたいもの・・・と言われても思いつかなかった。
今も充分生活はできている。
勉強に使っている消耗品も学校で貰えるので問題はない。
「準備出来たか」
「あ、うん」
相澤さんに促されて私は靴を履いた。
********
「こちらの世界のルールを伝えておく」
車で移動している最中、ハンドルを握った相澤さんは唐突に切り出した。
「公共の場での個性使用は禁止されている。だから名前のそれも外では出すなよ」
「分かった」
「あと、ヒーローはあくまでも敵の拘束が目的だ。よっぽどの事情がない限り殺すことは許されない」
「相手が殺そうとしてきても?」
「そうだ」
私はイマイチ納得できなかった。
「それってヒーローかなり不利じゃない?」
「だとしてもだ。殺し合えば名前の世界と同じことになる」
「そっか・・・平和な世界なんだね」
「種族による垣根があるわけではないから、誰にでも敵になり得る要素は持ってる」
「相澤さんも?」
「・・・そうだな。正しいと思う道を自分で選ぶんだ。俺はヒーローになる道を選んだ」
正しいと思う道・・・。
私もあの世界でなければ色々選べたのかな。
人を殺さなくても済んだのかな。
「こっちの世界は素敵だね」
「名前の世界では喰種と言われて種族で分けられていたかもしれないが、こっちでは黒翼は立派な"個性"だ。種族の違いじゃない」
ごめんね、相澤さん。
すごく嬉しいけど、やっぱり喰種と人間は違うと思う。
きっと"あの事"を知ったら・・・。
*******************
私がこんなにも堂々とお日様の下を歩ける日が来るとは思わなかった。
常に周囲を警戒し、いつ襲われても対応できるように備えなくてもいいのだ。
「うわあ・・・」
思わず感嘆の声が漏れた。
本当に色々な個性を持っている人がいるんだ。
喰種の私は喰種化さえしなければ見た目は普通の人間だ。
周囲を見渡すと私なんか地味に思えた。
「ここがうちから一番近い繁華街だ」
「こういうお店は前の世界にもあったよ。そんなに入ったことないけど」
「欲しい物はあるか?」
「うーん・・・考えたけど今普通に生活させて貰ってるから充分だよ」
「女なんだし、何かあるだろ。化粧品とか、アクセサリーとか・・・」
「うーん・・・戦う時邪魔じゃない?」
「そのスタンスから離れろ」
そうはいっても長年の蓄積で染みついてしまった考え方を変えるのは難しかった。
「とりあえず歩くか」
このままではフロアマップの前から動けそうにないので、相澤さんは適当に歩き出した。
「まずは服を見に行くぞ」
********
名前は欲がないというよりは、欲しい物が分からないようだ。
ミッドナイトさんも誘ったのだが生憎今日は都合がつかなかった。
来れる時に来ておこうと思い、実行したのだがいかんせん俺も女物は分からない。
「ここ、入ってみるか?」
物珍しそうにキョロキョロしている名前に声を掛けた。
俺が指差したのは、今授業を担当しているクラスの女子生徒が雑誌を広げながら話していたファッションブランドの店だった。
「・・・あそこはさすがに」
「今高校生の間で流行ってるらしいぞ」
「・・・相澤さん、私のこといくつだと思ってる?」
「・・・そういえば何歳なんだ?」
「歳を数えるのは10歳で止めたけど、少なくとも成人はしてるよ。相澤さんとそんなに変わらないんじゃないかな」
その言葉に衝撃を受けた。
いや、しかし自分も二度ほど思ったではないか。
一見普通の"女性"だと。
俺は頭を抱えた。
「相澤さん?」
「いや、自分と歳が変わらないのによくいきなり俺の家に住めたなと思って」
「そこはほら、私強いし」
そういう問題なのか。
だが、確かに今までの名前の冷静さや状況の対応力を見ていると、成人している方が違和感ないかもしれない。
「だから、お店としてはあっちの方が合ってるかな」
名前は20代向けのレディースファッションを扱う店を指した。
「とりあえず行くか」
まだ起きてこないので、目が覚めた私はリビングで昨日の復習と次の予習を進めた。
集中し始めて2時間ほど経過した頃、相澤さんの気配が近づいてきた。
「おはよう」
「ああ、おはよう」
あくびをして冷蔵庫から飲み物を取り出している。
「朝飯まだだよな」
「飲料ゼリーもらったよ!でもお昼ご飯はまだ」
私が時計を指差すとあと1時間ほどで正午だ。
「俺は朝昼兼用だな。今日は出かけるぞ」
「うそ!軟禁生活終了!?」
「これからヒーロー目指すなら日常生活の情報も入れておかないと、生徒達と話が合わない」
「それもそうか」
「あと買いたいものがあればリスト化しておけ」
買いたいもの・・・と言われても思いつかなかった。
今も充分生活はできている。
勉強に使っている消耗品も学校で貰えるので問題はない。
「準備出来たか」
「あ、うん」
相澤さんに促されて私は靴を履いた。
********
「こちらの世界のルールを伝えておく」
車で移動している最中、ハンドルを握った相澤さんは唐突に切り出した。
「公共の場での個性使用は禁止されている。だから名前のそれも外では出すなよ」
「分かった」
「あと、ヒーローはあくまでも敵の拘束が目的だ。よっぽどの事情がない限り殺すことは許されない」
「相手が殺そうとしてきても?」
「そうだ」
私はイマイチ納得できなかった。
「それってヒーローかなり不利じゃない?」
「だとしてもだ。殺し合えば名前の世界と同じことになる」
「そっか・・・平和な世界なんだね」
「種族による垣根があるわけではないから、誰にでも敵になり得る要素は持ってる」
「相澤さんも?」
「・・・そうだな。正しいと思う道を自分で選ぶんだ。俺はヒーローになる道を選んだ」
正しいと思う道・・・。
私もあの世界でなければ色々選べたのかな。
人を殺さなくても済んだのかな。
「こっちの世界は素敵だね」
「名前の世界では喰種と言われて種族で分けられていたかもしれないが、こっちでは黒翼は立派な"個性"だ。種族の違いじゃない」
ごめんね、相澤さん。
すごく嬉しいけど、やっぱり喰種と人間は違うと思う。
きっと"あの事"を知ったら・・・。
*******************
私がこんなにも堂々とお日様の下を歩ける日が来るとは思わなかった。
常に周囲を警戒し、いつ襲われても対応できるように備えなくてもいいのだ。
「うわあ・・・」
思わず感嘆の声が漏れた。
本当に色々な個性を持っている人がいるんだ。
喰種の私は喰種化さえしなければ見た目は普通の人間だ。
周囲を見渡すと私なんか地味に思えた。
「ここがうちから一番近い繁華街だ」
「こういうお店は前の世界にもあったよ。そんなに入ったことないけど」
「欲しい物はあるか?」
「うーん・・・考えたけど今普通に生活させて貰ってるから充分だよ」
「女なんだし、何かあるだろ。化粧品とか、アクセサリーとか・・・」
「うーん・・・戦う時邪魔じゃない?」
「そのスタンスから離れろ」
そうはいっても長年の蓄積で染みついてしまった考え方を変えるのは難しかった。
「とりあえず歩くか」
このままではフロアマップの前から動けそうにないので、相澤さんは適当に歩き出した。
「まずは服を見に行くぞ」
********
名前は欲がないというよりは、欲しい物が分からないようだ。
ミッドナイトさんも誘ったのだが生憎今日は都合がつかなかった。
来れる時に来ておこうと思い、実行したのだがいかんせん俺も女物は分からない。
「ここ、入ってみるか?」
物珍しそうにキョロキョロしている名前に声を掛けた。
俺が指差したのは、今授業を担当しているクラスの女子生徒が雑誌を広げながら話していたファッションブランドの店だった。
「・・・あそこはさすがに」
「今高校生の間で流行ってるらしいぞ」
「・・・相澤さん、私のこといくつだと思ってる?」
「・・・そういえば何歳なんだ?」
「歳を数えるのは10歳で止めたけど、少なくとも成人はしてるよ。相澤さんとそんなに変わらないんじゃないかな」
その言葉に衝撃を受けた。
いや、しかし自分も二度ほど思ったではないか。
一見普通の"女性"だと。
俺は頭を抱えた。
「相澤さん?」
「いや、自分と歳が変わらないのによくいきなり俺の家に住めたなと思って」
「そこはほら、私強いし」
そういう問題なのか。
だが、確かに今までの名前の冷静さや状況の対応力を見ていると、成人している方が違和感ないかもしれない。
「だから、お店としてはあっちの方が合ってるかな」
名前は20代向けのレディースファッションを扱う店を指した。
「とりあえず行くか」