【22章】変化
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車を走らせること小一時間。
とあるビルの立体駐車場に入った。
「ここって・・・」
停車した車から降りると、相澤さんに手を引かれて駐車場から繋がっている入り口に入った。
エレベーターに乗り込むと、そこには見た事のないほど沢山の数字。
相澤さんはその最上階のボタンを押した。
「うっ・・・。耳が・・・」
「唾飲んどけ」
気圧の変化で耳がキーンと痛む。
相澤さんに言われた通り唾を飲むと、楽になった。
最上階についたエレベーターから降りた。
「いらっしゃいませ」
「予約した相澤です」
「少々お待ちください」
ガラス張りの窓に近づくと、街並みが見えた。
見下ろすと車が豆粒ほどの大きさで道路を走っている。
「ここは・・・ホテル?」
「初めてか?」
「うん」
「なら良かった」
インテリアも落ち着いていて大人な雰囲気。
普段学校で過ごしているので余計にそう思った。
「お待たせいたしました。ご案内します」
スタッフの後ろについていく。
慣れない空間にソワソワしてしまう。
格好いい相澤さんの隣で、自分は浮いているんじゃないかと気になった。
「どうした、挙動不審だぞ」
ククッと笑われた。
「だ、だって。落ち着かない・・・。私変じゃない?」
「大丈夫だ」
案内された席は窓際で、景色を一望できた。
「綺麗だね」
「普段飛んでても思うものか」
「そりゃ、思うよ」
「メニューはもう先に頼んである。飲み物はどうする?」
相澤さんはドリンクのページを開けて渡してくれた。
「どうしようかな・・・」
「俺はコーヒーで」
「じゃあ、私はアールグレイで」
スタッフにメニューを返した。
料理が運ばれてくるまでの間、私達はもっぱら最近のA組について話をした。
「早くプロヒーローになりたいなぁ」
「少し心配だな」
「ええっ。ヒーローになれって言ったの相澤さんじゃん」
「あの時とは関係性が違う・・・。目の届く範囲にいないと落ち着かん」
「子どもじゃないんだけど、私」
「恋人だろ」
相澤さんって案外過保護なのかも。
恥ずかしいけど嬉しい。
「ありがとう。でも私、頑張ってヒーローになる」
「怪我しないようにな。よく無茶をするから」
「できるだけ努力する」
話している間に料理が運ばれてきた。
「うわぁ」
これは砂藤くんに聞いた事がある。
「アフタヌーンティーだ」
三段のティースタンドに盛り付けられた軽食とお菓子。
ホテルのアフタヌーンティーなので、上品で綺麗にまとまっている。
「なんだか食べるの勿体ないね」
宝石のようにキラキラしている食べ物に目が奪われた。
しばらく目で楽しんだ後、ありがたく手を合わせた。
「いただきます」
********************
「あ~幸せ」
人生初めての「甘い」を堪能している名前はとろける顔をして、目の前のケーキに舌鼓をうっていた。
俺のことなんて見ていない。
「良かったな」
「本当にありがとう」
「もう何度も聞いた」
俺達の年齢でホテルの食事など何も珍しいことではない。
しかし名前にとっては何もかもが初めてだった。
「どれが一番好きだった?」
「え~!そんなの決められないよ。こっちは濃厚だったし、こっちは酸味が効いてて良かったし」
「甘い」を覚えた中、添えられていた柑橘類の酸味に触れた時の顔は少し笑った。
目を丸くして「甘くない!」と言うので、それは「酸っぱいだよ」と教えた。
美味しさを引き立たせるために食材同士を組み合わせるんだよと言えば、なるほどと頷いた。
「甘い物って美味しいね!なんだかとっても満たされる」
「あ、ちなみに味覚の中で甘い物は一番太るからな」
「えっ・・・」
カチャン、とフォークを置き口元をおさえている名前を見て笑った。
「まぁ、普段身体動かしてるからちょっとぐらい大丈夫だ」
「聞きたくなかった・・・!だって砂藤くんとか百ちゃん凄い食べてるじゃん」
「あいつらは特別だ」
太るのは嫌だ・・・とお腹回りを気にする名前の頬をつついた。
「俺としてはもう少し肉がついても可愛いと思う」
顔を赤らめながら名前は再度フォークを取り、残っていたケーキをつついた。
********
「お腹いっぱい」
「俺はしばらく甘い物はいらない」
そういえば、あまり甘い物が好きじゃない相澤さん。
無理させちゃったかな、と思った。
そんな私の思考を読んだ相澤さんは、ぽんと私の頭に手を乗せた。
「俺が連れて来たかったんだ」
「とっても美味しかった」
「景色も良かったしな。また来よう」
「嬉しい!」
ぴょんっと相澤さんの腕に絡みついて、上を見上げると彼の表情はとても優しくて。
過剰な愛情表現をする人ではないけれど。
ああ・・・私ちゃんと愛されてるな、と思った。
とあるビルの立体駐車場に入った。
「ここって・・・」
停車した車から降りると、相澤さんに手を引かれて駐車場から繋がっている入り口に入った。
エレベーターに乗り込むと、そこには見た事のないほど沢山の数字。
相澤さんはその最上階のボタンを押した。
「うっ・・・。耳が・・・」
「唾飲んどけ」
気圧の変化で耳がキーンと痛む。
相澤さんに言われた通り唾を飲むと、楽になった。
最上階についたエレベーターから降りた。
「いらっしゃいませ」
「予約した相澤です」
「少々お待ちください」
ガラス張りの窓に近づくと、街並みが見えた。
見下ろすと車が豆粒ほどの大きさで道路を走っている。
「ここは・・・ホテル?」
「初めてか?」
「うん」
「なら良かった」
インテリアも落ち着いていて大人な雰囲気。
普段学校で過ごしているので余計にそう思った。
「お待たせいたしました。ご案内します」
スタッフの後ろについていく。
慣れない空間にソワソワしてしまう。
格好いい相澤さんの隣で、自分は浮いているんじゃないかと気になった。
「どうした、挙動不審だぞ」
ククッと笑われた。
「だ、だって。落ち着かない・・・。私変じゃない?」
「大丈夫だ」
案内された席は窓際で、景色を一望できた。
「綺麗だね」
「普段飛んでても思うものか」
「そりゃ、思うよ」
「メニューはもう先に頼んである。飲み物はどうする?」
相澤さんはドリンクのページを開けて渡してくれた。
「どうしようかな・・・」
「俺はコーヒーで」
「じゃあ、私はアールグレイで」
スタッフにメニューを返した。
料理が運ばれてくるまでの間、私達はもっぱら最近のA組について話をした。
「早くプロヒーローになりたいなぁ」
「少し心配だな」
「ええっ。ヒーローになれって言ったの相澤さんじゃん」
「あの時とは関係性が違う・・・。目の届く範囲にいないと落ち着かん」
「子どもじゃないんだけど、私」
「恋人だろ」
相澤さんって案外過保護なのかも。
恥ずかしいけど嬉しい。
「ありがとう。でも私、頑張ってヒーローになる」
「怪我しないようにな。よく無茶をするから」
「できるだけ努力する」
話している間に料理が運ばれてきた。
「うわぁ」
これは砂藤くんに聞いた事がある。
「アフタヌーンティーだ」
三段のティースタンドに盛り付けられた軽食とお菓子。
ホテルのアフタヌーンティーなので、上品で綺麗にまとまっている。
「なんだか食べるの勿体ないね」
宝石のようにキラキラしている食べ物に目が奪われた。
しばらく目で楽しんだ後、ありがたく手を合わせた。
「いただきます」
********************
「あ~幸せ」
人生初めての「甘い」を堪能している名前はとろける顔をして、目の前のケーキに舌鼓をうっていた。
俺のことなんて見ていない。
「良かったな」
「本当にありがとう」
「もう何度も聞いた」
俺達の年齢でホテルの食事など何も珍しいことではない。
しかし名前にとっては何もかもが初めてだった。
「どれが一番好きだった?」
「え~!そんなの決められないよ。こっちは濃厚だったし、こっちは酸味が効いてて良かったし」
「甘い」を覚えた中、添えられていた柑橘類の酸味に触れた時の顔は少し笑った。
目を丸くして「甘くない!」と言うので、それは「酸っぱいだよ」と教えた。
美味しさを引き立たせるために食材同士を組み合わせるんだよと言えば、なるほどと頷いた。
「甘い物って美味しいね!なんだかとっても満たされる」
「あ、ちなみに味覚の中で甘い物は一番太るからな」
「えっ・・・」
カチャン、とフォークを置き口元をおさえている名前を見て笑った。
「まぁ、普段身体動かしてるからちょっとぐらい大丈夫だ」
「聞きたくなかった・・・!だって砂藤くんとか百ちゃん凄い食べてるじゃん」
「あいつらは特別だ」
太るのは嫌だ・・・とお腹回りを気にする名前の頬をつついた。
「俺としてはもう少し肉がついても可愛いと思う」
顔を赤らめながら名前は再度フォークを取り、残っていたケーキをつついた。
********
「お腹いっぱい」
「俺はしばらく甘い物はいらない」
そういえば、あまり甘い物が好きじゃない相澤さん。
無理させちゃったかな、と思った。
そんな私の思考を読んだ相澤さんは、ぽんと私の頭に手を乗せた。
「俺が連れて来たかったんだ」
「とっても美味しかった」
「景色も良かったしな。また来よう」
「嬉しい!」
ぴょんっと相澤さんの腕に絡みついて、上を見上げると彼の表情はとても優しくて。
過剰な愛情表現をする人ではないけれど。
ああ・・・私ちゃんと愛されてるな、と思った。
