【21章】終焉
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多対1。
時間がないといえどもそれなりに準備をし、作戦を練ってきた。
戦況はこちらに分がある。
ホークスはさすがプロヒーローといったところで、私の動きに合わせてくれている。
「なかなかやるね・・・でも!」
あの時とは違う。
私は一人じゃない。
黒翼を喰種に向かって放射した。
「チッ!」
逃げるのが精一杯の喰種。
いつかは体力が尽きる。
私の攻撃を避けた際の隙をホークスは見逃さなかった。
「ぐわっ!」
ホークスの一撃が決まった。
と同時に、捕縛布が喰種の身体に巻き付く。
「(相澤さん!)」
しっかり捕縛された男は身動きが取れない。
「これで終わりです」
一瞬だった。
ホークスは躊躇うことなく男の喉元を掻き切った。
動かなくなった男は地面に横たわった。
「ふぅ・・・」
私は息を吐いた。
「お疲れさん」
「無事に終わって良かった・・・」
ほっと胸を撫で下ろした。
でも私達はここからが勝負だ。
相澤さんの目をちらりと見ると、いつもと全く様子が変わらない。
私はこれから逃げることで頭がいっぱいだというのに。
ポーカーフェイスが上手すぎる。
私は流れた汗を拭った。
「マイク、終わった」
相澤さんが外に居るマイク先生達に連絡を取った。
「ホークス、今日はありがとうございました。この後は我々で処理しますので」
「よろしくお願いします。じゃあ、またね名前ちゃん」
「さようなら」
私は「また」とは返せなかった。
ホークスと会うのはこれで最後になるだろう。
飛んでいく後ろ姿を目に焼き付けた。
********
喰種であるということもあり、通常の遺体処理ではなく研究機関に回されるそうだ。
「マイク、生徒達の監督があるから名前と先に学校に戻ろうと思う。あと頼むぞ」
「了解」
最もらしい理由を付けて別行動を促した。
相澤さんは捕縛布を回収するために、地面に横たわっている男へと近づいた。
その一連の動作を目で追っていた時、私は男の指が僅かに動いたことに気付いた。
「相澤さんっ!」
私は瞬時に相澤さんの元へ移動し、突き飛ばした。
***********
「名前!!!!」
相澤さんの声が聞こえる。
「大丈夫だよ」って言いたいのに、重くて口が開かない。
血の味が口内に広がった。
こと切れたと思っていた男は息を吹き返して、道連れだと言わんばかりに最期の力で相澤さんに向かって黒翼を貫こうとした。
なんとか間に合って良かった。
男を見やると今度こそ絶命していた。
あの時とは違って致命傷は避けた。
しかし、傷は深い。
重力に従って落ちる身体を相澤さんが受け止めた。
「嘘だろ、名前ちゃん!」
「医療班!」
バタバタ騒がしくなった。
マイク先生やミッドナイト先生が忙しなく動いていた。
「ごめん、相澤さん。計画狂った」
「喋るな。ゆっくり息を吸え」
瞼が重い。
「これで良かったんだよ。やっぱり相澤さんには雄英に残ってほしい」
これで良かった。
そう思いたい。
でも・・・。
「でも、やっぱり私も一緒にいたい。皆と一緒に卒業したい」
「良い子でいるから。迷惑かけないようにするから」
「相澤さんの傍にいたい。一緒に生きたい」
自分だけが居なくなればいいなんて、やっぱりそんなの綺麗ごとだ。
いつか相澤さんが言っていた。
困った時はこう言えって。
「相澤さん、助けて」
****************
握った手は冷たくて。
名前の顔色がどんどん血の気を失っていく。
「相澤さん、助けて」
その言葉を最後に名前の瞳は閉じた。
脈を確認すると弱弱しいが、ちゃんと動いている。
名前が初めて漏らした本音。
「大丈夫だ、助けてやるから」
俺はズボンのポケットから小瓶を取り出した。
「イレイザー、もう医療班が到着する・・・ってそれ何?」
「俺の血だ」
「へ?」
小瓶を口に含むと血の味が広がる。
それをそのまま名前の口を開いて流し込んだ。
「え、何してんの?」
「喰種は何で人間を捕食するんだろうな」
「さ、さあ?」
「予想にすぎないが・・・人間の栄養価が喰種にとっては高いのかもしれん」
名前が飢餓状態になった件を受けて、俺は何かあったときのためにリカバリーガールに頼んで採血をしていた。
肉片には及ばないかもしれないが、血であっても役に立つときが来るかもしれないと考えて。
1本分を飲み干したのを確認すると、2本目を取り出して開けた。
「それ、何本あんの?」
「とりあえず10本」
仕事の合間を縫いながら少しずつ溜めた俺の血だ。
「・・・傷口塞がってきてる!」
5本の小瓶が開いたころ、マイクが安堵した声を漏らした。
時間がないといえどもそれなりに準備をし、作戦を練ってきた。
戦況はこちらに分がある。
ホークスはさすがプロヒーローといったところで、私の動きに合わせてくれている。
「なかなかやるね・・・でも!」
あの時とは違う。
私は一人じゃない。
黒翼を喰種に向かって放射した。
「チッ!」
逃げるのが精一杯の喰種。
いつかは体力が尽きる。
私の攻撃を避けた際の隙をホークスは見逃さなかった。
「ぐわっ!」
ホークスの一撃が決まった。
と同時に、捕縛布が喰種の身体に巻き付く。
「(相澤さん!)」
しっかり捕縛された男は身動きが取れない。
「これで終わりです」
一瞬だった。
ホークスは躊躇うことなく男の喉元を掻き切った。
動かなくなった男は地面に横たわった。
「ふぅ・・・」
私は息を吐いた。
「お疲れさん」
「無事に終わって良かった・・・」
ほっと胸を撫で下ろした。
でも私達はここからが勝負だ。
相澤さんの目をちらりと見ると、いつもと全く様子が変わらない。
私はこれから逃げることで頭がいっぱいだというのに。
ポーカーフェイスが上手すぎる。
私は流れた汗を拭った。
「マイク、終わった」
相澤さんが外に居るマイク先生達に連絡を取った。
「ホークス、今日はありがとうございました。この後は我々で処理しますので」
「よろしくお願いします。じゃあ、またね名前ちゃん」
「さようなら」
私は「また」とは返せなかった。
ホークスと会うのはこれで最後になるだろう。
飛んでいく後ろ姿を目に焼き付けた。
********
喰種であるということもあり、通常の遺体処理ではなく研究機関に回されるそうだ。
「マイク、生徒達の監督があるから名前と先に学校に戻ろうと思う。あと頼むぞ」
「了解」
最もらしい理由を付けて別行動を促した。
相澤さんは捕縛布を回収するために、地面に横たわっている男へと近づいた。
その一連の動作を目で追っていた時、私は男の指が僅かに動いたことに気付いた。
「相澤さんっ!」
私は瞬時に相澤さんの元へ移動し、突き飛ばした。
***********
「名前!!!!」
相澤さんの声が聞こえる。
「大丈夫だよ」って言いたいのに、重くて口が開かない。
血の味が口内に広がった。
こと切れたと思っていた男は息を吹き返して、道連れだと言わんばかりに最期の力で相澤さんに向かって黒翼を貫こうとした。
なんとか間に合って良かった。
男を見やると今度こそ絶命していた。
あの時とは違って致命傷は避けた。
しかし、傷は深い。
重力に従って落ちる身体を相澤さんが受け止めた。
「嘘だろ、名前ちゃん!」
「医療班!」
バタバタ騒がしくなった。
マイク先生やミッドナイト先生が忙しなく動いていた。
「ごめん、相澤さん。計画狂った」
「喋るな。ゆっくり息を吸え」
瞼が重い。
「これで良かったんだよ。やっぱり相澤さんには雄英に残ってほしい」
これで良かった。
そう思いたい。
でも・・・。
「でも、やっぱり私も一緒にいたい。皆と一緒に卒業したい」
「良い子でいるから。迷惑かけないようにするから」
「相澤さんの傍にいたい。一緒に生きたい」
自分だけが居なくなればいいなんて、やっぱりそんなの綺麗ごとだ。
いつか相澤さんが言っていた。
困った時はこう言えって。
「相澤さん、助けて」
****************
握った手は冷たくて。
名前の顔色がどんどん血の気を失っていく。
「相澤さん、助けて」
その言葉を最後に名前の瞳は閉じた。
脈を確認すると弱弱しいが、ちゃんと動いている。
名前が初めて漏らした本音。
「大丈夫だ、助けてやるから」
俺はズボンのポケットから小瓶を取り出した。
「イレイザー、もう医療班が到着する・・・ってそれ何?」
「俺の血だ」
「へ?」
小瓶を口に含むと血の味が広がる。
それをそのまま名前の口を開いて流し込んだ。
「え、何してんの?」
「喰種は何で人間を捕食するんだろうな」
「さ、さあ?」
「予想にすぎないが・・・人間の栄養価が喰種にとっては高いのかもしれん」
名前が飢餓状態になった件を受けて、俺は何かあったときのためにリカバリーガールに頼んで採血をしていた。
肉片には及ばないかもしれないが、血であっても役に立つときが来るかもしれないと考えて。
1本分を飲み干したのを確認すると、2本目を取り出して開けた。
「それ、何本あんの?」
「とりあえず10本」
仕事の合間を縫いながら少しずつ溜めた俺の血だ。
「・・・傷口塞がってきてる!」
5本の小瓶が開いたころ、マイクが安堵した声を漏らした。
