【3章】決意
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今日も一日を終え、夜ご飯を食べるために食堂へ立ち寄った。
生姜焼き定食が用意されていたが、相変わらず味が分からない。
私の目の前で黙々と食べている相澤さんに意を決して話しかけた。
「ねえ」
「なんだ」
「さっきの話なんだけど・・・」
相澤さんは食べる手を止めた。
「ヒーロー・・・すごく興味ある。なれるならなりたいって思った。でも・・・」
脳裏に過去の映像が過る。
「私、向こうの世界で沢山人を殺してるの」
きっと驚くと思った相澤さんの表情は全く変わらなかった。
「だろうな」
「わかってたの?」
過去殺した人間には最期命乞いをしてきた人もごまんといる。
家族がいる者、将来有望な若者、そんな人々の命を私は奪ってきた。
「そんな世界にいたらそうなる。過去のことは忘れろとは言わんが、思い出すのは自分に都合のいいものだけにしろ」
私にとっていい思い出など片手で十分に足りる。
「こちらの世界では名前は誰も殺していない。名前のやる気さえあれば俺がヒーローにしてやる」
相澤さんの言葉は魔法のようで。
私は思わず頷いていた。
しかし、私はまだ重要なことを隠していた。
これでますます言えなくなってしまった。
*******************
私がヒーローを目指すことが決まってからは目まぐるしい毎日だ。
「今日算数をやるぞ」
「はーい」
相澤さんは今春1-Aを担任するらしく私はそこへ入ることになる。
試験を受けないいわゆる裏口入学になるのだが、雄英高校は偏差値が高いので周りに疑われないためにも、私はいけるところまで学力向上に努めなければならない。
といっても私は今まで学校に行ったことがないので、相澤さんが始めに持ってきたのは小学生のドリルだった。
「・・・相澤さん私のこと馬鹿にしすぎでしょ。さすがに足し算引き算とかできるよ」
「そうなのか」
「生活に必要な知識はあるよ」
「それは失礼した」
「いいよ。やる」
できるといっても自分自身怪しい気がしたので、ドリルを開いてそこに書かれている問題を解いていった。
相澤さんのデスクの隣でひたすらペンを動かした。
********
やはり名前は元々のポテンシャルが非常に高いことがここ数日で再確認できた。
俺が授業中の間、用意した問題集を解くように言ってある。
帰って来てみれば、分からない箇所には俺の引き出しから勝手に出した付箋を貼り、戻ってくるまでの間教科書を読み進めている。
始めはサボるかと思ったが、他の教員に俺がいない間の様子を聞くとずっと集中して余所見することはないとか。
マイクがちょっかいを掛けに行った時も「ここ分からない」と英語の質問をしてきたそうだ。
「ちょっと休憩した方がいい」
そんなハイペースだと身体が持たないぞ、と言えば名前はフルフルと頭を横に振った。
「すごく集中出来ているのが自分でわかるの。いけるところまでやりたい」
顔を上げた名前の瞳は輝いて見えた。
勉強とはできればやりたくないものだと思っていた。
俺も正直、必要なことだからやっていたにすぎない。
しかし今の名前は勉強が楽しいといわんばかりだ。
そんな名前の前向きな姿勢に教員である我々が協力しないはずもなく。
いつの間にか手が空いている教員が自分の専門教科を見る、といったサイクルが出来上がっていた。
生姜焼き定食が用意されていたが、相変わらず味が分からない。
私の目の前で黙々と食べている相澤さんに意を決して話しかけた。
「ねえ」
「なんだ」
「さっきの話なんだけど・・・」
相澤さんは食べる手を止めた。
「ヒーロー・・・すごく興味ある。なれるならなりたいって思った。でも・・・」
脳裏に過去の映像が過る。
「私、向こうの世界で沢山人を殺してるの」
きっと驚くと思った相澤さんの表情は全く変わらなかった。
「だろうな」
「わかってたの?」
過去殺した人間には最期命乞いをしてきた人もごまんといる。
家族がいる者、将来有望な若者、そんな人々の命を私は奪ってきた。
「そんな世界にいたらそうなる。過去のことは忘れろとは言わんが、思い出すのは自分に都合のいいものだけにしろ」
私にとっていい思い出など片手で十分に足りる。
「こちらの世界では名前は誰も殺していない。名前のやる気さえあれば俺がヒーローにしてやる」
相澤さんの言葉は魔法のようで。
私は思わず頷いていた。
しかし、私はまだ重要なことを隠していた。
これでますます言えなくなってしまった。
*******************
私がヒーローを目指すことが決まってからは目まぐるしい毎日だ。
「今日算数をやるぞ」
「はーい」
相澤さんは今春1-Aを担任するらしく私はそこへ入ることになる。
試験を受けないいわゆる裏口入学になるのだが、雄英高校は偏差値が高いので周りに疑われないためにも、私はいけるところまで学力向上に努めなければならない。
といっても私は今まで学校に行ったことがないので、相澤さんが始めに持ってきたのは小学生のドリルだった。
「・・・相澤さん私のこと馬鹿にしすぎでしょ。さすがに足し算引き算とかできるよ」
「そうなのか」
「生活に必要な知識はあるよ」
「それは失礼した」
「いいよ。やる」
できるといっても自分自身怪しい気がしたので、ドリルを開いてそこに書かれている問題を解いていった。
相澤さんのデスクの隣でひたすらペンを動かした。
********
やはり名前は元々のポテンシャルが非常に高いことがここ数日で再確認できた。
俺が授業中の間、用意した問題集を解くように言ってある。
帰って来てみれば、分からない箇所には俺の引き出しから勝手に出した付箋を貼り、戻ってくるまでの間教科書を読み進めている。
始めはサボるかと思ったが、他の教員に俺がいない間の様子を聞くとずっと集中して余所見することはないとか。
マイクがちょっかいを掛けに行った時も「ここ分からない」と英語の質問をしてきたそうだ。
「ちょっと休憩した方がいい」
そんなハイペースだと身体が持たないぞ、と言えば名前はフルフルと頭を横に振った。
「すごく集中出来ているのが自分でわかるの。いけるところまでやりたい」
顔を上げた名前の瞳は輝いて見えた。
勉強とはできればやりたくないものだと思っていた。
俺も正直、必要なことだからやっていたにすぎない。
しかし今の名前は勉強が楽しいといわんばかりだ。
そんな名前の前向きな姿勢に教員である我々が協力しないはずもなく。
いつの間にか手が空いている教員が自分の専門教科を見る、といったサイクルが出来上がっていた。