【19章】敵
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結局、昨日はあれから口田くんが呼ばれることはなかった。
「やばい、ちょっと寝すぎた」
私はバタバタと階段を駆け降り、朝食を取り出してテーブルにつく。
「珍しいね、名字が寝過ごすって」
もう準備が終わっている三奈ちゃんに声を掛けられた。
「うん、二度寝しちゃった」
慌てて朝食を放り込む。
何が何でも朝ごはんは食べておかないと、飢餓状態になったらたまったもんじゃない。
咀嚼する回数は最小限にして、最後は掻き込むようにして平らげると最低限の身支度を整えて寮を出た。
********
今日は特に変わったことはなく、1日が終わった。
警報の件があるので、神経を研ぎ澄ませていたが問題はなかった。
夜ご飯を終え、共有ソファを陣取ってテレビを見ていた。
「このドラマ、面白いよね」
「早く犯人が知りたいよな」
隣に座る轟くんも犯人が気になるらしい。
一週間も待たないといけないなんて。
「毎日細切れに放送してくれた方が待つフラストレーションないなぁ」
「朝ドラみたいに?」
「そうそう」
「話なかなか進まねぇ」
ちょうどドラマが終わって、次の番組が始まる間にニュースが挟まった。
『○○市にて2人目の被害者が出ました。20代女性。遺体の損傷が激しく、警察は身元特定を急いでいます。なお、襲ったと思われるクマは未だに見つかっておりません。近隣住民の方は夜間外出をお控えください。クマを目撃された方は・・・』
女性アナウンサーは淡々とニュース原稿を読み上げた。
「またか・・・」
轟くんは眉を顰めた。
「ここから近けぇから気を付けないとな」
「そうだね・・・」
私はモヤモヤした感情を抱いた。
クマが見つからない?
人間を襲うならそれなりに大きいはずなのに。
この個性社会でそんなことあるのだろうか。
「(もしかして・・・)」
私は嫌な予感がした。
そしてその嫌な予感の答え合わせをするかのように、相澤さんが寮の扉を開けて入ってきた。
「名字、ちょっといいか」
私はソファから立ち上がると相澤さんの元に向かい、そのまま教員寮へと連れていかれた。
*******************
相澤さんの部屋に通され、腰を下ろした。
「クマのニュースの件?」
「ああ」
「私が呼ばれたってことは・・・」
「まだ分からない。しかし・・・」
「思うところがあるんだよね?」
「・・・気になる情報が耳に入った。実は遺体の噛み跡がクマとは思えないそうだ」
「つまり・・・?」
「まるで人間が食べたようだと」
私は頭を抱えた。
どうして、失念したのだろう。
警報が鳴ったのはUSJ事件の時だけじゃない。
もう1つあったではないか。
"私"がこの世界にやってきた時だ。
「多分だけど、私と相澤さんの考えてること一緒だよね」
「おそらくな」
「あの警報は外から中に侵入した時に鳴ったものじゃない・・・」
私のように異世界からやってきた喰種が"中"から"外"へ出て行ったのだ。
********
最悪の事態だ。
全教員招集を受けて緊急会議が開かれた。
そして俺の隣には名字が座っている。
「やあ。みんな疲れているところ悪いね。前置きはこの辺で・・・相澤君」
「はい」
校長から話を振られ簡潔に状況を説明した。
「昨日起きた警報ですが・・・結論から言うと喰種が異世界から再びやって来た可能性があります。そしてその喰種が近日起こっているクマ事件の犯人であるかもしれません」
「どういうことだ!」
「クマ事件、クマが見つからないどころか噛み口が人のようだと聞いています。そして・・・」
「喰種の捕食対象は"人"です」
全員の目が名字に向いた。
こうなったのは俺に責任がある。
故意に隠した事実はこれ以上隠せないので正直に話そうと口を開いたとき、名字が遮った。
「黙っていてごめんなさい。私自身は半喰種の中でも珍しく、人の食事が取れます。私自身は人を食べないので隠してしまいました」
「相澤はこのこと知っていたのか!」
「いえ、私が先ほど"初めて"話しました」
「まあ、まあ。事態は一刻を争う。次の被害者を出さないために、そこの追及はよそう」
名前に庇われた。
訂正しようとしたが、校長が話を進めたことで機を失ってしまった。
「・・・・・・先日の警報が名字がこちらの世界に来たときと同様、喰種がやって来た時に鳴ったものであり、捕まえる前に外へ逃げてしまった。そして食事をするために人間を捕食した。そう考えるとこの事件の辻褄が合います。距離的にも○○市はすぐそこです」
名前から喰種の全貌を聞いたとき、俺は頭のどこかで懸念していた。
万一、悪意をもった喰種がこちらの世界にやってきたらどうするかと。
それがまさに現実に起こってしまった。
「やばい、ちょっと寝すぎた」
私はバタバタと階段を駆け降り、朝食を取り出してテーブルにつく。
「珍しいね、名字が寝過ごすって」
もう準備が終わっている三奈ちゃんに声を掛けられた。
「うん、二度寝しちゃった」
慌てて朝食を放り込む。
何が何でも朝ごはんは食べておかないと、飢餓状態になったらたまったもんじゃない。
咀嚼する回数は最小限にして、最後は掻き込むようにして平らげると最低限の身支度を整えて寮を出た。
********
今日は特に変わったことはなく、1日が終わった。
警報の件があるので、神経を研ぎ澄ませていたが問題はなかった。
夜ご飯を終え、共有ソファを陣取ってテレビを見ていた。
「このドラマ、面白いよね」
「早く犯人が知りたいよな」
隣に座る轟くんも犯人が気になるらしい。
一週間も待たないといけないなんて。
「毎日細切れに放送してくれた方が待つフラストレーションないなぁ」
「朝ドラみたいに?」
「そうそう」
「話なかなか進まねぇ」
ちょうどドラマが終わって、次の番組が始まる間にニュースが挟まった。
『○○市にて2人目の被害者が出ました。20代女性。遺体の損傷が激しく、警察は身元特定を急いでいます。なお、襲ったと思われるクマは未だに見つかっておりません。近隣住民の方は夜間外出をお控えください。クマを目撃された方は・・・』
女性アナウンサーは淡々とニュース原稿を読み上げた。
「またか・・・」
轟くんは眉を顰めた。
「ここから近けぇから気を付けないとな」
「そうだね・・・」
私はモヤモヤした感情を抱いた。
クマが見つからない?
人間を襲うならそれなりに大きいはずなのに。
この個性社会でそんなことあるのだろうか。
「(もしかして・・・)」
私は嫌な予感がした。
そしてその嫌な予感の答え合わせをするかのように、相澤さんが寮の扉を開けて入ってきた。
「名字、ちょっといいか」
私はソファから立ち上がると相澤さんの元に向かい、そのまま教員寮へと連れていかれた。
*******************
相澤さんの部屋に通され、腰を下ろした。
「クマのニュースの件?」
「ああ」
「私が呼ばれたってことは・・・」
「まだ分からない。しかし・・・」
「思うところがあるんだよね?」
「・・・気になる情報が耳に入った。実は遺体の噛み跡がクマとは思えないそうだ」
「つまり・・・?」
「まるで人間が食べたようだと」
私は頭を抱えた。
どうして、失念したのだろう。
警報が鳴ったのはUSJ事件の時だけじゃない。
もう1つあったではないか。
"私"がこの世界にやってきた時だ。
「多分だけど、私と相澤さんの考えてること一緒だよね」
「おそらくな」
「あの警報は外から中に侵入した時に鳴ったものじゃない・・・」
私のように異世界からやってきた喰種が"中"から"外"へ出て行ったのだ。
********
最悪の事態だ。
全教員招集を受けて緊急会議が開かれた。
そして俺の隣には名字が座っている。
「やあ。みんな疲れているところ悪いね。前置きはこの辺で・・・相澤君」
「はい」
校長から話を振られ簡潔に状況を説明した。
「昨日起きた警報ですが・・・結論から言うと喰種が異世界から再びやって来た可能性があります。そしてその喰種が近日起こっているクマ事件の犯人であるかもしれません」
「どういうことだ!」
「クマ事件、クマが見つからないどころか噛み口が人のようだと聞いています。そして・・・」
「喰種の捕食対象は"人"です」
全員の目が名字に向いた。
こうなったのは俺に責任がある。
故意に隠した事実はこれ以上隠せないので正直に話そうと口を開いたとき、名字が遮った。
「黙っていてごめんなさい。私自身は半喰種の中でも珍しく、人の食事が取れます。私自身は人を食べないので隠してしまいました」
「相澤はこのこと知っていたのか!」
「いえ、私が先ほど"初めて"話しました」
「まあ、まあ。事態は一刻を争う。次の被害者を出さないために、そこの追及はよそう」
名前に庇われた。
訂正しようとしたが、校長が話を進めたことで機を失ってしまった。
「・・・・・・先日の警報が名字がこちらの世界に来たときと同様、喰種がやって来た時に鳴ったものであり、捕まえる前に外へ逃げてしまった。そして食事をするために人間を捕食した。そう考えるとこの事件の辻褄が合います。距離的にも○○市はすぐそこです」
名前から喰種の全貌を聞いたとき、俺は頭のどこかで懸念していた。
万一、悪意をもった喰種がこちらの世界にやってきたらどうするかと。
それがまさに現実に起こってしまった。
