【17章】脱走
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「(全然一人にならないし・・・)」
スマホを出して時間を確認する。
1時間はゆうに超えた。
タイムリミットは夜明けまで。
誰かが起き出す前に戻らなければならない。
今日の監視役の相澤さんはきっと仮眠しているはず。
せめて有益な会話をしていれば聞く価値もあるのだが、雑談したり交代で仮眠したり。
「(今日は無理かなぁ)」
急いては事を仕損じる。
しばらくこの拠点から動かなさそうだし、また次の機会を狙えばいい。
そう考えていたそのとき、後ろからふわりと知っている匂いが鼻腔を掠めた。
驚いて振り向くと、一瞬で間合いを詰められ、口元を覆われた。
「(相澤さん・・・!)」
私は壁と相澤さんの間に挟まれてしまった。
********
「(めっちゃ怒ってる・・・)」
俵担ぎされたまま、ビュンビュンと街灯もない夜の街を駆けていく。
振り向いた時に合った視線は今までにないぐらい怖かった。
今も無言でただひたすら私を担いで走る。
言い訳なんてできない。
「(あーあ。こんなことになるぐらいなら無謀でも死柄木の首取りに行くべきだったかな)」
風景が、見慣れた景色に変わった。
しかし、ここは雄英高校ではなく・・・。
「(相澤さんの家?)」
私の見立て通り、相澤さんは自宅に着くと乱暴に鍵を開けて、私を自室のベッドに放り投げた。
面倒くさがりの相澤さんは入寮の時に家具を新調し、ここはそのままだった。
ポスンと着地し、ベッドの上で即座に正座をした。
「ごめんなさい」
そのまま頭を下げて、額をベッドに押し付ける。
「どうして俺を裏切った」
冷ややかな声が上から落ちてきた。
*******************
信じていた。
名前は自分を裏切ることなんてないと。
ヒーローとして間違っていると分かってはいたが、せめて監視カメラの苦痛が和らげばと思い情報を渡してしまった。
まさかそれを利用して抜け出すなんて。
俺はすぐさま名前を追った。
見つけた時、名前は一点に集中しており視線の先には敵連合がいた。
しかしだからといってこのまま戦闘を許可するわけにも、参戦するわけにもいかない。
まさか本当に見つけてしまうなんて。
これで最近の成績低下や睡眠不足の理由がはっきりした。
抜け出したのは今回だけじゃない。
発目に自分の疑似人形を作ってもらい、すり替わっていたんだな。
こんなことにも気づかないなんて、俺はいつから腑抜けたんだ。
動揺、後悔、怒り、悲しみ・・・
俺にもこんなに多様な感情があったのかと驚く程、心が乱れていた。
本人を目の当たりにして言いたいことは沢山あるが、まずはその場から離れるため名前を担ぎ上げ、自宅へと向かった。
道中、過行く景色の中色々考えたが一番初めに口をついて出たのは「どうして俺を裏切った」だった。
責めたかったわけではないはずだったのだが、思いの外自身の落胆は大きかった。
名前は俺の言うことは何でも聞くといった驕りがあったのかもしれない。
名前だって一人の人間だ。
感情だってある。
それなのにコントロールしようなど・・・。
様々な感情は溜息となって空気に混ざった。
「本当にごめんなさい。でも、私・・・やっぱり引けない」
なんということだろうか。
この期に及んでもまだ死柄木を追うというのか。
「どうして・・・」
「もう、終わりにしようと思うの」
終わりにする?
「どういう意味だ」
「ごめん、相澤さん。私ヒーローにはなれない」
「何?」
「ここで死柄木の首を取って、私は敵連合の一員じゃないことを証明する。その上で私は警察に収容されるために雄英を去るよ」
名前は覚悟を決めた目をしていた。
「きっと、今後もずっと私が居る限り相澤さんに迷惑を掛けることになる。死柄木と私が居なくなれば、雄英は平和になる。相澤さんのことを責める人だって居なくなる」
「何、言ってる。俺は迷惑なんて一度も」
「私が嫌なの!!」
名前の頬から涙が伝った。
「相澤さんは優しいから、しばらく苦しむと思う。でも、きっと時が解決してくれる」
「私なら大丈夫。だって、これは"私"がやりたいことだから」
俺はベッドに腰かけて名前の背中に手を置いた。
「どうして、そこまでするんだ」
「・・・そんなに変なことかな?」
「え?」
「好きになった男性 を守りたいって、そんなに変なことかな?」
顔を上げた名前が両手を伸ばして俺の頬を包んだ。
スマホを出して時間を確認する。
1時間はゆうに超えた。
タイムリミットは夜明けまで。
誰かが起き出す前に戻らなければならない。
今日の監視役の相澤さんはきっと仮眠しているはず。
せめて有益な会話をしていれば聞く価値もあるのだが、雑談したり交代で仮眠したり。
「(今日は無理かなぁ)」
急いては事を仕損じる。
しばらくこの拠点から動かなさそうだし、また次の機会を狙えばいい。
そう考えていたそのとき、後ろからふわりと知っている匂いが鼻腔を掠めた。
驚いて振り向くと、一瞬で間合いを詰められ、口元を覆われた。
「(相澤さん・・・!)」
私は壁と相澤さんの間に挟まれてしまった。
********
「(めっちゃ怒ってる・・・)」
俵担ぎされたまま、ビュンビュンと街灯もない夜の街を駆けていく。
振り向いた時に合った視線は今までにないぐらい怖かった。
今も無言でただひたすら私を担いで走る。
言い訳なんてできない。
「(あーあ。こんなことになるぐらいなら無謀でも死柄木の首取りに行くべきだったかな)」
風景が、見慣れた景色に変わった。
しかし、ここは雄英高校ではなく・・・。
「(相澤さんの家?)」
私の見立て通り、相澤さんは自宅に着くと乱暴に鍵を開けて、私を自室のベッドに放り投げた。
面倒くさがりの相澤さんは入寮の時に家具を新調し、ここはそのままだった。
ポスンと着地し、ベッドの上で即座に正座をした。
「ごめんなさい」
そのまま頭を下げて、額をベッドに押し付ける。
「どうして俺を裏切った」
冷ややかな声が上から落ちてきた。
*******************
信じていた。
名前は自分を裏切ることなんてないと。
ヒーローとして間違っていると分かってはいたが、せめて監視カメラの苦痛が和らげばと思い情報を渡してしまった。
まさかそれを利用して抜け出すなんて。
俺はすぐさま名前を追った。
見つけた時、名前は一点に集中しており視線の先には敵連合がいた。
しかしだからといってこのまま戦闘を許可するわけにも、参戦するわけにもいかない。
まさか本当に見つけてしまうなんて。
これで最近の成績低下や睡眠不足の理由がはっきりした。
抜け出したのは今回だけじゃない。
発目に自分の疑似人形を作ってもらい、すり替わっていたんだな。
こんなことにも気づかないなんて、俺はいつから腑抜けたんだ。
動揺、後悔、怒り、悲しみ・・・
俺にもこんなに多様な感情があったのかと驚く程、心が乱れていた。
本人を目の当たりにして言いたいことは沢山あるが、まずはその場から離れるため名前を担ぎ上げ、自宅へと向かった。
道中、過行く景色の中色々考えたが一番初めに口をついて出たのは「どうして俺を裏切った」だった。
責めたかったわけではないはずだったのだが、思いの外自身の落胆は大きかった。
名前は俺の言うことは何でも聞くといった驕りがあったのかもしれない。
名前だって一人の人間だ。
感情だってある。
それなのにコントロールしようなど・・・。
様々な感情は溜息となって空気に混ざった。
「本当にごめんなさい。でも、私・・・やっぱり引けない」
なんということだろうか。
この期に及んでもまだ死柄木を追うというのか。
「どうして・・・」
「もう、終わりにしようと思うの」
終わりにする?
「どういう意味だ」
「ごめん、相澤さん。私ヒーローにはなれない」
「何?」
「ここで死柄木の首を取って、私は敵連合の一員じゃないことを証明する。その上で私は警察に収容されるために雄英を去るよ」
名前は覚悟を決めた目をしていた。
「きっと、今後もずっと私が居る限り相澤さんに迷惑を掛けることになる。死柄木と私が居なくなれば、雄英は平和になる。相澤さんのことを責める人だって居なくなる」
「何、言ってる。俺は迷惑なんて一度も」
「私が嫌なの!!」
名前の頬から涙が伝った。
「相澤さんは優しいから、しばらく苦しむと思う。でも、きっと時が解決してくれる」
「私なら大丈夫。だって、これは"私"がやりたいことだから」
俺はベッドに腰かけて名前の背中に手を置いた。
「どうして、そこまでするんだ」
「・・・そんなに変なことかな?」
「え?」
「好きになった
顔を上げた名前が両手を伸ばして俺の頬を包んだ。
