【16章】夏祭り
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「二階堂君、そっちの資料取ってくれる?」
「はい!」
僕の名前は二階堂卓(すぐる)。
特に秀でた特技もなければ趣味もない、いわゆる凡人。
でも、僕には一つの夢・・・いや目標がある。
至って凡人の僕だが、今日まで平凡な人生だったかといえばそうじゃない。
約20年ほど前、僕は一人の少女に出会った。
当時の僕は学校に上手く馴染めなくて、放課後は近所の神社に行くことが多かった。
そこで彼女に出会った。
何となくウマが合った彼女は学校へは行っていないようだった。
その時点でもしかしたら・・・という考えが過ったが、それでも僕が授業で習った喰種はとても凶悪で、もし彼女が喰種であるならきっともう襲われているだろう。
そんな思いから「もしかしたら」の可能性をかき消していた。
子どもの気持ちなんて単純で。
何度も会えば会うほど彼女を好きになっていった。
彼女は僕にとっての初恋だった。
ある日、僕は勇気を出してこの神社で行われる祭りに彼女を誘った。
快諾してくれると思っていたのだが、予想外にも彼女は考え込んでしまった。
最終的にはOKしてくれた。
しかし事件はその日の帰り際に起こった。
いつもより帰る時間が少し遅くなってしまって。
正直、それ以降は記憶が曖昧だ。
かろうじて理解できたのは、喰種に襲われて、それを"喰種"の彼女が助けてくれた。
あの時彼女に告げた"誰にも言わない"約束は守るつもりだった。
お祭りだって行こうと思っていた。
しかし、幼い自分には喰種に襲われた体験が精神的に耐えられなくて。
夜中、度々魘されている僕を両親が心配した。
そして寝言で喰種に襲われたことを漏らしていたらしい。
僕はあの日遭った出来事を両親に話してしまった。
幼い僕はきちんと説明すれば、きっと彼女やその祖父と思われる人物は見逃してもらえると信じていた。
だって僕を助けてくれたから。
"名前ちゃんは捕まえないよね!?"
そうやって聞くと両親は大丈夫だと僕の頭を撫でた。
幼い僕は馬鹿みたいに安心した。
事情を聴きにきた喰種捜査局の人達も口を揃えて"大丈夫"だと言った。
だからお祭りのことも全て話してしまった。
しかし、祭り当日、会いに行こうとすると両親に止められた。
"どうして!?約束してるんだよ"
"ダメに決まってるでしょ!?喰種なのよ!?"
そこで初めてああ、僕は騙されたんだと気づいた。
何も持たない僕にはどうしようもなくて。
彼女とはそれっきり。
しかし僕はずっと引っかかっていることがあった。
いつの日だったか、彼女は僕が差し出したお菓子を食べていたのだ。
喰種は人間社会に溶け込むために人間と食事をする際は一部実際に食べて見せて、後からトイレ等で吐き出すと聞いた。
しかし彼女は食べた後どこかへ行くこともなかった。
現在、大人になった僕はある機関の研究職に就職した。
「あの、このファイル随分古いですね」
僕は棚に仕舞われている中のひと際年季の入ったファイルを手に取った。
「あ~、それね。昔、人間の食事ができる喰種が居たらしいよ」
「え!?すごいじゃないですか」
「でも残念ながら現在は消息不明。両親は捜査局にやられたらしい」
「へ~・・・」
僕はぺらっと中を確認した。
「名前ちゃん・・・?」
そこに挟まれた写真には、僕が出会った彼女よりもさらに幼い容姿の彼女が映っていた。
名前を確認して、確信に変わった。
「そうか、そうだったんだ」
君はずっと特別だったんだね。
一筋の涙が頬を伝った。
一通りファイルの中身に目を通すと、僕は気合いを入れるために頬を叩いた。
「どうしたの、二階堂くん!?」
急に頬を叩いた僕にギョッとした先輩が声を掛けた。
「残業しすぎでおかしくなった!?」
「いえ!むしろもっと頑張りたいです」
僕には夢・・・いや目標がある。
喰種が食べられる食事を開発すること。
人間と喰種が共存できる社会を作りたい。
そしてそれが叶ったその時には、もう一度君に会いたい。
「はい!」
僕の名前は二階堂卓(すぐる)。
特に秀でた特技もなければ趣味もない、いわゆる凡人。
でも、僕には一つの夢・・・いや目標がある。
至って凡人の僕だが、今日まで平凡な人生だったかといえばそうじゃない。
約20年ほど前、僕は一人の少女に出会った。
当時の僕は学校に上手く馴染めなくて、放課後は近所の神社に行くことが多かった。
そこで彼女に出会った。
何となくウマが合った彼女は学校へは行っていないようだった。
その時点でもしかしたら・・・という考えが過ったが、それでも僕が授業で習った喰種はとても凶悪で、もし彼女が喰種であるならきっともう襲われているだろう。
そんな思いから「もしかしたら」の可能性をかき消していた。
子どもの気持ちなんて単純で。
何度も会えば会うほど彼女を好きになっていった。
彼女は僕にとっての初恋だった。
ある日、僕は勇気を出してこの神社で行われる祭りに彼女を誘った。
快諾してくれると思っていたのだが、予想外にも彼女は考え込んでしまった。
最終的にはOKしてくれた。
しかし事件はその日の帰り際に起こった。
いつもより帰る時間が少し遅くなってしまって。
正直、それ以降は記憶が曖昧だ。
かろうじて理解できたのは、喰種に襲われて、それを"喰種"の彼女が助けてくれた。
あの時彼女に告げた"誰にも言わない"約束は守るつもりだった。
お祭りだって行こうと思っていた。
しかし、幼い自分には喰種に襲われた体験が精神的に耐えられなくて。
夜中、度々魘されている僕を両親が心配した。
そして寝言で喰種に襲われたことを漏らしていたらしい。
僕はあの日遭った出来事を両親に話してしまった。
幼い僕はきちんと説明すれば、きっと彼女やその祖父と思われる人物は見逃してもらえると信じていた。
だって僕を助けてくれたから。
"名前ちゃんは捕まえないよね!?"
そうやって聞くと両親は大丈夫だと僕の頭を撫でた。
幼い僕は馬鹿みたいに安心した。
事情を聴きにきた喰種捜査局の人達も口を揃えて"大丈夫"だと言った。
だからお祭りのことも全て話してしまった。
しかし、祭り当日、会いに行こうとすると両親に止められた。
"どうして!?約束してるんだよ"
"ダメに決まってるでしょ!?喰種なのよ!?"
そこで初めてああ、僕は騙されたんだと気づいた。
何も持たない僕にはどうしようもなくて。
彼女とはそれっきり。
しかし僕はずっと引っかかっていることがあった。
いつの日だったか、彼女は僕が差し出したお菓子を食べていたのだ。
喰種は人間社会に溶け込むために人間と食事をする際は一部実際に食べて見せて、後からトイレ等で吐き出すと聞いた。
しかし彼女は食べた後どこかへ行くこともなかった。
現在、大人になった僕はある機関の研究職に就職した。
「あの、このファイル随分古いですね」
僕は棚に仕舞われている中のひと際年季の入ったファイルを手に取った。
「あ~、それね。昔、人間の食事ができる喰種が居たらしいよ」
「え!?すごいじゃないですか」
「でも残念ながら現在は消息不明。両親は捜査局にやられたらしい」
「へ~・・・」
僕はぺらっと中を確認した。
「名前ちゃん・・・?」
そこに挟まれた写真には、僕が出会った彼女よりもさらに幼い容姿の彼女が映っていた。
名前を確認して、確信に変わった。
「そうか、そうだったんだ」
君はずっと特別だったんだね。
一筋の涙が頬を伝った。
一通りファイルの中身に目を通すと、僕は気合いを入れるために頬を叩いた。
「どうしたの、二階堂くん!?」
急に頬を叩いた僕にギョッとした先輩が声を掛けた。
「残業しすぎでおかしくなった!?」
「いえ!むしろもっと頑張りたいです」
僕には夢・・・いや目標がある。
喰種が食べられる食事を開発すること。
人間と喰種が共存できる社会を作りたい。
そしてそれが叶ったその時には、もう一度君に会いたい。
