見えにくい優しさ/爆豪
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いつぞやか「犬のきもち」という商品がヒットしていたと思う。
それを開発した人に是非とも次は「爆豪くんのきもち」を作って欲しい。
一応付き合って半年経つのだが…。
未だに彼を理解できていない。
私は雄英普通科に属している。
彼の言葉を借りるならいわゆるモブ。
無個性なのでモブの中のモブ。
キングオブモブなのだ。
馴れ初めは女子高生が憧れを抱く少女漫画のような甘いものではない。
爆豪くんとは同中で、そんなに喋ったことはないけれど、無個性だからといって緑谷くんのように攻撃されたことはない。
正直、存在にびびりまくっていた。
卒業を迎え、同じ高校といえどももう喋る機会なんてないんだろうなと思っていた。
ところがどっこい。
卒業式のあと呼び出された。
「俺と付き合え」
「はい?」
「いいんか。じゃあ連絡先教えろ」
私は疑問を呈したつもりだったのだが、彼は勘違いしてしまったよう。
しかしそれを訂正するには相手が相手だったので、チキンの私には到底無理だった。
結局誤解は解けぬままお付き合いすることに。
きっとすぐに飽きるだろうし、まあいいかと思っていたのだが今のところ振られる気配はない。
むしろ本当に付き合っているのか謎だ。
なぜなら特に恋人らしいことを求めて来るわけでもなく、クラスメイトの男子とさほど距離が変わらない気がする。
たまに一緒に帰るぐらいだ。
近頃、委員会でたまたま爆豪くんと一緒になって、数日間一緒に過ごした。
「めんどくせーな!」と暴言吐きながらも、器用な彼がちゃっちゃか仕事を捌いてくれたおかげで、私はほとんど役に立っていなかった。
「帰んぞ」
「うん」
私達は横並びになって歩いた。
爆豪くんはよく喋る(怒鳴る?)印象だが、私といるときは比較的大人しい気がする。
「・・・あ、体育祭1位おめでとう」
「あァ!?」
「ごめんなさい!」
前言撤回。大人しくはない。
まだ言ってなかったと思って伝えたのだが、地雷を踏んでしまったらしい。
よく思い出したら表彰台の彼は明らかに不服そうだった。
うう、私のバカ。
新しい話題話題・・・。
「・・・おいっ!」
ぐっと腕を引かれた。
「ちゃんと前見ろ、アホ」
「すみません・・・」
爆豪くんとの話題について考えすぎて、電柱に向かって突き進んでいたらしい。
呆れられてしまった。
恥ずかしくて下を向いた。
「あぶねーから前見て歩け」
「はい」
怒られてばかりだ。
もういっか。
盛り上がろうなんて考えずに怒られないで帰ろう。
はぁ、と小さく溜息を吐いた。
「ここ、寄ってくぞ」
「ん?わあ!クレープ!」
爆豪くんが示した先は移動販売車のクレープ屋さんだった。
甘い物に目がない私は飛びつくように看板の前に移動した。
お互い好きなクレープを頼み、併設されたベンチに腰を下ろした。
「爆豪くんのやつ、ご飯みたいだね」
「んなクソ甘いもん食えるか」
「ええ、クレープは甘いのがいいのに」
パクパクと食べ進める。
「いちご甘くて美味しい~。幸せ!」
「太るぞ」
「誘ったの爆豪くんじゃん」
「腹減ったんだよ」
「ヒーロー科運動量すごいもんね」
爆豪くんと寄り道するなんて初めてだ。
「ふふふ」
「なんだよ」
「なんかやっと恋人っぽいことできたなぁって思って」
「ハァ!?」
あれ、また私は地雷を踏んでしまったんだろうか。
「ごめんなさい・・・」
私はクレープを食べるフリをして顔を隠した。
「・・・いちいち謝んな」
トーンダウンした爆豪くんを横目で見ると少し眉間に皺を寄せていた。
「始まりが無理矢理だったから、名字が俺に慣れるとこから始めようと思ってた」
「始まりが無理矢理?」
「あん時、正面から言っても断られるのが目に見えてるから、流れを作っちまえばいいと思った」
「あん時」とは告白の時のことだろうか。
「え、爆豪くん確信犯だったの?」
「当たり前だろ。あの時の返答を了承として捉えるバカいねーだろ」
私は知らなかった事実に驚愕した。
「名字は流されやすすぎんだよ」
「流したのは爆豪くんなのに?」
笑いながら言えば、爆豪くんはホッとしたような表情を見せた。
「いつまで経っても俺にビクビクしてるから、こちとら遠慮してやってるっていうのに」
私が爆豪くんに気を遣ってるのと同じで、爆豪くんも私に気を遣ってくれていたんだ。
「ごめんね、気付かなくて」
「・・・俺も悪かった。気を付けてもつい大声上げちまう時がある」
「もしかして、クレープ誘ってくれたのもさっきの罪滅ぼし?」
「名字が湿気た面してたからな」
とても嬉しかった。
爆豪くんが考えていることを少し知れた。
本当に好かれているのかと思ったが、ちゃんと私好かれてる。
そして、私も爆豪くんのことちゃんと好きだ。
好きだから怒られると不安になるし、ビクビクしてしまう。
「これからもっと、爆豪くんのこと知りたい。爆豪くんももっと私のこと知っていってね」
「名字が思ってるよりずっとオメーのこと知っとるわ」
私達は次の休みに遊びに行く約束をした。
それを開発した人に是非とも次は「爆豪くんのきもち」を作って欲しい。
一応付き合って半年経つのだが…。
未だに彼を理解できていない。
私は雄英普通科に属している。
彼の言葉を借りるならいわゆるモブ。
無個性なのでモブの中のモブ。
キングオブモブなのだ。
馴れ初めは女子高生が憧れを抱く少女漫画のような甘いものではない。
爆豪くんとは同中で、そんなに喋ったことはないけれど、無個性だからといって緑谷くんのように攻撃されたことはない。
正直、存在にびびりまくっていた。
卒業を迎え、同じ高校といえどももう喋る機会なんてないんだろうなと思っていた。
ところがどっこい。
卒業式のあと呼び出された。
「俺と付き合え」
「はい?」
「いいんか。じゃあ連絡先教えろ」
私は疑問を呈したつもりだったのだが、彼は勘違いしてしまったよう。
しかしそれを訂正するには相手が相手だったので、チキンの私には到底無理だった。
結局誤解は解けぬままお付き合いすることに。
きっとすぐに飽きるだろうし、まあいいかと思っていたのだが今のところ振られる気配はない。
むしろ本当に付き合っているのか謎だ。
なぜなら特に恋人らしいことを求めて来るわけでもなく、クラスメイトの男子とさほど距離が変わらない気がする。
たまに一緒に帰るぐらいだ。
近頃、委員会でたまたま爆豪くんと一緒になって、数日間一緒に過ごした。
「めんどくせーな!」と暴言吐きながらも、器用な彼がちゃっちゃか仕事を捌いてくれたおかげで、私はほとんど役に立っていなかった。
「帰んぞ」
「うん」
私達は横並びになって歩いた。
爆豪くんはよく喋る(怒鳴る?)印象だが、私といるときは比較的大人しい気がする。
「・・・あ、体育祭1位おめでとう」
「あァ!?」
「ごめんなさい!」
前言撤回。大人しくはない。
まだ言ってなかったと思って伝えたのだが、地雷を踏んでしまったらしい。
よく思い出したら表彰台の彼は明らかに不服そうだった。
うう、私のバカ。
新しい話題話題・・・。
「・・・おいっ!」
ぐっと腕を引かれた。
「ちゃんと前見ろ、アホ」
「すみません・・・」
爆豪くんとの話題について考えすぎて、電柱に向かって突き進んでいたらしい。
呆れられてしまった。
恥ずかしくて下を向いた。
「あぶねーから前見て歩け」
「はい」
怒られてばかりだ。
もういっか。
盛り上がろうなんて考えずに怒られないで帰ろう。
はぁ、と小さく溜息を吐いた。
「ここ、寄ってくぞ」
「ん?わあ!クレープ!」
爆豪くんが示した先は移動販売車のクレープ屋さんだった。
甘い物に目がない私は飛びつくように看板の前に移動した。
お互い好きなクレープを頼み、併設されたベンチに腰を下ろした。
「爆豪くんのやつ、ご飯みたいだね」
「んなクソ甘いもん食えるか」
「ええ、クレープは甘いのがいいのに」
パクパクと食べ進める。
「いちご甘くて美味しい~。幸せ!」
「太るぞ」
「誘ったの爆豪くんじゃん」
「腹減ったんだよ」
「ヒーロー科運動量すごいもんね」
爆豪くんと寄り道するなんて初めてだ。
「ふふふ」
「なんだよ」
「なんかやっと恋人っぽいことできたなぁって思って」
「ハァ!?」
あれ、また私は地雷を踏んでしまったんだろうか。
「ごめんなさい・・・」
私はクレープを食べるフリをして顔を隠した。
「・・・いちいち謝んな」
トーンダウンした爆豪くんを横目で見ると少し眉間に皺を寄せていた。
「始まりが無理矢理だったから、名字が俺に慣れるとこから始めようと思ってた」
「始まりが無理矢理?」
「あん時、正面から言っても断られるのが目に見えてるから、流れを作っちまえばいいと思った」
「あん時」とは告白の時のことだろうか。
「え、爆豪くん確信犯だったの?」
「当たり前だろ。あの時の返答を了承として捉えるバカいねーだろ」
私は知らなかった事実に驚愕した。
「名字は流されやすすぎんだよ」
「流したのは爆豪くんなのに?」
笑いながら言えば、爆豪くんはホッとしたような表情を見せた。
「いつまで経っても俺にビクビクしてるから、こちとら遠慮してやってるっていうのに」
私が爆豪くんに気を遣ってるのと同じで、爆豪くんも私に気を遣ってくれていたんだ。
「ごめんね、気付かなくて」
「・・・俺も悪かった。気を付けてもつい大声上げちまう時がある」
「もしかして、クレープ誘ってくれたのもさっきの罪滅ぼし?」
「名字が湿気た面してたからな」
とても嬉しかった。
爆豪くんが考えていることを少し知れた。
本当に好かれているのかと思ったが、ちゃんと私好かれてる。
そして、私も爆豪くんのことちゃんと好きだ。
好きだから怒られると不安になるし、ビクビクしてしまう。
「これからもっと、爆豪くんのこと知りたい。爆豪くんももっと私のこと知っていってね」
「名字が思ってるよりずっとオメーのこと知っとるわ」
私達は次の休みに遊びに行く約束をした。
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