【3章】放っておけない
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心さんに助けてもらい、無事屋敷に戻って来たが、煙さんは私が誘拐されていたことすら知らない様子だった。
ここではどうやら人が居なくなることは日常茶飯事らしい。
恵比寿さんもまるで興味なさそうな反応だった。(少し期待してしまった分寂しい)
そんな中でも藤田さんは人一倍心配してくれたようで、他にも私のために駆けずり回ってくれた人達は帰宅を喜んでくれた。
「よかったなあ!戻ってこれて」
「はい!」
能井さんは大きな手で私の頭を撫でてくれた。
ちなみにここは彼女の部屋だ。
「心さんって優しいんですね」
「優しい・・・」
腕を組んで首を傾げた際、彼女の長い髪がパサリと揺れた。
「いや・・・オレ先輩のこと好きだけど優しいって思ったことはないかもな。いや、優しいか・・・?優しいのか・・・うーん」
「困らせちゃいましたね」
私は自分から聞いた質問なのに、それよりも能井さんが口にした"好き"という単語の方が頭に響いた。
この部屋に初めて来たとき驚いた。
壁には心さんとの写真がずらりと飾ってあったから。
あの時は「お付き合いしてるんですか?」と尋ねたらはっきりと否定された。
しかし、二人は両想いなのかもしれない。
モヤッ・・・。
「(モヤ・・・?)」
あの時は感じなかった新たな感情がふっと湧いた自分に戸惑う。
まさか助けてくれた心さんのことを好きになってしまったというのか。
「(た、単純すぎる・・・)」
正確には"気になる存在"ぐらいだと思う。
だから・・・。
「(まだ、引き返せる)」
私は壁に掛かった写真に目をやった。
あの二人に割って入るような真似、してはいけない。
能井さんが言う"好き"が今は人間性の話であったとしても、それがある日突然恋愛に変わることだってありえる。
そんなとき、自分が二人の邪魔をする存在になりたくない。
いや、そもそも邪魔する存在になるなんておこがましいか・・・。
「今日はもうそろそろお暇します」
「そうか?」
私は自分が座っていた場所を整えて、能井さんの部屋を後にした。
自室に戻る最中、後ろから呼び止められた。
「あの…名前ちゃん」
その声は藤田さんで、私は足を止めて振り返った。
「はい」
しかし立っていたのは藤田さんだけでなく、もう一人構成員が。
彼は手にカメラを持っていた。
「定期的にファミリーの写真を撮る日があって…。もしよかったら俺と一緒に撮ってもらえないかなぁ〜って」
「もちろん」
藤田さんは私の横に並んだ。
「撮りますよ〜」
カメラに向かってニコリと笑顔を作った。
「はい、撮れました!」
「あの、これって私も頂くことできますか?」
「もちろんですよ。出来上がったらお渡ししますね」
勝手なイメージだけど、こういう裏社会的なところは写真のような自分の情報に繋がるものは一切残さないものだと思っていた。
しかしよく考えてみたら煙さんの大きな自画像も飾ってあるし、存外寛容なのだろう。
「藤田さん、なんだか嬉しそうですね」
「え!?いやっ、ハハ・・・。写ってくれてありがとう」
「こちらこそ。誘ってくれてありがとうございます。・・・ん?」
私は藤田さんの後ろに人が並んでいることに気付いた。
「すみません。次、どうぞ」
カメラの順番待ちをしているのだと気づいて声を掛けたら、男性は私の隣に立った。
「?」
「自分も一枚いいですか?」
「え?私と?」
「はい」
その場の流れで横に立ってピースを作る。
そんなに仲良い認識はないのだが・・・私なんかと写真とって嬉しいのだろうか。
しかし、断るのも変だと思い、1枚撮ると、さらに別の人が私の隣へ・・・。
アイドルでもなんでもないのに、撮影会が始まってしまった。
「うへぇ・・・名前ちゃん人気者・・・」
単純に女性が少ないからでは・・・と思った。
でもみんなに喜んでもらえるなら、と笑顔を作った。
「なんだ?こんなところで・・・」
「あ、心さん!」
心さんの登場に、内心ドキリとしたが平静を装った。
「お疲れ様です、心さん」
「ああ」
「みんな名前ちゃんと写真撮りたくて並んでるんですよ~」
「写真?ああ・・・いつものやつか」
心さんとの写真・・・ちょっと欲しいかも。
能井さんと撮ってたなら写真嫌いではないはず・・・。
でも能井さんが特別なのかも。
断られたら寂しいし、やっぱりやめとこうと思ったところで、カメラマンさんがまるで私の胸中を覗いたかのように「心さんもどうですか?」と声を掛けた。
「あ?ああ・・・」
「え?いいんですか?」
「別に写真ぐらい・・・」
心さんは躊躇うことなくスッと私の隣に立った。
どんなポーズにしよう、さっきまでピースしてたけど心さんの隣でピースは違う気がする。
「はい、撮りますよ~」
わたわたして、結局直立不動の変哲もない写真になってしまった。
「じゃあな」
撮るだけ撮って颯爽と去っていった心さん。
「出来上がったら全部お渡ししますね」
カメラマンさんにそう言われたが、私が楽しみにしている写真はたった一枚だ。
「(早く出来上がらないかな・・・)」
さっき蓋をしようとした気持ちは、閉め切れそうになくなってしまった。
ここではどうやら人が居なくなることは日常茶飯事らしい。
恵比寿さんもまるで興味なさそうな反応だった。(少し期待してしまった分寂しい)
そんな中でも藤田さんは人一倍心配してくれたようで、他にも私のために駆けずり回ってくれた人達は帰宅を喜んでくれた。
「よかったなあ!戻ってこれて」
「はい!」
能井さんは大きな手で私の頭を撫でてくれた。
ちなみにここは彼女の部屋だ。
「心さんって優しいんですね」
「優しい・・・」
腕を組んで首を傾げた際、彼女の長い髪がパサリと揺れた。
「いや・・・オレ先輩のこと好きだけど優しいって思ったことはないかもな。いや、優しいか・・・?優しいのか・・・うーん」
「困らせちゃいましたね」
私は自分から聞いた質問なのに、それよりも能井さんが口にした"好き"という単語の方が頭に響いた。
この部屋に初めて来たとき驚いた。
壁には心さんとの写真がずらりと飾ってあったから。
あの時は「お付き合いしてるんですか?」と尋ねたらはっきりと否定された。
しかし、二人は両想いなのかもしれない。
モヤッ・・・。
「(モヤ・・・?)」
あの時は感じなかった新たな感情がふっと湧いた自分に戸惑う。
まさか助けてくれた心さんのことを好きになってしまったというのか。
「(た、単純すぎる・・・)」
正確には"気になる存在"ぐらいだと思う。
だから・・・。
「(まだ、引き返せる)」
私は壁に掛かった写真に目をやった。
あの二人に割って入るような真似、してはいけない。
能井さんが言う"好き"が今は人間性の話であったとしても、それがある日突然恋愛に変わることだってありえる。
そんなとき、自分が二人の邪魔をする存在になりたくない。
いや、そもそも邪魔する存在になるなんておこがましいか・・・。
「今日はもうそろそろお暇します」
「そうか?」
私は自分が座っていた場所を整えて、能井さんの部屋を後にした。
自室に戻る最中、後ろから呼び止められた。
「あの…名前ちゃん」
その声は藤田さんで、私は足を止めて振り返った。
「はい」
しかし立っていたのは藤田さんだけでなく、もう一人構成員が。
彼は手にカメラを持っていた。
「定期的にファミリーの写真を撮る日があって…。もしよかったら俺と一緒に撮ってもらえないかなぁ〜って」
「もちろん」
藤田さんは私の横に並んだ。
「撮りますよ〜」
カメラに向かってニコリと笑顔を作った。
「はい、撮れました!」
「あの、これって私も頂くことできますか?」
「もちろんですよ。出来上がったらお渡ししますね」
勝手なイメージだけど、こういう裏社会的なところは写真のような自分の情報に繋がるものは一切残さないものだと思っていた。
しかしよく考えてみたら煙さんの大きな自画像も飾ってあるし、存外寛容なのだろう。
「藤田さん、なんだか嬉しそうですね」
「え!?いやっ、ハハ・・・。写ってくれてありがとう」
「こちらこそ。誘ってくれてありがとうございます。・・・ん?」
私は藤田さんの後ろに人が並んでいることに気付いた。
「すみません。次、どうぞ」
カメラの順番待ちをしているのだと気づいて声を掛けたら、男性は私の隣に立った。
「?」
「自分も一枚いいですか?」
「え?私と?」
「はい」
その場の流れで横に立ってピースを作る。
そんなに仲良い認識はないのだが・・・私なんかと写真とって嬉しいのだろうか。
しかし、断るのも変だと思い、1枚撮ると、さらに別の人が私の隣へ・・・。
アイドルでもなんでもないのに、撮影会が始まってしまった。
「うへぇ・・・名前ちゃん人気者・・・」
単純に女性が少ないからでは・・・と思った。
でもみんなに喜んでもらえるなら、と笑顔を作った。
「なんだ?こんなところで・・・」
「あ、心さん!」
心さんの登場に、内心ドキリとしたが平静を装った。
「お疲れ様です、心さん」
「ああ」
「みんな名前ちゃんと写真撮りたくて並んでるんですよ~」
「写真?ああ・・・いつものやつか」
心さんとの写真・・・ちょっと欲しいかも。
能井さんと撮ってたなら写真嫌いではないはず・・・。
でも能井さんが特別なのかも。
断られたら寂しいし、やっぱりやめとこうと思ったところで、カメラマンさんがまるで私の胸中を覗いたかのように「心さんもどうですか?」と声を掛けた。
「あ?ああ・・・」
「え?いいんですか?」
「別に写真ぐらい・・・」
心さんは躊躇うことなくスッと私の隣に立った。
どんなポーズにしよう、さっきまでピースしてたけど心さんの隣でピースは違う気がする。
「はい、撮りますよ~」
わたわたして、結局直立不動の変哲もない写真になってしまった。
「じゃあな」
撮るだけ撮って颯爽と去っていった心さん。
「出来上がったら全部お渡ししますね」
カメラマンさんにそう言われたが、私が楽しみにしている写真はたった一枚だ。
「(早く出来上がらないかな・・・)」
さっき蓋をしようとした気持ちは、閉め切れそうになくなってしまった。
