【3章】放っておけない
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あっ、と思った時にはもう遅かった。
路地裏から伸びてきた手が私の腕を捉え、あっという間に拘束されてしまった。
叫び声を上げる暇もないまま、瞼が重くなり閉じてしまった。
そして、次に目が覚めたときは見知らぬ部屋にいた。
私の脳裏に浮かんだ心さんは「ほらな、だから言っただろ」と呆れていた。
「あ、気がついた」
テーブルに座っていた複数の男達が、私の方に視線を向けた。
私の目が覚めたことに気づいた男の手には銃が握られていた。
「いきなりで悪いね。でもさ、丁寧に❝一緒に来てください❞って言っても来ないだろ?」
男の目には十字目であることを示す、赤い入墨が目の周りの皮膚に彫られていた。
「乱暴したいわけじゃない」
そう言うわりには手に持った銃を離そうとしない男に不信感が募った。
「ただ協力してほしいんだ」
「……協力?」
「そっちにはすでに回復系キャラいるのに、こっちは魔法さえロクに使えない奴らの集まりなんだぜ。あまりに不公平だろ」
「そう言われましても…」
「そもそもさ、そっちは何で俺らを狙ってるわけ?俺らなんかした?」
この人達の言い分が何となく理解できた。
十字目はそもそもボスが行方不明で、現在組織として機能していないのだ。
下っ端の彼らからしたら、いきなり襲われてボスの居場所を尋ねられるのだからたまったもんじゃないだろう。
(心さん曰くは話し合いしにいってるだけなのに、十字目が先に手を出してくるからやり返しているだけらしいが…)
下っ端同士の横の連携もなさそうだし、おそらく風の噂程度で私達のことを聞いたグループが先手を打った形だろう。
「ここもいずれ襲撃されるなら…。最大限防衛しないと」
男は瓶を取り出した。
「お前、治癒魔法なんだろ」
「………」
「乱暴はしない。お前がこの中に魔法のケムリを詰めたら…だけどな」
私は空っぽの瓶を見つめた。
「私の魔法は…コントロールが必要なので、私が使わないと無理です」
「なんでだよ。治癒魔法ならケムリぶっかけりゃ治るだろ」
嘘つけ、と吐き捨てられた。
「さっさと詰めろ」
瓶の蓋を開けて押し付けられたソレを、私は受け取るしかなかった。
*********************
「一体、どこにっ…!!」
藤田の悲痛な声が辺りに響いた。
買い出しに出かけた名前が戻って来ない。
あいつは健康のためだと自炊していた。
夕飯の時間などとっくに過ぎた。
それなのに調理場を使った形跡もなく、夕方以降誰も名前の姿を見ていない。
時刻は日付を跨ごうとしていた。
「ソトデタベテルンダロ」
恵比寿は興味なさげにそう言ったが、名前は節約していたためその可能性も低い。
何より、何度連絡を入れても応答がない。
「何かあっても知らない」と吐き捨てた、その通りになったのではないか。
ほらみろ、言わんこっちゃない。
………とは思えなかった。
最後に見た、気まずそうな、そして悲しそうな名前の表情が浮かんだ。
「クソッ」
思わず拳に力が入った。
「能井、行くぞ」
「行くってどこに!?」
「知らん」
だが、動かないことには何も進まない。
俺は知らん顔している恵比寿の前に立った。
「どこの店にケムリ売ったんだ」
「……アッチ」
「ついてこい」
面倒くさい、と暴れる恵比寿の首根っこを掴んで俺は部屋を出た。
路地裏から伸びてきた手が私の腕を捉え、あっという間に拘束されてしまった。
叫び声を上げる暇もないまま、瞼が重くなり閉じてしまった。
そして、次に目が覚めたときは見知らぬ部屋にいた。
私の脳裏に浮かんだ心さんは「ほらな、だから言っただろ」と呆れていた。
「あ、気がついた」
テーブルに座っていた複数の男達が、私の方に視線を向けた。
私の目が覚めたことに気づいた男の手には銃が握られていた。
「いきなりで悪いね。でもさ、丁寧に❝一緒に来てください❞って言っても来ないだろ?」
男の目には十字目であることを示す、赤い入墨が目の周りの皮膚に彫られていた。
「乱暴したいわけじゃない」
そう言うわりには手に持った銃を離そうとしない男に不信感が募った。
「ただ協力してほしいんだ」
「……協力?」
「そっちにはすでに回復系キャラいるのに、こっちは魔法さえロクに使えない奴らの集まりなんだぜ。あまりに不公平だろ」
「そう言われましても…」
「そもそもさ、そっちは何で俺らを狙ってるわけ?俺らなんかした?」
この人達の言い分が何となく理解できた。
十字目はそもそもボスが行方不明で、現在組織として機能していないのだ。
下っ端の彼らからしたら、いきなり襲われてボスの居場所を尋ねられるのだからたまったもんじゃないだろう。
(心さん曰くは話し合いしにいってるだけなのに、十字目が先に手を出してくるからやり返しているだけらしいが…)
下っ端同士の横の連携もなさそうだし、おそらく風の噂程度で私達のことを聞いたグループが先手を打った形だろう。
「ここもいずれ襲撃されるなら…。最大限防衛しないと」
男は瓶を取り出した。
「お前、治癒魔法なんだろ」
「………」
「乱暴はしない。お前がこの中に魔法のケムリを詰めたら…だけどな」
私は空っぽの瓶を見つめた。
「私の魔法は…コントロールが必要なので、私が使わないと無理です」
「なんでだよ。治癒魔法ならケムリぶっかけりゃ治るだろ」
嘘つけ、と吐き捨てられた。
「さっさと詰めろ」
瓶の蓋を開けて押し付けられたソレを、私は受け取るしかなかった。
*********************
「一体、どこにっ…!!」
藤田の悲痛な声が辺りに響いた。
買い出しに出かけた名前が戻って来ない。
あいつは健康のためだと自炊していた。
夕飯の時間などとっくに過ぎた。
それなのに調理場を使った形跡もなく、夕方以降誰も名前の姿を見ていない。
時刻は日付を跨ごうとしていた。
「ソトデタベテルンダロ」
恵比寿は興味なさげにそう言ったが、名前は節約していたためその可能性も低い。
何より、何度連絡を入れても応答がない。
「何かあっても知らない」と吐き捨てた、その通りになったのではないか。
ほらみろ、言わんこっちゃない。
………とは思えなかった。
最後に見た、気まずそうな、そして悲しそうな名前の表情が浮かんだ。
「クソッ」
思わず拳に力が入った。
「能井、行くぞ」
「行くってどこに!?」
「知らん」
だが、動かないことには何も進まない。
俺は知らん顔している恵比寿の前に立った。
「どこの店にケムリ売ったんだ」
「……アッチ」
「ついてこい」
面倒くさい、と暴れる恵比寿の首根っこを掴んで俺は部屋を出た。
