【3章】放っておけない
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「何か情報はないのか…」
「見つからないもんだねぇ」
十字目の奴らが溜まっている場所の情報を掴んでは、俺と能井がボスの居所を聞くため、出向く(結果、毎回あたりは血の海となる。なぜだ)
煙さんはキクラゲの頭を撫でながら溜息をついた。
「名前」
「は、はいっ」
窓を拭いていた名前は手を止めて、煙さんに向き直った。
「お前は聞いたことないか。時を遡る魔法使いのことを」
「知らないです」
「そうか」
煙さんは名前の方を向かず、キクラゲに夢中のまま聞いているので気づいてないが、俺は見た。
目線が泳いで、何か知っている素振りだ。
「おい、名前…」
「は、はい…」
パチリと合った目は不安気に揺れていて…。
何を聞かれるのだろう、聞かないでほしい、と心の声が聞こえてきた気がした。
自作映画を見せたときはわからなかった。
あのときにも煙が時を遡る魔法使いを探していると説明したのだが。
能井にチラリと目線をやるが、名前の変化に気づいていないらしい。
「ほんといつになったら見つかるんだか…」
能井の溜息に名前の肩がぴくりと揺れた。
「ここ、まだ汚れてるぞ」
俺が窓の縁を指差せば、名前はホッと緊張を解いた。
「あ、本当ですね」
「先輩、今の嫌味な姑っぽい」
「うるせぇ」
名前の傍に立ち、窓の外を眺めた。
今日はやけに天気がいい。
「……何か知ってんのか」
ボソリと呟けば、名前はパッと後ろを振り返り、煙さんと能井が話し込んでいるのを確認すると窓を拭きながら、答えた。
「知っている…というほどのことではないです。時を遡るなんて大それた魔法ではないのですが…。ちょっと近い魔法の人は知ってます」
「連れてこれないのか」
「……煙さんはその人をどうするつもりなんでしょうか…」
「パートナーにするつもりだろうな」
「パートナー……それって心さんと能井さんのような…?」
名前の問に俺は「そうだ」とは答えられなかった。
俺と能井ほど対等なパートナーにはならないかもしれないと思ったからだ。
「時間全体を巻き戻すのはさすがに無理だと思います」
「そうか……」
この情報をすぐに煙さんに伝えるのは躊躇われた。
煙さんは交渉決裂すればすぐに手を出す。(人のことは言えないが)
名前の知り合いとなれば、もし上手くいかず殺してしまった場合、彼女が悲しむ。
過去に遡ることができないのであれば、情報を出すだけ無駄だと思った。
「煙さんには言わない…。だから詳しく聞かせてくれ」
名前は眉間に皺を寄せた。
「ちょっと、考えたいです…」
俺は了承した。
期待せず、上手く行けば儲けもんぐらいの情報だ。
何より、じっと考え込む名前を見ていると、無理矢理吐かせる気が起きなかったのだ。
「見つからないもんだねぇ」
十字目の奴らが溜まっている場所の情報を掴んでは、俺と能井がボスの居所を聞くため、出向く(結果、毎回あたりは血の海となる。なぜだ)
煙さんはキクラゲの頭を撫でながら溜息をついた。
「名前」
「は、はいっ」
窓を拭いていた名前は手を止めて、煙さんに向き直った。
「お前は聞いたことないか。時を遡る魔法使いのことを」
「知らないです」
「そうか」
煙さんは名前の方を向かず、キクラゲに夢中のまま聞いているので気づいてないが、俺は見た。
目線が泳いで、何か知っている素振りだ。
「おい、名前…」
「は、はい…」
パチリと合った目は不安気に揺れていて…。
何を聞かれるのだろう、聞かないでほしい、と心の声が聞こえてきた気がした。
自作映画を見せたときはわからなかった。
あのときにも煙が時を遡る魔法使いを探していると説明したのだが。
能井にチラリと目線をやるが、名前の変化に気づいていないらしい。
「ほんといつになったら見つかるんだか…」
能井の溜息に名前の肩がぴくりと揺れた。
「ここ、まだ汚れてるぞ」
俺が窓の縁を指差せば、名前はホッと緊張を解いた。
「あ、本当ですね」
「先輩、今の嫌味な姑っぽい」
「うるせぇ」
名前の傍に立ち、窓の外を眺めた。
今日はやけに天気がいい。
「……何か知ってんのか」
ボソリと呟けば、名前はパッと後ろを振り返り、煙さんと能井が話し込んでいるのを確認すると窓を拭きながら、答えた。
「知っている…というほどのことではないです。時を遡るなんて大それた魔法ではないのですが…。ちょっと近い魔法の人は知ってます」
「連れてこれないのか」
「……煙さんはその人をどうするつもりなんでしょうか…」
「パートナーにするつもりだろうな」
「パートナー……それって心さんと能井さんのような…?」
名前の問に俺は「そうだ」とは答えられなかった。
俺と能井ほど対等なパートナーにはならないかもしれないと思ったからだ。
「時間全体を巻き戻すのはさすがに無理だと思います」
「そうか……」
この情報をすぐに煙さんに伝えるのは躊躇われた。
煙さんは交渉決裂すればすぐに手を出す。(人のことは言えないが)
名前の知り合いとなれば、もし上手くいかず殺してしまった場合、彼女が悲しむ。
過去に遡ることができないのであれば、情報を出すだけ無駄だと思った。
「煙さんには言わない…。だから詳しく聞かせてくれ」
名前は眉間に皺を寄せた。
「ちょっと、考えたいです…」
俺は了承した。
期待せず、上手く行けば儲けもんぐらいの情報だ。
何より、じっと考え込む名前を見ていると、無理矢理吐かせる気が起きなかったのだ。
