【3章】放っておけない
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新しく入ったアイツはやはり慣れるのに時間がかかりそうだった。
「すみません・・・」
半泣きになりながら、いつも俺と能井の治療にあたる。
初日で辞めるかと思いきや、半泣きになるのは変わらないが、日に日に小言が増えていることに本人はどうやら気づいてないらしい。
「心配なんです」
人生でこれほど心配されたのは初めてだ。
いや、もしかしたら両親がいたガキの頃はあったのかもしれない。
それももう遠い昔の話だ。
「あ、ここにも・・・」
ふわっと俺の手を包んだケムリはなんだか心地よかった。
「あたたかい?」
「ああ」
「名前のケムリが?」
「ああ。眠くならないか」
「ならないですよ」
能井は首を傾げて目を丸くした。
「睡眠不足なんじゃないですか」
「……かもな」
やはり気のせいか、と首をコキッと鳴らして能井に手を振り別れた。
長い廊下を歩いていると、前方から藤田と名前が歩いてきた。
「藤田さん…大丈夫ですか」
「あれぐらいの怪我、いつものことですっ!」
恥ずかしそうに頭を掻く藤田に、ああ、なんかまた怪我したのか、と名前が聞いたら「人のこと言えないですよ」と言われそうなことを思った。
「あ、ここにまだ残ってますね」
顔に一本の赤い線が残っており、一瞬で治してみせた名前は魔法をよく使いこなしていると思う。
藤田の緩んだ頬はたいそう情けなかった。
「名前さんのケムリってなんか落ち着くなぁ〜」
藤田がそういったので思わず「お前もそう思うか」と同意してしまった。
「心さんもそう思いますか?!」
「ああ」
名前はきょとりと目を瞬かせた。
そして、両手をしげしげと見つめた。
「自分ではよくわからないのですが、落ち着くならよかったです」
嬉しそうにふわりと笑った名前。
俺の周りにはこんな風に笑う奴がいないからか、この笑顔を向けられると反対に落ち着かなくなる。
能井もよく笑うが、アイツの笑顔とはまた違うタイプだった。
「あの、私ちょっといいこと思いついちゃって」
「?」
「魔法のケムリって売れるんですよね?私のやつも売れるかな…って」
自分で言うのもなんだけど、希少だから高値つくかな…と嬉しそうに顔を綻ばせた。
「やめとけ」
低く諌める声に名前はこちらを見上げて固まった。
「悪用される」
「お店だから守秘義務あるんじゃ…」
「情報なんてすぐ抜かれるぞ」
現に、俺らもそういう店から情報を仕入れることがある。
「そっかぁ…残念です」
そういや金が無いんだったか…。
「いくら必要なんだ」
「いくらって決まってるわけじゃないんですけど、給料日までとりあえずのお金作ろうかなって」
「……ほら」
「え!?だ、大丈夫です!お気持ちだけで!」
財布からお札を数枚取り出し、渡したが、なかなか受け取らなかった。
「もし!本当にジリ貧で困ったら頼らせてもらいます!」
本当に大丈夫なのか、と気にはなったが、そのまま財布に金をしまったのであった。
「すみません・・・」
半泣きになりながら、いつも俺と能井の治療にあたる。
初日で辞めるかと思いきや、半泣きになるのは変わらないが、日に日に小言が増えていることに本人はどうやら気づいてないらしい。
「心配なんです」
人生でこれほど心配されたのは初めてだ。
いや、もしかしたら両親がいたガキの頃はあったのかもしれない。
それももう遠い昔の話だ。
「あ、ここにも・・・」
ふわっと俺の手を包んだケムリはなんだか心地よかった。
「あたたかい?」
「ああ」
「名前のケムリが?」
「ああ。眠くならないか」
「ならないですよ」
能井は首を傾げて目を丸くした。
「睡眠不足なんじゃないですか」
「……かもな」
やはり気のせいか、と首をコキッと鳴らして能井に手を振り別れた。
長い廊下を歩いていると、前方から藤田と名前が歩いてきた。
「藤田さん…大丈夫ですか」
「あれぐらいの怪我、いつものことですっ!」
恥ずかしそうに頭を掻く藤田に、ああ、なんかまた怪我したのか、と名前が聞いたら「人のこと言えないですよ」と言われそうなことを思った。
「あ、ここにまだ残ってますね」
顔に一本の赤い線が残っており、一瞬で治してみせた名前は魔法をよく使いこなしていると思う。
藤田の緩んだ頬はたいそう情けなかった。
「名前さんのケムリってなんか落ち着くなぁ〜」
藤田がそういったので思わず「お前もそう思うか」と同意してしまった。
「心さんもそう思いますか?!」
「ああ」
名前はきょとりと目を瞬かせた。
そして、両手をしげしげと見つめた。
「自分ではよくわからないのですが、落ち着くならよかったです」
嬉しそうにふわりと笑った名前。
俺の周りにはこんな風に笑う奴がいないからか、この笑顔を向けられると反対に落ち着かなくなる。
能井もよく笑うが、アイツの笑顔とはまた違うタイプだった。
「あの、私ちょっといいこと思いついちゃって」
「?」
「魔法のケムリって売れるんですよね?私のやつも売れるかな…って」
自分で言うのもなんだけど、希少だから高値つくかな…と嬉しそうに顔を綻ばせた。
「やめとけ」
低く諌める声に名前はこちらを見上げて固まった。
「悪用される」
「お店だから守秘義務あるんじゃ…」
「情報なんてすぐ抜かれるぞ」
現に、俺らもそういう店から情報を仕入れることがある。
「そっかぁ…残念です」
そういや金が無いんだったか…。
「いくら必要なんだ」
「いくらって決まってるわけじゃないんですけど、給料日までとりあえずのお金作ろうかなって」
「……ほら」
「え!?だ、大丈夫です!お気持ちだけで!」
財布からお札を数枚取り出し、渡したが、なかなか受け取らなかった。
「もし!本当にジリ貧で困ったら頼らせてもらいます!」
本当に大丈夫なのか、と気にはなったが、そのまま財布に金をしまったのであった。
