クモ男さんと一緒/巻島
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マネージャーになってからというものの、大した役に立ててないことは分かっていたがさして大きな失敗もしていなかったと思う。
けれどとうとうやらかしてしまった。
「本当にごめんなさい!!」
私は地面にのめり込む勢いで土下座をした。
「替えが家にあるからいいっショ」
巻島くんが外して置いていた部品を私はゴミと間違えて捨ててしまったのだ。
「でも・・・でも」
大事な部品だったはずなのに。
なんてことをしてしまったのだろうか。
「弁償する!いくらだった?」
私は巻島くんに詰め寄った。
「大丈夫だから」
困り顔の巻島くん。
「でもあれ結構値段張ったんちゃいます?」
鳴子くんの言葉で私の顔はより一層青ざめた。
「ばっ・・・!鳴子、余計なこと言うな」
巻島くんの様子からきっと本当なのだろう。
私はますます肩を落とした。
「ごめんなさい・・・。私マネージャー、クビだよね」
責任を取ろうと思い、自分の荷物をロッカーから出してまとめた。
「だからもういいって!」
巻島くんは私が出した荷物を奪って再びロッカーへ押し込んだ。
「ほら、もう帰るっショ」
巻島くんに背中を押され、部室を後にした。
******
家に着いて私はすぐにパソコンへ向かった。
「え・・・こんなにするの!?」
私がなくしてしまった部品。
こっそり手嶋くんに品番等を教えてもらってネット検索してみたものの、私のお小遣いで簡単に買えるものではなかった。
だから教えてくれるとき手嶋くんあんな微妙な顔してたのか。
どうしよう。
ちらっと噂で巻島くんの家はお金持ちと聞いたけれど、そういう問題じゃない。
「確か、ゴミって朝に回収されるんだよね・・・」
私は春物のコートを羽織って家を出た。
「お母さん、出てくる」
放任主義の我が家は夜8時に娘が家を出ても「いってらっしゃーい」の一言で送り出された。
私は学校まで全速力で戻った。
学校の門は施錠されていた。
裏門近くのフェンスに穴が開いていたことを知っていたのでそこから侵入した。
バレたらやばいとかそういうことよりも、何としても部品を見つけ出さなきゃという気持ちでいっぱいだった。
私は人目を盗んでゴミ捨て場に辿り着いた。
「やっぱり・・・」
実は今日は各部活が大掃除を行う日だった。
自転車部は人数も少ないし大掃除するほど汚れてもいなかったので、私が部室のゴミや不要品を集めて捨てただけだった。
そのポリ袋の中に例の部品も入れてしまったのだが。
我が自転車部はそれだけで済んでも、大所帯のサッカー部や野球部などは大量にゴミが出たらしい。
ゴミ捨て場がポリ袋で溢れかえっていた。
私が捨てに来たときはこんなになかった。
ということは上に上に重ねられていき、私の探している袋は下の方に埋もれていることが予想できた。
「やるしかない・・・」
私は腕まくりをして上から順番にゴミ袋を下ろしていった。
けれど下ろしても下ろしても私が探しているゴミ袋は見つからなかった。
「ないよ~・・・」
懐中電灯で一つ一つ中身を確かめているが全然見つからない。
刻々と時間は過ぎていき、もうすぐ22時を回ろうとしていた。
さすがに親も心配すると思い、「友達の家に泊まる」とラインを入れた。
「了解」のスタンプが返ってきたので私はスマホをポケットに入れて徹夜覚悟で作業を再開した。
********
俺は自転車を全速力で漕いだ。
明日の小テストで使うノートを間違って名前の分を持って帰ってきてしまった。
メッセージで届けに行くと伝えたが既読にならない。
名前は俺と違ってマメなので用事がない限り1時間以内には返事が必ず来る。
なんとなくおかしいと思いながらも名前の家にノートを届けに言ったら彼女の母親が名前は一度家に帰ってきたがまた出かけたというのだ。
さらにはその場で母親の携帯が鳴り、友達の家に泊まるそうよと告げた。
明日が休みならまだしも、まだ今日は水曜日。
普通に考えておかしいっショ。
けれど彼女からちゃんと連絡が母親に入っているというころは事件性はない。
俺は自分の携帯を確認したが、やはり俺とのトークに既読はついていなかった。
俺は母親にノートを預けると頭を下げて自転車に跨った。
「学校だな」
名前は今日の出来事を非常に気にしていた。
だから俺は学校へ向かって全速力でペダルを回しているのだ。
自転車をその辺に停めて見つからないよう校内へ侵入すると真っすぐゴミ捨て場へ向かった。
俺の思惑は当たっていた。
「何してるっショ」
小さな背中がビクリと震えた。
恐る恐る振り向いた彼女は安堵した表情を一瞬見せると、次の瞬間には驚きの表情に変化していた。
「巻島くん・・・」
「全然連絡返ってこないから心配したっショ」
名前は携帯を取り出すと俺のメッセージを確認して「ごめんね」と言った。
「どうしてここが分かったの?」
「今日のこと随分気にしてたから」
実は手嶋から部品のことを聞かれたと連絡が入っていたことは内緒にした。
「部品、探してたんだろ?」
名前はコクンと頷いた。
「でもどうしても見つからなくて・・・」
俺は周りに散らばったゴミを見た。
「こんな夜中に危ないっショ!」
普段あまり声を荒げることはしないがこの時ばかりは感情が昂った。
もしノートを俺が持って帰ってきていなかったら気づくことができなかった。
もし名前に何かあったら。
俺は急に不安になった。
「ごめんなさい」
名前は俺の怒声に目を丸くして反省したように肩を落とした。
「誰かいるのか!」
俺はここが学校で忍び込んでいるという己の状況を忘れていた。
俺の声に気づいた警備員が来てしまったのだ。
咄嗟に名前の腕を掴み伸び放題の茂みの中へ飛び込んだ。
*****
警備員がさっき私達がいた場所に向かってライトを照らした。
「なんだこれは」
ゴミ捨て場が荒らされていると思った警備員は確かめるために近づいてきた。
どうしよう。
私のせいで巻島くんまで巻き込んでしまった。
私はきゅっと巻島くんの服を掴んだ。
すると私を落ち着かせようとしてくれたのか、その手を巻島くんが包んでくれた。
「にゃ~」
どこからともなく聞こえてきた気の抜けた鳴き声。
私はあたりをキョロキョロ見回した。
「にゃ~」
1匹だけでなく、数匹ぞろぞろとごみ捨て場から姿を現した。
さっきまでいなかったはずなのに。
「お前たち、今日も集会か?」
警備員は手慣れた手つきで懐から缶詰を数個取り出して開けた。
「今日はちょっと遅くなったからな。お腹減ったからといってゴミ捨て場荒らしたらだめだろう!」
警備員口調から察するに、猫は毎日ここで警備員にご飯を貰って集会を開いているらしい。
そして運のいいことにゴミ捨て場が散らかっているのを猫がやったと思っている。
警備員が猫に集中しているのを確認すると巻島くんは私の腕を引いた。
顎で行くぞと合図されたので私もそれに従った。
「助かったっショ」
なんとか校外へ脱出した。
帰り道、巻島くんに迷惑をかけた挙句、結局部品を見つけられなかったという散々な結果に自己嫌悪に陥った。
「ほんとにごめんなさい」
「・・・もう聞き飽きたっショ」
どこまで優しいのだろうか。
巻島くんが怒っていなことは口調から伝わった。
けれど私の気分は晴れない。
そんな私の心情を感じ取ったのか巻島くんは困ったような表情で私の頭に手を置いた。
「じゃぁ、一個俺の言うこと聞いてくれっショ」
私はもちろんと縦に数回首を振った。
私にできることならなんでもする。
「今度俺とデートしてほしいっショ」
そう言って巻島くんは財布から映画のチケットを取り出した。
それは前に私が見たいと言っていた映画だった。
「それ・・・謝罪じゃなくてご褒美になっちゃうよ」
巻島くんは私の返事を聞いてクハッと笑った。
「どっちでもいいっショ」
私達は夜空を見上げながらゆっくり帰路についた。
けれどとうとうやらかしてしまった。
「本当にごめんなさい!!」
私は地面にのめり込む勢いで土下座をした。
「替えが家にあるからいいっショ」
巻島くんが外して置いていた部品を私はゴミと間違えて捨ててしまったのだ。
「でも・・・でも」
大事な部品だったはずなのに。
なんてことをしてしまったのだろうか。
「弁償する!いくらだった?」
私は巻島くんに詰め寄った。
「大丈夫だから」
困り顔の巻島くん。
「でもあれ結構値段張ったんちゃいます?」
鳴子くんの言葉で私の顔はより一層青ざめた。
「ばっ・・・!鳴子、余計なこと言うな」
巻島くんの様子からきっと本当なのだろう。
私はますます肩を落とした。
「ごめんなさい・・・。私マネージャー、クビだよね」
責任を取ろうと思い、自分の荷物をロッカーから出してまとめた。
「だからもういいって!」
巻島くんは私が出した荷物を奪って再びロッカーへ押し込んだ。
「ほら、もう帰るっショ」
巻島くんに背中を押され、部室を後にした。
******
家に着いて私はすぐにパソコンへ向かった。
「え・・・こんなにするの!?」
私がなくしてしまった部品。
こっそり手嶋くんに品番等を教えてもらってネット検索してみたものの、私のお小遣いで簡単に買えるものではなかった。
だから教えてくれるとき手嶋くんあんな微妙な顔してたのか。
どうしよう。
ちらっと噂で巻島くんの家はお金持ちと聞いたけれど、そういう問題じゃない。
「確か、ゴミって朝に回収されるんだよね・・・」
私は春物のコートを羽織って家を出た。
「お母さん、出てくる」
放任主義の我が家は夜8時に娘が家を出ても「いってらっしゃーい」の一言で送り出された。
私は学校まで全速力で戻った。
学校の門は施錠されていた。
裏門近くのフェンスに穴が開いていたことを知っていたのでそこから侵入した。
バレたらやばいとかそういうことよりも、何としても部品を見つけ出さなきゃという気持ちでいっぱいだった。
私は人目を盗んでゴミ捨て場に辿り着いた。
「やっぱり・・・」
実は今日は各部活が大掃除を行う日だった。
自転車部は人数も少ないし大掃除するほど汚れてもいなかったので、私が部室のゴミや不要品を集めて捨てただけだった。
そのポリ袋の中に例の部品も入れてしまったのだが。
我が自転車部はそれだけで済んでも、大所帯のサッカー部や野球部などは大量にゴミが出たらしい。
ゴミ捨て場がポリ袋で溢れかえっていた。
私が捨てに来たときはこんなになかった。
ということは上に上に重ねられていき、私の探している袋は下の方に埋もれていることが予想できた。
「やるしかない・・・」
私は腕まくりをして上から順番にゴミ袋を下ろしていった。
けれど下ろしても下ろしても私が探しているゴミ袋は見つからなかった。
「ないよ~・・・」
懐中電灯で一つ一つ中身を確かめているが全然見つからない。
刻々と時間は過ぎていき、もうすぐ22時を回ろうとしていた。
さすがに親も心配すると思い、「友達の家に泊まる」とラインを入れた。
「了解」のスタンプが返ってきたので私はスマホをポケットに入れて徹夜覚悟で作業を再開した。
********
俺は自転車を全速力で漕いだ。
明日の小テストで使うノートを間違って名前の分を持って帰ってきてしまった。
メッセージで届けに行くと伝えたが既読にならない。
名前は俺と違ってマメなので用事がない限り1時間以内には返事が必ず来る。
なんとなくおかしいと思いながらも名前の家にノートを届けに言ったら彼女の母親が名前は一度家に帰ってきたがまた出かけたというのだ。
さらにはその場で母親の携帯が鳴り、友達の家に泊まるそうよと告げた。
明日が休みならまだしも、まだ今日は水曜日。
普通に考えておかしいっショ。
けれど彼女からちゃんと連絡が母親に入っているというころは事件性はない。
俺は自分の携帯を確認したが、やはり俺とのトークに既読はついていなかった。
俺は母親にノートを預けると頭を下げて自転車に跨った。
「学校だな」
名前は今日の出来事を非常に気にしていた。
だから俺は学校へ向かって全速力でペダルを回しているのだ。
自転車をその辺に停めて見つからないよう校内へ侵入すると真っすぐゴミ捨て場へ向かった。
俺の思惑は当たっていた。
「何してるっショ」
小さな背中がビクリと震えた。
恐る恐る振り向いた彼女は安堵した表情を一瞬見せると、次の瞬間には驚きの表情に変化していた。
「巻島くん・・・」
「全然連絡返ってこないから心配したっショ」
名前は携帯を取り出すと俺のメッセージを確認して「ごめんね」と言った。
「どうしてここが分かったの?」
「今日のこと随分気にしてたから」
実は手嶋から部品のことを聞かれたと連絡が入っていたことは内緒にした。
「部品、探してたんだろ?」
名前はコクンと頷いた。
「でもどうしても見つからなくて・・・」
俺は周りに散らばったゴミを見た。
「こんな夜中に危ないっショ!」
普段あまり声を荒げることはしないがこの時ばかりは感情が昂った。
もしノートを俺が持って帰ってきていなかったら気づくことができなかった。
もし名前に何かあったら。
俺は急に不安になった。
「ごめんなさい」
名前は俺の怒声に目を丸くして反省したように肩を落とした。
「誰かいるのか!」
俺はここが学校で忍び込んでいるという己の状況を忘れていた。
俺の声に気づいた警備員が来てしまったのだ。
咄嗟に名前の腕を掴み伸び放題の茂みの中へ飛び込んだ。
*****
警備員がさっき私達がいた場所に向かってライトを照らした。
「なんだこれは」
ゴミ捨て場が荒らされていると思った警備員は確かめるために近づいてきた。
どうしよう。
私のせいで巻島くんまで巻き込んでしまった。
私はきゅっと巻島くんの服を掴んだ。
すると私を落ち着かせようとしてくれたのか、その手を巻島くんが包んでくれた。
「にゃ~」
どこからともなく聞こえてきた気の抜けた鳴き声。
私はあたりをキョロキョロ見回した。
「にゃ~」
1匹だけでなく、数匹ぞろぞろとごみ捨て場から姿を現した。
さっきまでいなかったはずなのに。
「お前たち、今日も集会か?」
警備員は手慣れた手つきで懐から缶詰を数個取り出して開けた。
「今日はちょっと遅くなったからな。お腹減ったからといってゴミ捨て場荒らしたらだめだろう!」
警備員口調から察するに、猫は毎日ここで警備員にご飯を貰って集会を開いているらしい。
そして運のいいことにゴミ捨て場が散らかっているのを猫がやったと思っている。
警備員が猫に集中しているのを確認すると巻島くんは私の腕を引いた。
顎で行くぞと合図されたので私もそれに従った。
「助かったっショ」
なんとか校外へ脱出した。
帰り道、巻島くんに迷惑をかけた挙句、結局部品を見つけられなかったという散々な結果に自己嫌悪に陥った。
「ほんとにごめんなさい」
「・・・もう聞き飽きたっショ」
どこまで優しいのだろうか。
巻島くんが怒っていなことは口調から伝わった。
けれど私の気分は晴れない。
そんな私の心情を感じ取ったのか巻島くんは困ったような表情で私の頭に手を置いた。
「じゃぁ、一個俺の言うこと聞いてくれっショ」
私はもちろんと縦に数回首を振った。
私にできることならなんでもする。
「今度俺とデートしてほしいっショ」
そう言って巻島くんは財布から映画のチケットを取り出した。
それは前に私が見たいと言っていた映画だった。
「それ・・・謝罪じゃなくてご褒美になっちゃうよ」
巻島くんは私の返事を聞いてクハッと笑った。
「どっちでもいいっショ」
私達は夜空を見上げながらゆっくり帰路についた。
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