【16章】何ももたない君だから
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俺は名前を半ば無理矢理外に連れ出した。
名前は俺への気持ちを肯定してくれたが、心の距離は随分開いてしまったように感じる。
いつもそうだ。
いつも彼女は自分を責める。
今回の件だって「消太さんがなかなかちゃんとしてくれないから、こんなことになったんです」と責められた方がよっぽど良かった。
名前にしては珍しく、女性の件を自ら問いただそうとしていたが、俺が上手く受け止められなかった。
移動の道中も名前の戸惑いがひしひしと伝わってきた。
俺はふわふわ浮いている彼女の気持ちが、どこかへ飛んで行ってしまわないように、しっかりその手を繋いだ。
料理を待っている間、どうも名前は落ち着かない様子だった。
いつもは彼女がよく喋り、俺が相槌を打つが今間に流れるのは沈黙だった。
俺の視線は彼女の髪の上で輝いている、自身の贈り物に向いた。
準備が整ったと部屋に来た名前を見て安堵した。
もう使ってくれないのかと思っていた。
プレゼントした翌日からしばらくは毎日つけていたのに、ある日からパタリとつけなくなってしまっていたからだ。
最初はつけ忘れかと思ったが違った。
原因も後に分かり解消はされたが、それでももうもしかしたら・・・・という思いはあった。
だから、それがまた彼女の髪に光り輝いているのを見て、名前の気持ちが確かにまだ俺に残っているのだと思うことができた。
似合っていることを素直に褒めたら名前は恥ずかしそうに笑った。
そうこうしている内に運ばれてきたオムライスを、彼女は幸せそうに頬張る。
急に食べていた手を止めると、俺にその一部を差し出した。
お返しにとハンバーグを乗せてやれば、また嬉しそうに笑った。
やはり名前は笑顔が一番いい。
笑っていてほしい。
願わくば俺の隣で。
***************
昼食を終えると、店を出た消太さんは迷うことなく雑踏の中を突き進んだ。
「あの、結局どこに行くんですか?」
「着いてからのお楽しみ」
いやに勿体ぶる態度に気になるところではあるが、消太さんとならどこでもいい。
「じゃあ、着くまでの間に当ててもいいですか?」
「・・・いいよ」
「ん~・・・新しい猫カフェ!」
「ハズレ」
「じゃあ、ふくろうカフェ?」
「そんなのあるのか」
「私も行ったことないですけど、可愛いらしいですよ」
「へー」
「アウトドア用品店?寝袋買うとか?」
「それはこの間買っただろ」
「まさか!スポーツクラブ?」
「何で」
「弱い私にもっと身体鍛えろとか・・・」
「違う」
「じゃあ映画?何か観たいものあるんですか?」
「それもハズレ」
「わかんないです。まさか消太さんカラオケなんて行かないだろうし」
「・・・着いたぞ」
うんうん唸っている間に着いてしまったらしい。
結局当てることはできなかった。
「え・・・ここですか」
「そうだ」
「だって、ここ・・・」
「ここに入るかどうかは名前が決めてほしい」
路面に面するディスプレイには指輪が光り輝いていた。
「長いこと待たせてすまなかった。名前さえ良ければ、結婚前提に付き合って欲しい」
時の流れが止まった気がした。
雑踏の中にいるはずなのに、私の目には消太さんの姿、耳には消太さんの声しか入ってこなかった。
名前は俺への気持ちを肯定してくれたが、心の距離は随分開いてしまったように感じる。
いつもそうだ。
いつも彼女は自分を責める。
今回の件だって「消太さんがなかなかちゃんとしてくれないから、こんなことになったんです」と責められた方がよっぽど良かった。
名前にしては珍しく、女性の件を自ら問いただそうとしていたが、俺が上手く受け止められなかった。
移動の道中も名前の戸惑いがひしひしと伝わってきた。
俺はふわふわ浮いている彼女の気持ちが、どこかへ飛んで行ってしまわないように、しっかりその手を繋いだ。
料理を待っている間、どうも名前は落ち着かない様子だった。
いつもは彼女がよく喋り、俺が相槌を打つが今間に流れるのは沈黙だった。
俺の視線は彼女の髪の上で輝いている、自身の贈り物に向いた。
準備が整ったと部屋に来た名前を見て安堵した。
もう使ってくれないのかと思っていた。
プレゼントした翌日からしばらくは毎日つけていたのに、ある日からパタリとつけなくなってしまっていたからだ。
最初はつけ忘れかと思ったが違った。
原因も後に分かり解消はされたが、それでももうもしかしたら・・・・という思いはあった。
だから、それがまた彼女の髪に光り輝いているのを見て、名前の気持ちが確かにまだ俺に残っているのだと思うことができた。
似合っていることを素直に褒めたら名前は恥ずかしそうに笑った。
そうこうしている内に運ばれてきたオムライスを、彼女は幸せそうに頬張る。
急に食べていた手を止めると、俺にその一部を差し出した。
お返しにとハンバーグを乗せてやれば、また嬉しそうに笑った。
やはり名前は笑顔が一番いい。
笑っていてほしい。
願わくば俺の隣で。
***************
昼食を終えると、店を出た消太さんは迷うことなく雑踏の中を突き進んだ。
「あの、結局どこに行くんですか?」
「着いてからのお楽しみ」
いやに勿体ぶる態度に気になるところではあるが、消太さんとならどこでもいい。
「じゃあ、着くまでの間に当ててもいいですか?」
「・・・いいよ」
「ん~・・・新しい猫カフェ!」
「ハズレ」
「じゃあ、ふくろうカフェ?」
「そんなのあるのか」
「私も行ったことないですけど、可愛いらしいですよ」
「へー」
「アウトドア用品店?寝袋買うとか?」
「それはこの間買っただろ」
「まさか!スポーツクラブ?」
「何で」
「弱い私にもっと身体鍛えろとか・・・」
「違う」
「じゃあ映画?何か観たいものあるんですか?」
「それもハズレ」
「わかんないです。まさか消太さんカラオケなんて行かないだろうし」
「・・・着いたぞ」
うんうん唸っている間に着いてしまったらしい。
結局当てることはできなかった。
「え・・・ここですか」
「そうだ」
「だって、ここ・・・」
「ここに入るかどうかは名前が決めてほしい」
路面に面するディスプレイには指輪が光り輝いていた。
「長いこと待たせてすまなかった。名前さえ良ければ、結婚前提に付き合って欲しい」
時の流れが止まった気がした。
雑踏の中にいるはずなのに、私の目には消太さんの姿、耳には消太さんの声しか入ってこなかった。