【15章】解ける糸
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私は運ばれてくる料理に舌鼓を打った。
テーブルマナーなんてものは正直分からないけど、見様見真似でナイフとフォークを動かす。
「これ、ソースが凄く美味しいです」
私の感想に真鍋さんも同意した。
「魚自体も身の肉厚がすごいですね」
時折世間話も交えつつ、料理を口に運ぶ。
「こちらの席へどうぞ」
ウエイターが私の横を通り過ぎ、入店したカップルを私達の後ろの席へ案内した。
私の手は思わず止まり、ちらりと通り過ぎるカップルに視線をやった。
消太さん達でないことに安堵する。
肩の力を抜き、気を紛らわせるように飲み物が入ったグラスに口を付けた。
さっきから私はこの調子だ。
新規で入店したカップルがいると思わず視線を向けて探してしまう。
そして消太さんでないと胸を撫で下ろす、その繰り返しだ。
・・・もし、消太さん達が来たら私は平静でいられるだろうか。
「・・・相澤先生達来ないですね」
私の心を読んでいるような発言。
余程顔に出ていたらしい。
「ですね」
私は苦笑いで返した。
「でも、本当にここの料理美味しいです。確かにまた来たいと思います」
真鍋さんの言うことには共感するが、同時に料理を食せば食すほど疑問も湧いた。
これは毎週食べたいと思う料理なのだろうか・・・。
確かに美味しいしまた来たいとも思う。
しかしそれは1年後、せめて半年後で充分だ。
大富豪ならいざしらず、いくらヒーローと教師で一般より稼いでいるとはいえ、毎週ここで食事をするのは懐的にどうなのだろうか。
それに百歩譲って相手の女性が高級志向だったとしよう。
私であればどうせなら他のホテルで食事をしたい。
浮かんできたのは、そんなちょっとした違和感だった。
2時間ほどコース料理を堪能し、贅沢な時間を過ごした。
食後のデザートも終え、コーヒーも空になった。
「今度またご飯に誘ってもいいですか?」
真鍋さんはいつもの優し気な表情で問いかけた。
私は今度こそ、その意味を字面通りに受け取ってはいけない。
「今度は、御園さんも誘いませんか?」
雰囲気を壊さずに、しかし相手に踏み込ませない最大の答えだった。
真鍋さんも馬鹿じゃない。
私の気持ちは伝わったようだ。
「僕じゃ彼氏候補にはなれませんか?」
眉を下げて笑う真鍋さんに胸が痛んだ。
私はゆっくり首を振った。
「諦めることと前に進むことは同義ではないんです。まだ私は前に進めそうになくて、この気持ちを大事に持っていたいんです」
テーブルマナーなんてものは正直分からないけど、見様見真似でナイフとフォークを動かす。
「これ、ソースが凄く美味しいです」
私の感想に真鍋さんも同意した。
「魚自体も身の肉厚がすごいですね」
時折世間話も交えつつ、料理を口に運ぶ。
「こちらの席へどうぞ」
ウエイターが私の横を通り過ぎ、入店したカップルを私達の後ろの席へ案内した。
私の手は思わず止まり、ちらりと通り過ぎるカップルに視線をやった。
消太さん達でないことに安堵する。
肩の力を抜き、気を紛らわせるように飲み物が入ったグラスに口を付けた。
さっきから私はこの調子だ。
新規で入店したカップルがいると思わず視線を向けて探してしまう。
そして消太さんでないと胸を撫で下ろす、その繰り返しだ。
・・・もし、消太さん達が来たら私は平静でいられるだろうか。
「・・・相澤先生達来ないですね」
私の心を読んでいるような発言。
余程顔に出ていたらしい。
「ですね」
私は苦笑いで返した。
「でも、本当にここの料理美味しいです。確かにまた来たいと思います」
真鍋さんの言うことには共感するが、同時に料理を食せば食すほど疑問も湧いた。
これは毎週食べたいと思う料理なのだろうか・・・。
確かに美味しいしまた来たいとも思う。
しかしそれは1年後、せめて半年後で充分だ。
大富豪ならいざしらず、いくらヒーローと教師で一般より稼いでいるとはいえ、毎週ここで食事をするのは懐的にどうなのだろうか。
それに百歩譲って相手の女性が高級志向だったとしよう。
私であればどうせなら他のホテルで食事をしたい。
浮かんできたのは、そんなちょっとした違和感だった。
2時間ほどコース料理を堪能し、贅沢な時間を過ごした。
食後のデザートも終え、コーヒーも空になった。
「今度またご飯に誘ってもいいですか?」
真鍋さんはいつもの優し気な表情で問いかけた。
私は今度こそ、その意味を字面通りに受け取ってはいけない。
「今度は、御園さんも誘いませんか?」
雰囲気を壊さずに、しかし相手に踏み込ませない最大の答えだった。
真鍋さんも馬鹿じゃない。
私の気持ちは伝わったようだ。
「僕じゃ彼氏候補にはなれませんか?」
眉を下げて笑う真鍋さんに胸が痛んだ。
私はゆっくり首を振った。
「諦めることと前に進むことは同義ではないんです。まだ私は前に進めそうになくて、この気持ちを大事に持っていたいんです」