【14章】絡まる糸
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あれから数週間の時が流れた。
金曜日のご飯はあの日から一度も一緒にとれていない。
一緒に食べられなかった数を指折り数えると、もう薬指まで折れてしまった。
今日も華の・・・いや地獄の金曜日だ。
前日の木曜日に「すまない、まだ仕事が片付かなくて」と断られてしまった。
成実ちゃん達にあの日の出来事を相談しようかと思ったが、返ってくる反応は容易に想像できたし、それが私の望むものではないに違いないので連絡することはやめた。
今日のご飯どうしようかな、と悩んでいると隣室の扉が開く音がした。
今から出かけるようだ。
「よし・・・」
私は寝転がっていた身体を起こし、クローゼットから服を取り出した。
********
我ながら大胆なことをしていると思う。
私は消太さんの後を尾行した。
まるで不倫現場を押さえる妻のようだ。
だが、まだ私は仕事であるという望みは捨てていないし、そう、むしろ今日は仕事であることの確認だ。
一般人がヒーローの後をつけるなんて無謀にもほどがることは分かっている。
ともすれば一瞬で見つかってしまうので私は慎重に慎重をきした。
仕事の確認だと息巻いていたが、私の不安は消太さんの後ろ姿を捉えたときから増幅している。
「今日もスーツ・・・なんだ」
ヒーロー活動するのにコスチュームじゃないのはなんで?
ぎゅっと鞄のストラップを握った。
私は唇を噛みしめながらぶんぶんと首を振った。
「うかうかしてたら見失っちゃう」
覚束ない足取りでスーツの背中を追った。
「待ち合わせしてるのかな・・・?」
消太さんはビルの一角で立ち止まり、誰かを待っているようだった。
時折腕時計の時間を確認している。
「あ・・・」
19時ジャスト。
一人の女性が消太さんの前で立ち止まった。
この間とは違うワンピースだが、こちらも高級ブランド品で身に纏っているのは前回と同じ女性だ。
「大人の女性」という言葉がよく似合う。
唇にのった赤いルージュが彼女のセクシーさをさらに強調させていた。
彼女は消太さんの腕を取り、消太さんはそれに対して嫌がるそぶりもない。
2人は目的地があるようでそのまま歩き出した。
「どうしよう」
帰ろうか、それともこのまま尾行を続けるか。
悩んだ私はどこへ行くのか気になるので、硬直していた身体に鞭打って2人を追った。
********
途中から行先について予想がついてしまった。
なぜならこの道はあの日と同じだから。
「やっぱり・・・」
彼らはあの日と同じ高級ホテルのエントランスをくぐった。
私はあの日と同じ場所に身を潜めた。
そしてやはりあの日と同じくコース料理を楽しんでいた。
なんで?
どうして?
そればかりが私の頭にはびこる。
いくら考えても私は消太さんじゃないから答えなんて見つからないのに。
「名字さん?」
もう帰ろうかな、と思ったそのとき自分の名前を呼ばれた。
思わず声がする方に顔を向けた。
「真鍋さん・・・」
「何してるんですか?あ、誰かと待ち合わせですか?」
「いえ・・・。真鍋さんとは街中での遭遇率高いですね」
「行動範囲が似てるんですかね。・・・何か元気ないですか?」
もう限界だった。
涙が零れそうなのを隠すために、私は俯いてただ首を横に振った。
「でも・・・」
私の様子がおかしいことは真鍋さんに伝わってしまったらしい。
オロオロして周囲を見渡す彼はある一点に気付いてしまった。
「あれは・・・?」
私はキュッと口を結んだ。
「え、ちょっ!」
真鍋さんは私の手を掴んで立ち上がらせた。
「夜ご飯はもう食べましたか?」
「いえ・・・」
「美味しい店知ってるので行きましょう!ね!」
私の返答を待たずして、彼はそのまま手を引っ張った。
私は彼のなすままに足を動かした。
消太さんとは違う温もり。
こんな時でも消太さんの手が恋しくなった私は重症だと思う。
金曜日のご飯はあの日から一度も一緒にとれていない。
一緒に食べられなかった数を指折り数えると、もう薬指まで折れてしまった。
今日も華の・・・いや地獄の金曜日だ。
前日の木曜日に「すまない、まだ仕事が片付かなくて」と断られてしまった。
成実ちゃん達にあの日の出来事を相談しようかと思ったが、返ってくる反応は容易に想像できたし、それが私の望むものではないに違いないので連絡することはやめた。
今日のご飯どうしようかな、と悩んでいると隣室の扉が開く音がした。
今から出かけるようだ。
「よし・・・」
私は寝転がっていた身体を起こし、クローゼットから服を取り出した。
********
我ながら大胆なことをしていると思う。
私は消太さんの後を尾行した。
まるで不倫現場を押さえる妻のようだ。
だが、まだ私は仕事であるという望みは捨てていないし、そう、むしろ今日は仕事であることの確認だ。
一般人がヒーローの後をつけるなんて無謀にもほどがることは分かっている。
ともすれば一瞬で見つかってしまうので私は慎重に慎重をきした。
仕事の確認だと息巻いていたが、私の不安は消太さんの後ろ姿を捉えたときから増幅している。
「今日もスーツ・・・なんだ」
ヒーロー活動するのにコスチュームじゃないのはなんで?
ぎゅっと鞄のストラップを握った。
私は唇を噛みしめながらぶんぶんと首を振った。
「うかうかしてたら見失っちゃう」
覚束ない足取りでスーツの背中を追った。
「待ち合わせしてるのかな・・・?」
消太さんはビルの一角で立ち止まり、誰かを待っているようだった。
時折腕時計の時間を確認している。
「あ・・・」
19時ジャスト。
一人の女性が消太さんの前で立ち止まった。
この間とは違うワンピースだが、こちらも高級ブランド品で身に纏っているのは前回と同じ女性だ。
「大人の女性」という言葉がよく似合う。
唇にのった赤いルージュが彼女のセクシーさをさらに強調させていた。
彼女は消太さんの腕を取り、消太さんはそれに対して嫌がるそぶりもない。
2人は目的地があるようでそのまま歩き出した。
「どうしよう」
帰ろうか、それともこのまま尾行を続けるか。
悩んだ私はどこへ行くのか気になるので、硬直していた身体に鞭打って2人を追った。
********
途中から行先について予想がついてしまった。
なぜならこの道はあの日と同じだから。
「やっぱり・・・」
彼らはあの日と同じ高級ホテルのエントランスをくぐった。
私はあの日と同じ場所に身を潜めた。
そしてやはりあの日と同じくコース料理を楽しんでいた。
なんで?
どうして?
そればかりが私の頭にはびこる。
いくら考えても私は消太さんじゃないから答えなんて見つからないのに。
「名字さん?」
もう帰ろうかな、と思ったそのとき自分の名前を呼ばれた。
思わず声がする方に顔を向けた。
「真鍋さん・・・」
「何してるんですか?あ、誰かと待ち合わせですか?」
「いえ・・・。真鍋さんとは街中での遭遇率高いですね」
「行動範囲が似てるんですかね。・・・何か元気ないですか?」
もう限界だった。
涙が零れそうなのを隠すために、私は俯いてただ首を横に振った。
「でも・・・」
私の様子がおかしいことは真鍋さんに伝わってしまったらしい。
オロオロして周囲を見渡す彼はある一点に気付いてしまった。
「あれは・・・?」
私はキュッと口を結んだ。
「え、ちょっ!」
真鍋さんは私の手を掴んで立ち上がらせた。
「夜ご飯はもう食べましたか?」
「いえ・・・」
「美味しい店知ってるので行きましょう!ね!」
私の返答を待たずして、彼はそのまま手を引っ張った。
私は彼のなすままに足を動かした。
消太さんとは違う温もり。
こんな時でも消太さんの手が恋しくなった私は重症だと思う。
