【12章】勘違い
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戻るとそこにはもうあの女性の姿はなくて。
ほっとした私は消太さんに近寄った。
「受付できました」
「ありがとう」
放送で間もなく受付終了のアナウンスが流れた。
「それじゃあ、お前らさくっと仮免取ってこい」
皆は気を引き締めて集合場所へと移動していった。
頼もしい背中を私は親心のような感情で見送った。
「俺らは見学席に移動するか」
人が多いので置いていかれないように消太さんの後ろに張り付いて歩いた。
スタンド席で適当な場所に腰を下ろす。
「私まで緊張してきました」
「なんで」
消太さんは何かを探しているようで辺りを見回している。
「どうかしましたか?」
「いや・・・ちょっと知り合いがいてな」
まさか・・・その知り合いって。
「おーっす!イレイザー!隣邪魔するよ」
やっぱり!さっきの快活な女性だ。
女性は消太さんの隣にドカっと座った。
「ん?そっちの子は?」
「うちの事務員だ」
「事務員が見学?」
「まあな」
「ふ~ん、私傑物学園高校の教師でヒーロー名はMs.ジョーク。よろしく」
消太さん越しに握手を求められたので、無碍にするわけにもいかずその手を握った。
「私、名字名前です。よろしくお願いします」
ニッと笑った笑顔はまるで太陽のようだ。
いい人そう。
消太さんは月のような印象。
太陽と月、お似合いだな。
私はなんだろう。
モブだから・・・雑草かな。
いやいや!
さっき消太さんは渡さないって決めたじゃない。
私は私で戦う!
ジョークさんには負けない。
みんなとは別の意味で自分の中の戦いの火蓋は切って落とされた。
「・・・暑くないか」
「名字ちゃん何か燃えてない?」
「生徒想いな奴だからな。生徒の心情とシンクロしてるんだろう」
「へ~。可愛い子だね」
「だろ」
「あ、イレイザーもしかして・・・」
メラメラ燃えている私に2人の会話は聞こえていなかった。
********
私だって負けない!
その決意は早くも崩れそうだ。
「うちの生徒達も優秀だからね!雄英には負けないよ」
「見物だな」
「ヨユーかよ。そういやこの間の事件だけど…」
教師二人が集まってお日柄についての世間話なんてするはずもなく、話はどんどんディープになっていく。
お互いの学校の話から、それぞれがヒーローとして活動している時の話まで私に入る余地などなかった。
私は借りてきた猫のようにそこに座っていることしかできない。
そうこうしているうちに1次試験が始まった。
ボールを当てるのかぁ…。
試験が始まると隣に座っている2人はそれぞれの生徒達の動向を観察し、評価し合っている。
私は隣で「なるほど…」「へー…」など中身のない相槌を繰り返すことしかできなくて、虚しかった。
会話のレベルが違う。
これ以上口を開いて「ジョークと話してる方がやっぱり落ち着く」と比較されたくなくてそのうち私は喋らなくなった。
「大丈夫か?」
口を閉ざしてしばらく経つと消太さんは私の顔を覗き込んだ。
「え、あ」
「気分でも悪いか?」
「い、いえ。大丈夫です。あ!切島くんと爆豪くんが、肉団子みたいになっちゃいました」
「あいつら…」
消太さんに心配されて嬉しい反面、対等な関係になれるのだろうかという不安がのし掛かった。
私は話を逸らすようにモニターを指差した。
どうやったら私は消太さんに釣り合う人間になれるのだろうか。
私は試験が終わるまでの間、答えの見つからない問いを考え続けた。
ほっとした私は消太さんに近寄った。
「受付できました」
「ありがとう」
放送で間もなく受付終了のアナウンスが流れた。
「それじゃあ、お前らさくっと仮免取ってこい」
皆は気を引き締めて集合場所へと移動していった。
頼もしい背中を私は親心のような感情で見送った。
「俺らは見学席に移動するか」
人が多いので置いていかれないように消太さんの後ろに張り付いて歩いた。
スタンド席で適当な場所に腰を下ろす。
「私まで緊張してきました」
「なんで」
消太さんは何かを探しているようで辺りを見回している。
「どうかしましたか?」
「いや・・・ちょっと知り合いがいてな」
まさか・・・その知り合いって。
「おーっす!イレイザー!隣邪魔するよ」
やっぱり!さっきの快活な女性だ。
女性は消太さんの隣にドカっと座った。
「ん?そっちの子は?」
「うちの事務員だ」
「事務員が見学?」
「まあな」
「ふ~ん、私傑物学園高校の教師でヒーロー名はMs.ジョーク。よろしく」
消太さん越しに握手を求められたので、無碍にするわけにもいかずその手を握った。
「私、名字名前です。よろしくお願いします」
ニッと笑った笑顔はまるで太陽のようだ。
いい人そう。
消太さんは月のような印象。
太陽と月、お似合いだな。
私はなんだろう。
モブだから・・・雑草かな。
いやいや!
さっき消太さんは渡さないって決めたじゃない。
私は私で戦う!
ジョークさんには負けない。
みんなとは別の意味で自分の中の戦いの火蓋は切って落とされた。
「・・・暑くないか」
「名字ちゃん何か燃えてない?」
「生徒想いな奴だからな。生徒の心情とシンクロしてるんだろう」
「へ~。可愛い子だね」
「だろ」
「あ、イレイザーもしかして・・・」
メラメラ燃えている私に2人の会話は聞こえていなかった。
********
私だって負けない!
その決意は早くも崩れそうだ。
「うちの生徒達も優秀だからね!雄英には負けないよ」
「見物だな」
「ヨユーかよ。そういやこの間の事件だけど…」
教師二人が集まってお日柄についての世間話なんてするはずもなく、話はどんどんディープになっていく。
お互いの学校の話から、それぞれがヒーローとして活動している時の話まで私に入る余地などなかった。
私は借りてきた猫のようにそこに座っていることしかできない。
そうこうしているうちに1次試験が始まった。
ボールを当てるのかぁ…。
試験が始まると隣に座っている2人はそれぞれの生徒達の動向を観察し、評価し合っている。
私は隣で「なるほど…」「へー…」など中身のない相槌を繰り返すことしかできなくて、虚しかった。
会話のレベルが違う。
これ以上口を開いて「ジョークと話してる方がやっぱり落ち着く」と比較されたくなくてそのうち私は喋らなくなった。
「大丈夫か?」
口を閉ざしてしばらく経つと消太さんは私の顔を覗き込んだ。
「え、あ」
「気分でも悪いか?」
「い、いえ。大丈夫です。あ!切島くんと爆豪くんが、肉団子みたいになっちゃいました」
「あいつら…」
消太さんに心配されて嬉しい反面、対等な関係になれるのだろうかという不安がのし掛かった。
私は話を逸らすようにモニターを指差した。
どうやったら私は消太さんに釣り合う人間になれるのだろうか。
私は試験が終わるまでの間、答えの見つからない問いを考え続けた。