【11章】三角関係
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「はい、じゃあ今日はこれで終わりね。お疲れ」
相澤先生の号令で生徒達は席を立った。
「名前さん!早速今日の夜どうですか?」
上鳴くんが私の傍に駆け寄ってきた。
「わかった、じゃあ行かせてもらおうかな」
「いける人は今日は一緒に夜ご飯食べることにしたんで!簡単にカレーにすることになりました。相澤先生もどうっすか?」
「実は今日、みんなと寮で夜ご飯を食べることになったんです。相澤先生も良かったら」
というか来てほしい。
大人が私一人というのも・・・。
私の視線に気づいた消太さんは首を捻った。
「じゃあお邪魔させてもらおうかな」
「おっし!みんな相澤先生も来るって!」
「わ~い!じゃあ名前さんの復帰祝いということで!」
「私もカレー作るの手伝うよ」
「大丈夫ですよ!そこはほら。才能マンがいるから」
「んで、俺なんだよ!作らねーよ!クソが!」
「とかいいつつ、ちゃっかり美味しいカレー作ってくれるんで」
爆豪くんってなんやかんや優しいし、皆に上手く転がされてる気がする。
「じゃあ、また後でね」
私と消太さんは別れを告げると残っている仕事を片すために職員室へ戻った。
********
「いつの間にあんな約束したんだ」
「食堂で芦戸さんと上鳴くんに会ったんです、その時に。相澤先生も来てくれて嬉しいです」
「早く残りの仕事終わらせるか」
名前が居ない間はどこかクラスの雰囲気も落ち込んでいた。
慣れない寮生活に浮足立っているところもあるが、あんな事件があった手前今は少し羽目を外しても大目にみてやろうとは思う。
まだ精神的に未熟な子どもだしな。
俺が行って水を差すのも悪いし、始めは食事を断ろうかとも思ったが、名前が目で訴えて来るから。
「カレー楽しみですね」
「激辛じゃなければいいけどな」
「え?」
「爆豪、あいつ相当の辛党だ」
「そうなんですか!私辛いの得意じゃないです・・・。相澤先生は?」
「普通だ。さすがに他のやつが止めるだろ」
話ながらもお互い自分の仕事を捌いている。
「私もうすぐ終わりそうです。余ってる仕事ありますか?」
「いや、急ぎはもう大丈夫だ」
「じゃあ、他の仕事片しながら相澤先生終わるの待ってます」
名前がいるのといないのとでは物理的にも精神的にも仕事の進む速度が違った。
予定よりも早いスピードで俺自身終わることができそうだ。
********
私達は1Aの寮にやってきた。
雄英の財力にはほとほと驚かされる。
学生寮といえばおんぼろアパートが定番だが、新築であり雄英の敷地内に建つこの建物を一般の賃貸で貸し出すとしたらおそらく目玉が飛び出る値がつくだろう。
「お邪魔しまーす」
消太さんに続いて中へ入った。
「お疲れ様です!」
切島くんが共同スペースのソファから立ち上がって出迎えてくれた。
「カレーのいい匂い!」
立ち込める匂いにつられてフラフラとキッチンへ移動する。
「あ、本当に爆豪くんが作ってくれてるんだ」
コトコト煮込まれているカレーを時折お玉でゆっくりかき混ぜているのは世界一エプロンが似合わない爆豪くんだった。
「・・・激辛じゃないよね?」
「・・・こんな甘ったるいカレー、カレーじゃねぇ」
「良かった。私も何かできることある?」
「そこ座ってろ」
爆豪くんに指差されたのは、煮込んでいる間座るために用意したのであろう椅子だった。
「ここ!?邪魔じゃない?私向こうに・・・」
「いいから座ってろ」
リビングに目をやると消太さんは緑谷くんや飯田くん達と喋っている。
私は素直に腰を下ろした。
「・・・」
「・・・」
妙な沈黙が私達の間に漂った。
沈黙が心地いいと思える相手ではない。
少しそわそわしてしまう。
手持無沙汰な両手を膝の上で遊ばせて気を紛らわせた。
「・・・あの時」
「え?」
「隣にいたんか」
一瞬何を言っているのか分からなかった。
爆豪くんはカレーに目線を向けているが、その横顔は少し後悔が混じっているようで。
このタイミングで私に向ける話など心当たりは一つしかない。
そう考えれば合点がいった。
「うん、いたよ」
「助け呼べよ」
「大声出したら殺されてたかも。私は爆豪くんと違って彼らにとってはいつ死んでもいい存在だったから」
「クソが」
忘れがちだけれど、彼も立派なヒーロー候補生だ。
ただ本音を人に伝えるのが苦手なだけで。
「次、誘拐されたときは助けてね」
プライドの高い彼に掛けてあげられる言葉はこれしかなかった。
「次なんてねえ」
爆豪くんは静かに呟いた。
しかし心の炎は熱く燃えていた。
「次なんて起こさせねえ。そんなことが起こる前に全員ぶっ潰してやる」
「頼りにしてるよ、次世代ヒーロー」
********
おまけ
「結局爆豪が作ってるのか」
「かっちゃん、僕達がやろうとしたら頑なに拒んで」
「爆豪君なりのカレーへのこだわりがあるのだろうか?」
「うーん。多分違うと思う」
「というと?」
「名前さんへの謝罪・・・かな?」
「どういうことだ?緑谷くん」
「ううん!やっぱり忘れて!」
「(そういうことね)」
相澤先生の号令で生徒達は席を立った。
「名前さん!早速今日の夜どうですか?」
上鳴くんが私の傍に駆け寄ってきた。
「わかった、じゃあ行かせてもらおうかな」
「いける人は今日は一緒に夜ご飯食べることにしたんで!簡単にカレーにすることになりました。相澤先生もどうっすか?」
「実は今日、みんなと寮で夜ご飯を食べることになったんです。相澤先生も良かったら」
というか来てほしい。
大人が私一人というのも・・・。
私の視線に気づいた消太さんは首を捻った。
「じゃあお邪魔させてもらおうかな」
「おっし!みんな相澤先生も来るって!」
「わ~い!じゃあ名前さんの復帰祝いということで!」
「私もカレー作るの手伝うよ」
「大丈夫ですよ!そこはほら。才能マンがいるから」
「んで、俺なんだよ!作らねーよ!クソが!」
「とかいいつつ、ちゃっかり美味しいカレー作ってくれるんで」
爆豪くんってなんやかんや優しいし、皆に上手く転がされてる気がする。
「じゃあ、また後でね」
私と消太さんは別れを告げると残っている仕事を片すために職員室へ戻った。
********
「いつの間にあんな約束したんだ」
「食堂で芦戸さんと上鳴くんに会ったんです、その時に。相澤先生も来てくれて嬉しいです」
「早く残りの仕事終わらせるか」
名前が居ない間はどこかクラスの雰囲気も落ち込んでいた。
慣れない寮生活に浮足立っているところもあるが、あんな事件があった手前今は少し羽目を外しても大目にみてやろうとは思う。
まだ精神的に未熟な子どもだしな。
俺が行って水を差すのも悪いし、始めは食事を断ろうかとも思ったが、名前が目で訴えて来るから。
「カレー楽しみですね」
「激辛じゃなければいいけどな」
「え?」
「爆豪、あいつ相当の辛党だ」
「そうなんですか!私辛いの得意じゃないです・・・。相澤先生は?」
「普通だ。さすがに他のやつが止めるだろ」
話ながらもお互い自分の仕事を捌いている。
「私もうすぐ終わりそうです。余ってる仕事ありますか?」
「いや、急ぎはもう大丈夫だ」
「じゃあ、他の仕事片しながら相澤先生終わるの待ってます」
名前がいるのといないのとでは物理的にも精神的にも仕事の進む速度が違った。
予定よりも早いスピードで俺自身終わることができそうだ。
********
私達は1Aの寮にやってきた。
雄英の財力にはほとほと驚かされる。
学生寮といえばおんぼろアパートが定番だが、新築であり雄英の敷地内に建つこの建物を一般の賃貸で貸し出すとしたらおそらく目玉が飛び出る値がつくだろう。
「お邪魔しまーす」
消太さんに続いて中へ入った。
「お疲れ様です!」
切島くんが共同スペースのソファから立ち上がって出迎えてくれた。
「カレーのいい匂い!」
立ち込める匂いにつられてフラフラとキッチンへ移動する。
「あ、本当に爆豪くんが作ってくれてるんだ」
コトコト煮込まれているカレーを時折お玉でゆっくりかき混ぜているのは世界一エプロンが似合わない爆豪くんだった。
「・・・激辛じゃないよね?」
「・・・こんな甘ったるいカレー、カレーじゃねぇ」
「良かった。私も何かできることある?」
「そこ座ってろ」
爆豪くんに指差されたのは、煮込んでいる間座るために用意したのであろう椅子だった。
「ここ!?邪魔じゃない?私向こうに・・・」
「いいから座ってろ」
リビングに目をやると消太さんは緑谷くんや飯田くん達と喋っている。
私は素直に腰を下ろした。
「・・・」
「・・・」
妙な沈黙が私達の間に漂った。
沈黙が心地いいと思える相手ではない。
少しそわそわしてしまう。
手持無沙汰な両手を膝の上で遊ばせて気を紛らわせた。
「・・・あの時」
「え?」
「隣にいたんか」
一瞬何を言っているのか分からなかった。
爆豪くんはカレーに目線を向けているが、その横顔は少し後悔が混じっているようで。
このタイミングで私に向ける話など心当たりは一つしかない。
そう考えれば合点がいった。
「うん、いたよ」
「助け呼べよ」
「大声出したら殺されてたかも。私は爆豪くんと違って彼らにとってはいつ死んでもいい存在だったから」
「クソが」
忘れがちだけれど、彼も立派なヒーロー候補生だ。
ただ本音を人に伝えるのが苦手なだけで。
「次、誘拐されたときは助けてね」
プライドの高い彼に掛けてあげられる言葉はこれしかなかった。
「次なんてねえ」
爆豪くんは静かに呟いた。
しかし心の炎は熱く燃えていた。
「次なんて起こさせねえ。そんなことが起こる前に全員ぶっ潰してやる」
「頼りにしてるよ、次世代ヒーロー」
********
おまけ
「結局爆豪が作ってるのか」
「かっちゃん、僕達がやろうとしたら頑なに拒んで」
「爆豪君なりのカレーへのこだわりがあるのだろうか?」
「うーん。多分違うと思う」
「というと?」
「名前さんへの謝罪・・・かな?」
「どういうことだ?緑谷くん」
「ううん!やっぱり忘れて!」
「(そういうことね)」