【9章】半歩進む
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「あ、お久しぶりです・・・」
私は軽く頭を下げた。
「隣、いいですか?」
帰ろうとしていたのだが、真鍋さんは私の返事を聞く前に腰を下ろしてしまった。
私も大人しくそのまま着席する。
「お身体はもう大丈夫なんですか?」
「はい、心配してくれてありがとうございます」
「噂で聞いたんですけど、雄英辞めるって本当ですか?」
彼は総務課だから籍は置いているのに出勤していない私に疑問を持っているのだろう。
直球だなぁ、と思ったけれど世間話をする気分でもない。
「はい」
「やっぱりあの事件が原因で・・・?」
「そうですね・・・」
私は苦笑いを浮かべた。
「あんなに雄英で働くことにやりがいを感じていたのに・・・いいんですか?」
「いいも何も私に選択権ありませんから・・・」
「選択権がないって・・・。顔色悪いですが、ちゃんとご飯食べてますか?」
「食べてますよ」
私は知り合いと久しぶりに会話をしてホッとする反面、荼毘に見られていたらこの人も危険に晒されるのではないかという恐怖を感じた。
「すみません、私もう帰りますね」
鞄とトレーを持って席を立った。
「僕送ります」
「いえ、大丈夫です。お気遣いありがとうございます」
私は彼の申し出に断りを入れると店を出た。
「ちょ、ちょっと待ってください」
店を出た後も真鍋さんは私の後をついてきた。
「ごめんなさい、急いでいるんです」
「じゃあ、このままでいいので聞いてください」
真鍋さんは早歩きする私の隣にぴったり張り付いて話始めた。
「本当は辞めたくないんじゃないですか?」
「・・・」
「僕なら名字さんの気持ち理解できるかもしれないので何があったのか話してもらえませんか?」
「・・・」
「気休めにしかならなくても、話して楽になることもあると思いますし」
誰かにこの気持ちや現状を聞いてほしい。
助けてほしい。
そういう感情はあるけれど、真鍋さんに話すわけにはいかない。
彼を巻き込むわけにはいかない。
信号待ちで足を止めて、ふとアパレルショップの窓に反射する自分と真鍋さんに目を向けた。
「っ・・・」
私にしか見えていないことは十分理解していた。
しかし私が見る幻覚の荼毘は真鍋さんの首に手を伸ばしていた。
「やめてっ!」
「え?」
私の声に驚いた真鍋さんは目を丸くして私を見た。
「すみません、真鍋さんと今日お話しできてすごく嬉しかったです。それは本当です。でも私と一緒にいてはいけないんです。だからここでお別れさせてください。さようなら」
私は信号が青に変わったのを確認すると走り出した。
私は軽く頭を下げた。
「隣、いいですか?」
帰ろうとしていたのだが、真鍋さんは私の返事を聞く前に腰を下ろしてしまった。
私も大人しくそのまま着席する。
「お身体はもう大丈夫なんですか?」
「はい、心配してくれてありがとうございます」
「噂で聞いたんですけど、雄英辞めるって本当ですか?」
彼は総務課だから籍は置いているのに出勤していない私に疑問を持っているのだろう。
直球だなぁ、と思ったけれど世間話をする気分でもない。
「はい」
「やっぱりあの事件が原因で・・・?」
「そうですね・・・」
私は苦笑いを浮かべた。
「あんなに雄英で働くことにやりがいを感じていたのに・・・いいんですか?」
「いいも何も私に選択権ありませんから・・・」
「選択権がないって・・・。顔色悪いですが、ちゃんとご飯食べてますか?」
「食べてますよ」
私は知り合いと久しぶりに会話をしてホッとする反面、荼毘に見られていたらこの人も危険に晒されるのではないかという恐怖を感じた。
「すみません、私もう帰りますね」
鞄とトレーを持って席を立った。
「僕送ります」
「いえ、大丈夫です。お気遣いありがとうございます」
私は彼の申し出に断りを入れると店を出た。
「ちょ、ちょっと待ってください」
店を出た後も真鍋さんは私の後をついてきた。
「ごめんなさい、急いでいるんです」
「じゃあ、このままでいいので聞いてください」
真鍋さんは早歩きする私の隣にぴったり張り付いて話始めた。
「本当は辞めたくないんじゃないですか?」
「・・・」
「僕なら名字さんの気持ち理解できるかもしれないので何があったのか話してもらえませんか?」
「・・・」
「気休めにしかならなくても、話して楽になることもあると思いますし」
誰かにこの気持ちや現状を聞いてほしい。
助けてほしい。
そういう感情はあるけれど、真鍋さんに話すわけにはいかない。
彼を巻き込むわけにはいかない。
信号待ちで足を止めて、ふとアパレルショップの窓に反射する自分と真鍋さんに目を向けた。
「っ・・・」
私にしか見えていないことは十分理解していた。
しかし私が見る幻覚の荼毘は真鍋さんの首に手を伸ばしていた。
「やめてっ!」
「え?」
私の声に驚いた真鍋さんは目を丸くして私を見た。
「すみません、真鍋さんと今日お話しできてすごく嬉しかったです。それは本当です。でも私と一緒にいてはいけないんです。だからここでお別れさせてください。さようなら」
私は信号が青に変わったのを確認すると走り出した。