【8章】決断
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
名字の病室を再訪するのに時間はかからなかった。
すでに会いに行ったことを知らないマイクとミッドナイトさんが、気を効かせて仕事を代わってくれたからだ。
「早く行ってあげなさい」
「こっちは任せとけって!」
まさか夜中に病院に忍び込んだなど言えるはずもなく、俺は今度こそ病院の正面玄関から入った。
「相澤先生!」
半身を起こして本を読んでいた名字は俺が入ると顔を綻ばせた。
「また来てくれたんですね」
「時間ができたからな。これ」
「わあ!可愛いお花。ありがとうございます」
「何が好きか分からなかった」
「何でも好きです。プリザーブドフラワーなのが相澤先生らしいです」
花瓶があるかどうかわからなかったので、最初は食べ物にするかと思ったが、たまたま通りがかった花屋に置かれていた花に目を奪われた。
ガラスケースの中で咲いているオレンジと黄色の花がよく笑う彼女に合っていると思った。
犬のマスコットも入っていて、それがまた名字に似ていた。
立ち止まっていると店員が話しかけてきて、水がいらない花だと言うのでそれに決めた。
ベッド脇のスペースに置いたので「そこ邪魔じゃないか?」と尋ねると「ここがいいんです」と名字は微笑んだ。
*********
そこから私達は小一時間ほど話した。
会話の中心は生徒達だ。
「爆豪くん、もう退院したんですか!」
「ああ。大した怪我もない状態であいつが病院で大人しくしていると思うか」
「確かに」
私はクスクスと笑った。
みんな無事で本当に良かった。
「それにしても全寮制ですか。しかももう建物出来上がってるんですよね。さすが雄英です」
「教員寮もあるしな」
「じゃあ相澤先生はあのお部屋解約されるんですか?」
「いや、一応残しておく」
「私ももうすっかり元気なので、先生に言ったら明日退院してもいいって言われたんです!お仕事溜まってますよね?退院したら荷物部屋に置いてすぐに出勤しますね!」
私がそう言うと相澤先生は目線を落とした。
「相澤先生?」
様子がおかしいので首を傾げると相澤先生は膝の上で組んだ両手に視線を落したまま口を開いた。
「名字・・・」
私の名前を紡いだ声はひどく苦しそうで、私の表情から笑顔が消えた。
「雄英を辞めてほしい」
すでに会いに行ったことを知らないマイクとミッドナイトさんが、気を効かせて仕事を代わってくれたからだ。
「早く行ってあげなさい」
「こっちは任せとけって!」
まさか夜中に病院に忍び込んだなど言えるはずもなく、俺は今度こそ病院の正面玄関から入った。
「相澤先生!」
半身を起こして本を読んでいた名字は俺が入ると顔を綻ばせた。
「また来てくれたんですね」
「時間ができたからな。これ」
「わあ!可愛いお花。ありがとうございます」
「何が好きか分からなかった」
「何でも好きです。プリザーブドフラワーなのが相澤先生らしいです」
花瓶があるかどうかわからなかったので、最初は食べ物にするかと思ったが、たまたま通りがかった花屋に置かれていた花に目を奪われた。
ガラスケースの中で咲いているオレンジと黄色の花がよく笑う彼女に合っていると思った。
犬のマスコットも入っていて、それがまた名字に似ていた。
立ち止まっていると店員が話しかけてきて、水がいらない花だと言うのでそれに決めた。
ベッド脇のスペースに置いたので「そこ邪魔じゃないか?」と尋ねると「ここがいいんです」と名字は微笑んだ。
*********
そこから私達は小一時間ほど話した。
会話の中心は生徒達だ。
「爆豪くん、もう退院したんですか!」
「ああ。大した怪我もない状態であいつが病院で大人しくしていると思うか」
「確かに」
私はクスクスと笑った。
みんな無事で本当に良かった。
「それにしても全寮制ですか。しかももう建物出来上がってるんですよね。さすが雄英です」
「教員寮もあるしな」
「じゃあ相澤先生はあのお部屋解約されるんですか?」
「いや、一応残しておく」
「私ももうすっかり元気なので、先生に言ったら明日退院してもいいって言われたんです!お仕事溜まってますよね?退院したら荷物部屋に置いてすぐに出勤しますね!」
私がそう言うと相澤先生は目線を落とした。
「相澤先生?」
様子がおかしいので首を傾げると相澤先生は膝の上で組んだ両手に視線を落したまま口を開いた。
「名字・・・」
私の名前を紡いだ声はひどく苦しそうで、私の表情から笑顔が消えた。
「雄英を辞めてほしい」