【8章】決断
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俺はイライラしていた。
爆豪達の居場所が分かり、選りすぐりのプロヒーローが現場へ向かった。
しかし俺はそこへ行くことができなかった。
生徒達のフォローから記者会見、急遽導入されることとなった全寮制の打ち合わせ、寝る暇もないほど動きっぱなしだ。
名字が無事救出されたことも伝聞で聞かされた。
爆豪は緑谷達に救出されたことも。
敵連合による襲撃はただの誘拐事件に終わらず、オールマイトの終焉という時代の憂き目をもたらせた。
名字の病院の場所と部屋番号は聞いていた。
事情が事情なので個室にいるらしい。
「今ならいけるが・・・」
やっと作れた時間だが、時刻は夜中の22時だった。
面会時間はとっくに終わっている。
少しだけでも顔を見れたら。
無事であることは分かっているが、その姿を自分の目で確認したかった。
*********
「この辺だが・・・」
病院のHPでおおよその名字の部屋の場所は分かったが、さすがに細かい場所までは把握できなかった。
感情の勢いのまま来てしまったが、見つかったらタダでは済まないだろう。
当たり前だがどの窓にもカーテンが閉まっていて中の様子は伺えない。
「合理的じゃないな・・・」
自分らしくない行動に嘲笑した。
やはり昼間に空き時間を作るしかないか。
そう思ったとき、静寂な闇夜の中にカラカラと音がした。
窓が開いてカーテンがたなびく。
俺は姿を見られないように木の陰に隠れた。
窓の淵に手を掛け、月を見上げたのはずっと会いたいと思っていた彼女だった。
俺はすぐさま木から名字が開けた窓の淵へ飛び移った。
「え!?」
驚く名字の口に手を当て「静かに」と囁くと彼女はコクコクと頷いた。
俺は手を離すと名字が開けた窓をそっと閉めた。
「相澤先生・・・」
「名字・・・」
やっと会えた。
たった数日の出来事だったが、もう何年も会えなかったような感情。
俺よりも数段小さな身体を抱き締めた。
ピクリと反応した名字は抵抗することなく、その細い腕は俺の背中に回された。
お互い無言のまま、ただその存在を確かめた。
不意に俺の服が濡れていることに気付いた。
真っ暗で静寂な病室にグズッと名字が鼻を啜る音が響いた。
「助けに行けなくてすまない」
名字は頭を横に振った。
「相澤先生は私を助けてくれました」
名字はそっと身体を離すと両手を俺の前に出した。
「相澤先生に教えてもらったことを実践したんです。簡単に抜け出せました」
「よくできたな」
名字の頭を撫でると彼女は気持ちよさそうに目を細めた。
「会いたかったです」
俺もだ、そう伝えると彼女ははにかんだ笑顔を見せた。
爆豪達の居場所が分かり、選りすぐりのプロヒーローが現場へ向かった。
しかし俺はそこへ行くことができなかった。
生徒達のフォローから記者会見、急遽導入されることとなった全寮制の打ち合わせ、寝る暇もないほど動きっぱなしだ。
名字が無事救出されたことも伝聞で聞かされた。
爆豪は緑谷達に救出されたことも。
敵連合による襲撃はただの誘拐事件に終わらず、オールマイトの終焉という時代の憂き目をもたらせた。
名字の病院の場所と部屋番号は聞いていた。
事情が事情なので個室にいるらしい。
「今ならいけるが・・・」
やっと作れた時間だが、時刻は夜中の22時だった。
面会時間はとっくに終わっている。
少しだけでも顔を見れたら。
無事であることは分かっているが、その姿を自分の目で確認したかった。
*********
「この辺だが・・・」
病院のHPでおおよその名字の部屋の場所は分かったが、さすがに細かい場所までは把握できなかった。
感情の勢いのまま来てしまったが、見つかったらタダでは済まないだろう。
当たり前だがどの窓にもカーテンが閉まっていて中の様子は伺えない。
「合理的じゃないな・・・」
自分らしくない行動に嘲笑した。
やはり昼間に空き時間を作るしかないか。
そう思ったとき、静寂な闇夜の中にカラカラと音がした。
窓が開いてカーテンがたなびく。
俺は姿を見られないように木の陰に隠れた。
窓の淵に手を掛け、月を見上げたのはずっと会いたいと思っていた彼女だった。
俺はすぐさま木から名字が開けた窓の淵へ飛び移った。
「え!?」
驚く名字の口に手を当て「静かに」と囁くと彼女はコクコクと頷いた。
俺は手を離すと名字が開けた窓をそっと閉めた。
「相澤先生・・・」
「名字・・・」
やっと会えた。
たった数日の出来事だったが、もう何年も会えなかったような感情。
俺よりも数段小さな身体を抱き締めた。
ピクリと反応した名字は抵抗することなく、その細い腕は俺の背中に回された。
お互い無言のまま、ただその存在を確かめた。
不意に俺の服が濡れていることに気付いた。
真っ暗で静寂な病室にグズッと名字が鼻を啜る音が響いた。
「助けに行けなくてすまない」
名字は頭を横に振った。
「相澤先生は私を助けてくれました」
名字はそっと身体を離すと両手を俺の前に出した。
「相澤先生に教えてもらったことを実践したんです。簡単に抜け出せました」
「よくできたな」
名字の頭を撫でると彼女は気持ちよさそうに目を細めた。
「会いたかったです」
俺もだ、そう伝えると彼女ははにかんだ笑顔を見せた。