【7章】後悔先に立たず
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状況は最悪だった。
現在死者こそ出ていないものの、重軽傷者多数に行方不明者3名。
行方不明は爆豪、ラグドール、そして名字だ。
交戦の中、敵の狙いが爆豪であることが判明した。
わざわざ誘拐する目的は大方予想がついていたため、爆豪の安全はおそらく一番固い。
しかしあとの2人の安否は・・・。
ラグドールは交戦の事情で拉致せざるを得なくなったとしても、無個性である名字を連れ去る理由が思い当たらない。
拉致した以上、その時は生きていたに違いない。
しかし一番身に危険が迫っているのは彼女だ。
わずかなきっかけで殺されてもおかしくない。
「名前はどこに行ったんだよ!なあ!」
泣きじゃくりながら俺の服を引っ張る小さな子どもに返す言葉は見つからなかった。
「僕が施設に送り届けなかったから・・・だから・・・」
自分を責める緑谷の肩に俺は手を掛けた。
「それは結果論にすぎん。おそらくそうなれば洸汰くんが無事ではなかっただろう。あとはプロヒーローに任せておけ」
俺はしゃがんで洸汰くんと目線を合わせた。
「名字は絶対俺達が救い出す。だから待ってろ」
これは自分に言い聞かせた言葉だった。
生きていると信じたかった。
必ず助け出す。
*********
ぼんやりとした頭が徐々に覚醒したのは、男達の声が聞こえたからだ。
霞む瞳を数回瞬かせると徐々に焦点が合ってきた。
「勝手なことするなよ、荼毘」
「別にいいじゃねぇか。減るもんでもねーし」
「よくねぇ、増えてる。目的は爆豪だけだろうが」
私を拉致した荼毘と言い争っている男は、荼毘とは違う意味で不気味だった。
顔に人の手がついている。
「おい、目が覚めたみたいだぞ」
私に背を向けていた荼毘が目の前の男に指摘され振り返った。
コツコツと私の傍まで歩み寄るとしゃがんで顔を覗き込んできた。
「気分はどうだ?」
「・・・良くはないです」
「はっはっは!そりゃそうだ。なんせ敵に拉致されてんだからな!」
「あんま大きい声出したら隣にいる爆豪に聞こえんぞ、死柄木」
死柄木と呼ばれた男は、肩をすくめた。
「それは困るな。俺達は今からあいつに"勧誘"しなければならないからな。対等でないと。・・・だから」
死柄木は私の傍に腰を下ろすと顎を掴んで上を向かせた。
「もし、何か不都合なことがあればお前を殺す。・・・いいな、荼毘」
「はいはい」
死柄木はその場を後にした。
「殺されたくなかったら大人しくしとけよ」
「・・・どうして私を攫ったんですか?」
「お前は玩具が欲しいときに理由なんてあるか?何となく興味がある、何となく遊んでみたい」
目の前の男の目は冷たかった。
「しいていうならそうだな・・・敵連合にはあいにく女がガキ1人しかいないからな。・・・飢えてんだよ」
荼毘の言葉の意味が分からないほど私は子どもではなかった。
「今から俺もあっちに行くからな。あとで楽しませてもらう。それまで縛っとくか」
荼毘はロープを取りだした。
「ほら、手出せ」
私は大人しく言われた通りに手を出した。
荼毘は私の手首を縛ると、そのまま部屋を後にした。
「相澤先生に会いたい・・・」
コンクリートの床が冷たかった。
現在死者こそ出ていないものの、重軽傷者多数に行方不明者3名。
行方不明は爆豪、ラグドール、そして名字だ。
交戦の中、敵の狙いが爆豪であることが判明した。
わざわざ誘拐する目的は大方予想がついていたため、爆豪の安全はおそらく一番固い。
しかしあとの2人の安否は・・・。
ラグドールは交戦の事情で拉致せざるを得なくなったとしても、無個性である名字を連れ去る理由が思い当たらない。
拉致した以上、その時は生きていたに違いない。
しかし一番身に危険が迫っているのは彼女だ。
わずかなきっかけで殺されてもおかしくない。
「名前はどこに行ったんだよ!なあ!」
泣きじゃくりながら俺の服を引っ張る小さな子どもに返す言葉は見つからなかった。
「僕が施設に送り届けなかったから・・・だから・・・」
自分を責める緑谷の肩に俺は手を掛けた。
「それは結果論にすぎん。おそらくそうなれば洸汰くんが無事ではなかっただろう。あとはプロヒーローに任せておけ」
俺はしゃがんで洸汰くんと目線を合わせた。
「名字は絶対俺達が救い出す。だから待ってろ」
これは自分に言い聞かせた言葉だった。
生きていると信じたかった。
必ず助け出す。
*********
ぼんやりとした頭が徐々に覚醒したのは、男達の声が聞こえたからだ。
霞む瞳を数回瞬かせると徐々に焦点が合ってきた。
「勝手なことするなよ、荼毘」
「別にいいじゃねぇか。減るもんでもねーし」
「よくねぇ、増えてる。目的は爆豪だけだろうが」
私を拉致した荼毘と言い争っている男は、荼毘とは違う意味で不気味だった。
顔に人の手がついている。
「おい、目が覚めたみたいだぞ」
私に背を向けていた荼毘が目の前の男に指摘され振り返った。
コツコツと私の傍まで歩み寄るとしゃがんで顔を覗き込んできた。
「気分はどうだ?」
「・・・良くはないです」
「はっはっは!そりゃそうだ。なんせ敵に拉致されてんだからな!」
「あんま大きい声出したら隣にいる爆豪に聞こえんぞ、死柄木」
死柄木と呼ばれた男は、肩をすくめた。
「それは困るな。俺達は今からあいつに"勧誘"しなければならないからな。対等でないと。・・・だから」
死柄木は私の傍に腰を下ろすと顎を掴んで上を向かせた。
「もし、何か不都合なことがあればお前を殺す。・・・いいな、荼毘」
「はいはい」
死柄木はその場を後にした。
「殺されたくなかったら大人しくしとけよ」
「・・・どうして私を攫ったんですか?」
「お前は玩具が欲しいときに理由なんてあるか?何となく興味がある、何となく遊んでみたい」
目の前の男の目は冷たかった。
「しいていうならそうだな・・・敵連合にはあいにく女がガキ1人しかいないからな。・・・飢えてんだよ」
荼毘の言葉の意味が分からないほど私は子どもではなかった。
「今から俺もあっちに行くからな。あとで楽しませてもらう。それまで縛っとくか」
荼毘はロープを取りだした。
「ほら、手出せ」
私は大人しく言われた通りに手を出した。
荼毘は私の手首を縛ると、そのまま部屋を後にした。
「相澤先生に会いたい・・・」
コンクリートの床が冷たかった。