【6章】膨らむ想い
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女性の甲高い悲鳴が聞こえたかと思うと人々が慌ただしく逃げ惑っている。
ヴィランが出たと瞬時に判断し、名字を探すよりも先に元凶を押さえることが彼女の安全を確保するに繋がると考えた俺は声が聞こえた方へ向かった。
しかしマイクの方が近くにいたらしく、すでに男が取り押さえられていた。
「おお、消太も来てたのか!」
「そいつだけか?」
「そうみたいだぜ。こいつがいきなり刃物を持って女性に襲い掛かったらしい」
傍に警備員に介抱されている女性がいた。
俺は辺りを見回して名字の姿を探すが見つからなかった。
電話を掛けてみるが繋がらない。
「現場、任せていいか」
「いいけど、誰かと来てんの?」
「名字だ。林間合宿の買い出しに」
「へー!ま、こっちは任せとけ!」
含み笑いが気に食わないが、任せる以上悪態もつけない。
俺はマイクに礼を言いその場を離れた。
「何で繋がらないんだ」
俺は先ほどの店から一番近いトイレ周辺を捜したが見つからなかった。
電話になぜ出ない。
何度も掛けたが無機質なコール音が鳴るだけだった。
「相澤先生!」
「名字!」
人混みの中から無傷の彼女がひょっこり現れて、俺は肩の力が抜けた。
「どこにいたんだ。電話鳴らしても繋がらないし」
「ごめんなさい、人の波に流されてしまって」
「怪我はないのか」
「はい、親切な方に助けて貰いました」
「無事なら良かった」
「何があったんでしょうか」
「刃物を持った男が暴れたらしい」
「怖いですね」
「もうそろそろ帰るか」
「そうですね」
ちょうど日も暮れてきた。
まだ混乱している現場から離れる為に名字の手を取った。
さっきはマイクに遭遇した動揺で強く掴んでしまったが、今度はそうじゃない。
傍にいてほしくて、その存在を感じ安心したくて、俺より一回り以上小さな手を出来る限り優しく包んだ。
「相澤先生・・・」
「嫌か?」
名字はふるふると首を横に振った。
*********
相澤先生の手は温かかった。
車に乗り込むときに離れた手が少し名残惜しかった。
相澤先生と過ごす時間はあっという間で。
安全運転なのにもう家に着いてしまった。
あとは私が車を降りて手を振るだけ。
「今日はありがとうございました」
「こちらこそ、楽しかったよ」
良かった、楽しいと思っていたのは私だけじゃなかったんだ。
相澤先生は表情で感情の起伏が見え辛いから、こうやって言葉にしてもらえると嬉しい。
「あの、これ」
私は相澤先生に買ったプレゼントを渡した。
「いつもお世話になっているので。感謝の気持ちです」
「俺に?開けていいか?」
私が頷くと相澤先生がリボンを解いた。
「目を酷使されているので少しでも疲れが取れたらなって」
「ありがとう。大事に使わせてもらうよ」
「じゃあ、また学校で」
私はドアに手を掛けた。
しかし、ドアを開ける前に私の手の上に相澤先生の手が重なった。
振り向くと目と鼻の先に相澤先生の顔が合って、私は思わず後ろにのけぞった。
後頭部がコツンと窓ガラスにあたり、それ以上は後ろへ下がれない。
「名字・・・」
これって・・・。
私は目を軽く閉じた。
「次、どこに行きたい?」
「へ?」
ぱちっと目を開けると、先ほどより顔は離れていた。
「次!次ですね。えっと・・・猫カフェとか!」
動揺した私はたいして考えもせずにパッと出てきた案を口から滑らせた。
「猫カフェ・・・いいな」
「楽しみにしてます!おやすみなさい」
私はドアを開けて車を降りた。
玄関まで駆け上がり、自宅へ入る直前、共有スペースから身を乗り出すと相澤先生の姿がここからでも見えた。
相澤先生はずっと見ていてくれたようで手を軽く振ってくれた。
私は手を振り返した。
ジェスチャーで家に入るように言われたので一礼して中へ入った。
バタンと扉を閉めると私はずるずるとその場にへたり込んだ。
「キスされるかと思った」
*********
おまけ
俺は名字がちゃんと家に入ったところを確認するとハンドルに頭をつけた。
「危ねぇ・・・キスするところだった」
ヴィランが出たと瞬時に判断し、名字を探すよりも先に元凶を押さえることが彼女の安全を確保するに繋がると考えた俺は声が聞こえた方へ向かった。
しかしマイクの方が近くにいたらしく、すでに男が取り押さえられていた。
「おお、消太も来てたのか!」
「そいつだけか?」
「そうみたいだぜ。こいつがいきなり刃物を持って女性に襲い掛かったらしい」
傍に警備員に介抱されている女性がいた。
俺は辺りを見回して名字の姿を探すが見つからなかった。
電話を掛けてみるが繋がらない。
「現場、任せていいか」
「いいけど、誰かと来てんの?」
「名字だ。林間合宿の買い出しに」
「へー!ま、こっちは任せとけ!」
含み笑いが気に食わないが、任せる以上悪態もつけない。
俺はマイクに礼を言いその場を離れた。
「何で繋がらないんだ」
俺は先ほどの店から一番近いトイレ周辺を捜したが見つからなかった。
電話になぜ出ない。
何度も掛けたが無機質なコール音が鳴るだけだった。
「相澤先生!」
「名字!」
人混みの中から無傷の彼女がひょっこり現れて、俺は肩の力が抜けた。
「どこにいたんだ。電話鳴らしても繋がらないし」
「ごめんなさい、人の波に流されてしまって」
「怪我はないのか」
「はい、親切な方に助けて貰いました」
「無事なら良かった」
「何があったんでしょうか」
「刃物を持った男が暴れたらしい」
「怖いですね」
「もうそろそろ帰るか」
「そうですね」
ちょうど日も暮れてきた。
まだ混乱している現場から離れる為に名字の手を取った。
さっきはマイクに遭遇した動揺で強く掴んでしまったが、今度はそうじゃない。
傍にいてほしくて、その存在を感じ安心したくて、俺より一回り以上小さな手を出来る限り優しく包んだ。
「相澤先生・・・」
「嫌か?」
名字はふるふると首を横に振った。
*********
相澤先生の手は温かかった。
車に乗り込むときに離れた手が少し名残惜しかった。
相澤先生と過ごす時間はあっという間で。
安全運転なのにもう家に着いてしまった。
あとは私が車を降りて手を振るだけ。
「今日はありがとうございました」
「こちらこそ、楽しかったよ」
良かった、楽しいと思っていたのは私だけじゃなかったんだ。
相澤先生は表情で感情の起伏が見え辛いから、こうやって言葉にしてもらえると嬉しい。
「あの、これ」
私は相澤先生に買ったプレゼントを渡した。
「いつもお世話になっているので。感謝の気持ちです」
「俺に?開けていいか?」
私が頷くと相澤先生がリボンを解いた。
「目を酷使されているので少しでも疲れが取れたらなって」
「ありがとう。大事に使わせてもらうよ」
「じゃあ、また学校で」
私はドアに手を掛けた。
しかし、ドアを開ける前に私の手の上に相澤先生の手が重なった。
振り向くと目と鼻の先に相澤先生の顔が合って、私は思わず後ろにのけぞった。
後頭部がコツンと窓ガラスにあたり、それ以上は後ろへ下がれない。
「名字・・・」
これって・・・。
私は目を軽く閉じた。
「次、どこに行きたい?」
「へ?」
ぱちっと目を開けると、先ほどより顔は離れていた。
「次!次ですね。えっと・・・猫カフェとか!」
動揺した私はたいして考えもせずにパッと出てきた案を口から滑らせた。
「猫カフェ・・・いいな」
「楽しみにしてます!おやすみなさい」
私はドアを開けて車を降りた。
玄関まで駆け上がり、自宅へ入る直前、共有スペースから身を乗り出すと相澤先生の姿がここからでも見えた。
相澤先生はずっと見ていてくれたようで手を軽く振ってくれた。
私は手を振り返した。
ジェスチャーで家に入るように言われたので一礼して中へ入った。
バタンと扉を閉めると私はずるずるとその場にへたり込んだ。
「キスされるかと思った」
*********
おまけ
俺は名字がちゃんと家に入ったところを確認するとハンドルに頭をつけた。
「危ねぇ・・・キスするところだった」
