【4章】傷の舐め合い
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去年は仕事を理由に体育祭の飲み会は不参加だった。
というよりこんな大所帯の飲み会行きたくないので基本不参加。
しかし名字は参加するようで、酒が飲めないと言っていたのに大丈夫なのか心配になった。
名字の性格上、飲めと言われたら断りきれなくて飲んでしまう可能性は十分あり得る。
だから俺も参加し、隣に座っていればいいかと思ったのだが席はくじで決められ離れてしまった。
「相澤先生ですよね。よろしくお願いします」
隣の女はどこの部署かは知らんが事務員だろう。
名字に対して背を向けて座っているので、彼女の様子は伺えない。
時折トイレに行き、それとなく確認したがそれなりに楽しんでいるようだった。
隣はブラドか。
まぁ、これなら大丈夫だろ、と俺は俺でせっかくなので酒と食事を楽しむことにした。
「相澤先生、彼女はいないんですか?」
「ヒーローってモテそうっすもんねー」
「そんなことない。俺はアングラ系だしな」
「マイク先生と違ってメディア出ないですもんね」
できれば話しかけないで欲しいが、さすがに同じ職場の人間に対して言うわけにもいくまい。
適当に返答しつつ、酒を煽った。
*********
「もうそろそろお開きなので、この場で解散になります!二次会に行く人は店の外で待機しておいてくださーい!!」
総務課の御園が全体に聞こえるように声を上げた。
そういえば最近仲良くなったと名字が嬉しそうに話していたな。
全員わらわらと席を立ち始める。
二次会は名字もおそらく行かないだろう。
家まで送るか・・・と思い名字が座っていた場所を見たが居なかった。
トイレか?
辺りを見回していると荷物置き場で女物のバッグを取っている男が視界に入った。
確かあのバッグは・・・。
「それ、名字のやつじゃないのか?」
俺はそいつに近づき声を掛けた。
確か名字の正面に座っていた男だ。
「あ、相澤先生。名字さん、頭痛くなったみたいで。心配なので僕送っていきます」
「あいつは酒が飲めないはずだが・・・飲んだのか?」
「ブラド先生と郷田さんが飲ませようとして。ずっと阻止してたんですけど僕がトイレに行った隙に飲んでしまったみたいです」
俺は驚いた。
背を向けていたとはいえ、もう少し気を付けておくべくだった。
「名字の家は俺の近所だ。俺が送っていく」
「や、でも・・・」
男が言い淀んだので、俺は男の手から名字のバッグを取った。
「・・・そうですね。ヒーローに送ってもらった方が名字さんも安心だと思いますし。じゃあ、よろしくお願いします。中庭にいます」
「分かった。面倒かけて悪かったな」
お疲れ、そう言い残して俺は部屋を出た。
*********
中庭へ出るとベンチに座った名字の後ろ姿が見えた。
バッグを名字の前に差し出した。
「すみません、真鍋さん。ありがとうございます」
バッグを受け取った名字は顔を上げた。
「あ、相澤先生!」
「大丈夫か?」
「あれ?真鍋さんは・・・」
「俺が代わりに送っていく」
「ありがとうございます。すみません、ご迷惑おかけして」
「酒、断れなかったのか?」
「あ、いえ・・・ちょっと色々ありまして」
ははは、と乾いた笑いをする名字に溜息を吐いた。
「ブラドには後日注意しておく」
「いえいえ!あれは事故みたいなもので!私も悪いんです」
俺は名字の隣に腰かけた。
「あいつと仲良くなったのか?」
「あいつ?」
「真鍋・・・って言ってたか?」
「ああ、真鍋さん!」
名字はパン!と手を合わせた。
「あの方無個性らしくて!無個性話で盛り上がりました」
「そうか・・・名字の他にもいたんだな」
「ね!驚きです」
嬉しそうな顔をする名字とは逆に俺の心はザワつく。
「名字は付き合うなら無個性の奴の方がいいのか?」
少し言い方がキツくなったかもしれない。
名字は目を見開いた後、少し俯いた。
「私は気にしないですけど、お相手が気にするかもしれないので・・・。前回もそれでフラれてますし。無個性の人だったら傷つかなくて済むのかな・・・とは思ってます」
さっきちょうど真鍋さんと似たような話したんですよ、という名字に内心焦りを感じた。
想像以上に真鍋との距離が近くなっている。
俺には越えられない壁があるように感じた。
「んなもん人によるだろ。俺は無個性でも気にしない」
これではまるで告白だ。
名字の頬が染まっているが、それは酒のせいか俺のせいか。
後者であるように願った。
というよりこんな大所帯の飲み会行きたくないので基本不参加。
しかし名字は参加するようで、酒が飲めないと言っていたのに大丈夫なのか心配になった。
名字の性格上、飲めと言われたら断りきれなくて飲んでしまう可能性は十分あり得る。
だから俺も参加し、隣に座っていればいいかと思ったのだが席はくじで決められ離れてしまった。
「相澤先生ですよね。よろしくお願いします」
隣の女はどこの部署かは知らんが事務員だろう。
名字に対して背を向けて座っているので、彼女の様子は伺えない。
時折トイレに行き、それとなく確認したがそれなりに楽しんでいるようだった。
隣はブラドか。
まぁ、これなら大丈夫だろ、と俺は俺でせっかくなので酒と食事を楽しむことにした。
「相澤先生、彼女はいないんですか?」
「ヒーローってモテそうっすもんねー」
「そんなことない。俺はアングラ系だしな」
「マイク先生と違ってメディア出ないですもんね」
できれば話しかけないで欲しいが、さすがに同じ職場の人間に対して言うわけにもいくまい。
適当に返答しつつ、酒を煽った。
*********
「もうそろそろお開きなので、この場で解散になります!二次会に行く人は店の外で待機しておいてくださーい!!」
総務課の御園が全体に聞こえるように声を上げた。
そういえば最近仲良くなったと名字が嬉しそうに話していたな。
全員わらわらと席を立ち始める。
二次会は名字もおそらく行かないだろう。
家まで送るか・・・と思い名字が座っていた場所を見たが居なかった。
トイレか?
辺りを見回していると荷物置き場で女物のバッグを取っている男が視界に入った。
確かあのバッグは・・・。
「それ、名字のやつじゃないのか?」
俺はそいつに近づき声を掛けた。
確か名字の正面に座っていた男だ。
「あ、相澤先生。名字さん、頭痛くなったみたいで。心配なので僕送っていきます」
「あいつは酒が飲めないはずだが・・・飲んだのか?」
「ブラド先生と郷田さんが飲ませようとして。ずっと阻止してたんですけど僕がトイレに行った隙に飲んでしまったみたいです」
俺は驚いた。
背を向けていたとはいえ、もう少し気を付けておくべくだった。
「名字の家は俺の近所だ。俺が送っていく」
「や、でも・・・」
男が言い淀んだので、俺は男の手から名字のバッグを取った。
「・・・そうですね。ヒーローに送ってもらった方が名字さんも安心だと思いますし。じゃあ、よろしくお願いします。中庭にいます」
「分かった。面倒かけて悪かったな」
お疲れ、そう言い残して俺は部屋を出た。
*********
中庭へ出るとベンチに座った名字の後ろ姿が見えた。
バッグを名字の前に差し出した。
「すみません、真鍋さん。ありがとうございます」
バッグを受け取った名字は顔を上げた。
「あ、相澤先生!」
「大丈夫か?」
「あれ?真鍋さんは・・・」
「俺が代わりに送っていく」
「ありがとうございます。すみません、ご迷惑おかけして」
「酒、断れなかったのか?」
「あ、いえ・・・ちょっと色々ありまして」
ははは、と乾いた笑いをする名字に溜息を吐いた。
「ブラドには後日注意しておく」
「いえいえ!あれは事故みたいなもので!私も悪いんです」
俺は名字の隣に腰かけた。
「あいつと仲良くなったのか?」
「あいつ?」
「真鍋・・・って言ってたか?」
「ああ、真鍋さん!」
名字はパン!と手を合わせた。
「あの方無個性らしくて!無個性話で盛り上がりました」
「そうか・・・名字の他にもいたんだな」
「ね!驚きです」
嬉しそうな顔をする名字とは逆に俺の心はザワつく。
「名字は付き合うなら無個性の奴の方がいいのか?」
少し言い方がキツくなったかもしれない。
名字は目を見開いた後、少し俯いた。
「私は気にしないですけど、お相手が気にするかもしれないので・・・。前回もそれでフラれてますし。無個性の人だったら傷つかなくて済むのかな・・・とは思ってます」
さっきちょうど真鍋さんと似たような話したんですよ、という名字に内心焦りを感じた。
想像以上に真鍋との距離が近くなっている。
俺には越えられない壁があるように感じた。
「んなもん人によるだろ。俺は無個性でも気にしない」
これではまるで告白だ。
名字の頬が染まっているが、それは酒のせいか俺のせいか。
後者であるように願った。
