【1章】希望を胸に
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雄英高校が襲撃された。
その事件は世間を震撼させ、私も新聞を見て震えた1人だった。
飲みかけのコーヒーをシンクへ流し、出勤すべく玄関の扉を開けた。
私の他にも通勤する人々で道は混雑していた。
皆朝ということもありテンションが低そうだ。
けれどそんな雑踏の中でも私は人一倍顔色が悪いと思う。
なぜなら・・・。
「今日からよろしくお願いします」
「ようこそ!雄英高校へ!」
先日襲撃されたという「雄英高校」で今日から働くのだから。
「大丈夫かい?顔色悪いみたいだけど」
目の前の可愛らしいネズミが校長先生ということに心底驚いた。
「あ、いえ!緊張してしまって・・・すみません」
「緊張なんてすることないサ!困ったことがあれば周りの人に聞けばいいよ」
「はい。よろしくお願いします」
私は再び頭を下げた。
「君には1-Aの担任の事務作業をしてもらおうと思っていたんだけど、今彼は入院中でね!」
「入院・・・?」
「ほら、先日の敵襲撃で」
「えっ・・・ご無事なんですか?」
「そうだ!明日から復帰するって本人言ってるんだけど、本当に大丈夫そうか見てきてくれる?挨拶がてら!」
そういって校長は病院の場所と本人の名前をメモしてくれた。
「分かりました。では・・・行ってきます」
私はそのメモに書かれた病院をスマホのマップで検索した。
「相澤消太・・・ヒーロー名イレイザーヘッド」
雄英高校はヒーローが教鞭を取っていると聞いている。
あいにくヒーローに詳しくない私は根津校長が書いてくれた名前に聞き覚えはなかった。
***********
「この部屋か・・・」
看護師さんに聞いた病室は個室だった。
苦い顔をした彼女が「あんな状態で退院なんて・・・」とボヤいていたのであまり良い状態ではないのだろうか。
一つ深呼吸し、気合いを入れてノックした。
中から「はい」と低い声が聞こえたので、そっと扉をスライドさせた。
「えっ!?」
私は目を見開いて、病室の名前を思わず再確認した。
しかしそこにはまぎれもなく「相澤消太」と書かれていた。
「誰だ」
彼は怪訝そうな顔で私を見ているので、ひとまず中へ入り扉を閉めた。
「あっ、今日から雄英高校で働かせて頂く名字名前です。根津校長からは相澤先生が抱えている事務処理と補佐を受け持つように言われています」
「ああ・・・」
先ほど"怪訝そうな顔"と表現したが厳密には彼がどのような表情をしているか分からない。
だって・・・ミイラのように包帯がぐるぐる巻かれているのだから。
「明日から復帰とお聞きして、様子を見てくるように校長から言われて来たのですが・・・どう見ても無理そうですよね?校長に連絡してお休み頂きましょうか?」
「いや、明日から復帰する。悠長に寝ている暇はないからな」
いやいや、絶対休んだほうがいいよ。
そう思ったが、今日入ったばかりの私が言うのは憚られたし、厳しそうな人だから怖くて言えない。
「私、雑用とか何でもするので溜まっているお仕事あれば言ってください!」
前のめりにそう告げると、相澤先生は眉を顰めた。(多分)
「俺は事務員が欲しいなんて言ってないんだがな」
彼の一言は私の心を深く抉った。
心拍数が一気に上昇するのが分かった。
ドクドクと音を立てる心臓を必死に抑え、私は頭を下げた。
「私・・・何でもします。やっと・・・やっと決まった就職先なんです。泣き言は言いません!何でも頑張ります!だから・・・せめて試用期間の2週間だけは校長先生に何も言わずに見てくれませんか?」
そう。
やっと決まった就職先なのだ。
こんな門前払いのような形で解雇されるなんてあんまりだ。
相澤先生は「あ~・・・」と少し気まずそうな反応を見せた。
「いや、今のは俺が悪かった。すまない。顔を上げてくれ」
私は上体を起こした。
「こちらこそすみません。怪我人に負担がかかるような発言を・・・」
「とりあえず、明日は予定通り復帰することを校長には伝えておいてくれ。仕事の振り方は考えておく」
「分かりました。あの・・・ありがとうございます」
即日解雇は避けられて本当に良かった。
「明日からよろしく」
「はい!よろしくお願いします!」
************
おまけ...
「あ、果物持ってきたので切りますね」
「食べられるようにみえるか?」
「根津校長に相澤先生がそう答えられたら、私が食べさせるように言われました。相澤先生は不摂生だからって・・・」
「・・・(校長)」
その事件は世間を震撼させ、私も新聞を見て震えた1人だった。
飲みかけのコーヒーをシンクへ流し、出勤すべく玄関の扉を開けた。
私の他にも通勤する人々で道は混雑していた。
皆朝ということもありテンションが低そうだ。
けれどそんな雑踏の中でも私は人一倍顔色が悪いと思う。
なぜなら・・・。
「今日からよろしくお願いします」
「ようこそ!雄英高校へ!」
先日襲撃されたという「雄英高校」で今日から働くのだから。
「大丈夫かい?顔色悪いみたいだけど」
目の前の可愛らしいネズミが校長先生ということに心底驚いた。
「あ、いえ!緊張してしまって・・・すみません」
「緊張なんてすることないサ!困ったことがあれば周りの人に聞けばいいよ」
「はい。よろしくお願いします」
私は再び頭を下げた。
「君には1-Aの担任の事務作業をしてもらおうと思っていたんだけど、今彼は入院中でね!」
「入院・・・?」
「ほら、先日の敵襲撃で」
「えっ・・・ご無事なんですか?」
「そうだ!明日から復帰するって本人言ってるんだけど、本当に大丈夫そうか見てきてくれる?挨拶がてら!」
そういって校長は病院の場所と本人の名前をメモしてくれた。
「分かりました。では・・・行ってきます」
私はそのメモに書かれた病院をスマホのマップで検索した。
「相澤消太・・・ヒーロー名イレイザーヘッド」
雄英高校はヒーローが教鞭を取っていると聞いている。
あいにくヒーローに詳しくない私は根津校長が書いてくれた名前に聞き覚えはなかった。
***********
「この部屋か・・・」
看護師さんに聞いた病室は個室だった。
苦い顔をした彼女が「あんな状態で退院なんて・・・」とボヤいていたのであまり良い状態ではないのだろうか。
一つ深呼吸し、気合いを入れてノックした。
中から「はい」と低い声が聞こえたので、そっと扉をスライドさせた。
「えっ!?」
私は目を見開いて、病室の名前を思わず再確認した。
しかしそこにはまぎれもなく「相澤消太」と書かれていた。
「誰だ」
彼は怪訝そうな顔で私を見ているので、ひとまず中へ入り扉を閉めた。
「あっ、今日から雄英高校で働かせて頂く名字名前です。根津校長からは相澤先生が抱えている事務処理と補佐を受け持つように言われています」
「ああ・・・」
先ほど"怪訝そうな顔"と表現したが厳密には彼がどのような表情をしているか分からない。
だって・・・ミイラのように包帯がぐるぐる巻かれているのだから。
「明日から復帰とお聞きして、様子を見てくるように校長から言われて来たのですが・・・どう見ても無理そうですよね?校長に連絡してお休み頂きましょうか?」
「いや、明日から復帰する。悠長に寝ている暇はないからな」
いやいや、絶対休んだほうがいいよ。
そう思ったが、今日入ったばかりの私が言うのは憚られたし、厳しそうな人だから怖くて言えない。
「私、雑用とか何でもするので溜まっているお仕事あれば言ってください!」
前のめりにそう告げると、相澤先生は眉を顰めた。(多分)
「俺は事務員が欲しいなんて言ってないんだがな」
彼の一言は私の心を深く抉った。
心拍数が一気に上昇するのが分かった。
ドクドクと音を立てる心臓を必死に抑え、私は頭を下げた。
「私・・・何でもします。やっと・・・やっと決まった就職先なんです。泣き言は言いません!何でも頑張ります!だから・・・せめて試用期間の2週間だけは校長先生に何も言わずに見てくれませんか?」
そう。
やっと決まった就職先なのだ。
こんな門前払いのような形で解雇されるなんてあんまりだ。
相澤先生は「あ~・・・」と少し気まずそうな反応を見せた。
「いや、今のは俺が悪かった。すまない。顔を上げてくれ」
私は上体を起こした。
「こちらこそすみません。怪我人に負担がかかるような発言を・・・」
「とりあえず、明日は予定通り復帰することを校長には伝えておいてくれ。仕事の振り方は考えておく」
「分かりました。あの・・・ありがとうございます」
即日解雇は避けられて本当に良かった。
「明日からよろしく」
「はい!よろしくお願いします!」
************
おまけ...
「あ、果物持ってきたので切りますね」
「食べられるようにみえるか?」
「根津校長に相澤先生がそう答えられたら、私が食べさせるように言われました。相澤先生は不摂生だからって・・・」
「・・・(校長)」
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