【二章】あの子の秘密
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残された七海さんは私に向き直った。
「……五条さんに言いづらいことがあれば私に言ってください」
「え?」
「あの人は人との距離がおかしいことがあるので」
特に貴女には。
そう言われるが、私は何も不快でないので首を横に振った。
「確かに五条さんの距離感、嫌な人は嫌だと思いますが、私は平気です」
「そうですか。……恋人ではないのですか?」
「ち、ち、違いますよ!」
私が慌てて否定すると、七海さんはしまったと表情を歪めた。
「すみません。こういった質問はハラスメントですね」
「大丈夫です、全然気にしてないので。ふ…ふふ」
「どうしましたか?」
いきなり笑い出した私に、七海さんは眉を寄せた。
「すみません。あまりにも七海さんと五条さんの性格が対極すぎて面白くなっちゃいました」
失礼だと思って口を元に戻そうとするが、なかなか戻ってくれない。
「ねー、俺もう入っていい?」
まさかもう一人人が居たと思わず、肩が跳ねてしまった。
七海さんの大きな身体の後ろから、ひょっこり顔を出したのは随分若い子だった。
「あ、生徒さん…?」
「虎杖悠仁っす」
遠目でちらりと制服姿の生徒さんは見えたことがあったが、面と向かって話すのは初めてだった。
「事務員の名字名前です。よろしくね」
「へー…。前からいたっけ?」
「ううん。数日前から」
「そうなんだ!よろしく」
「年上には敬語を使いなさい」
「いいです、いいです。先生じゃないですし」
人懐っこそうな笑顔が可愛らしかった。
「ナナミンが入ってくるなって言うから、五条先生とやらしーことしてんのかなって焦った」
「ええっ!?違うよ!」
面談してたことと、五条さんの目のことを話した。
「確かに先生の目、綺麗だもんね」
「だよね。吸い込まれそうだった」
ヒューって、と吸い込まれる動作をすると虎杖くんは笑った。
「名前さんって、なんか可愛いね」
「えっ!?」
「ここには居ないタイプ」
「あ、ありがとう?」
「虎杖くん、変なところ五条さんに似ないでください」
私なんて、❝平凡❞を着飾って歩いているような人間だけど、非凡な人達が大勢いる環境では、私こそが非凡に映るのか…。
「(非凡……平凡…)」
哲学的な考えが頭をぐるぐる回るので、あまり深く考えないように蓋をした。
「俺、名前さんとは仲良くなれそう!」
「君は誰とでもなるでしょう」
「わー、嬉しい!仲良くしてね」
差し出された手を握ると、虎杖くんはそれを軽く上下に振った。
「今度、伏黒と釘崎にも紹介させて」
「ありがとう。楽しみにしてるね」
一通り話が終わったところで、七海さんに顔を向けると、さっきはスルーしてしまった「ナナミン」という呼称が過った。
「ふふっ…。七海さんは生徒からナナミンって呼ばれてるんですね」
「そう呼ぶのは五条さんと虎杖くんだけです」
「七海さんはイメージ通りの方だと思ってましたが、ギャップもあるんですね」
「外部が勝手に呼んでるだけです」
「他にもギャップないんですか?」
「そう言われましても…」
意地悪なことを聞いてしまったと思って謝ろうとしたが、横から虎杖くんが手をマイクを持っているようにグーにして、七海さんの口元に持っていった。
「労働はー!?」
「クソです」
……え?
い、今、七海さんの口からお下品な言葉が出たような?
聞き間違うことなどありえない、たった二文字。
「七海さん……そんな言葉遣いされるんですね」
「ギャップじゃない?俺初めて聞いたとき驚いたもん」
「うん、ギャップ」
意外とノリがいいのかな…?
そう思うが、ゴーグルでよく見えない目はおそらく笑ってはいないだろう。
「ごめんなさい…」
「怒ってないです。元々笑う方ではないので」
よかった、怒ってなかった。
ゴーグルで感情が分かりづらい。
「もっと七海さんのこと知りたくなりました」
こんな真面目な顔して「クソ」なんて毒づくんだから、きっと他にも面白い顔があるのだろう。
「………それは追々」
「俺は!?」
「もちろん、虎杖くんのことももっと教えてね」
「あー、なんかやっぱ名前さんの雰囲気って癒される。ここだけ時間経過違う気がする」
「どこで過ごそうが五分は五分です」
「そういうこと言ってるんじゃないじゃん」
「わかってます。そして貴方はもうそろそろ勉強を始めては?私に聞きたいことあるんでしょう」
「あっ!そうだった。すっかり忘れてた!」
五条先生より七海さんに教わりたいらしい。
七海さん、教職じゃないのに…。
五条さんには秘密にしとこ。
「じゃあ、私はこれで」
「またね!」
ドアを閉めるとき、もう一度会釈すると、七海さんが薄く笑ったように見えた。
「……五条さんに言いづらいことがあれば私に言ってください」
「え?」
「あの人は人との距離がおかしいことがあるので」
特に貴女には。
そう言われるが、私は何も不快でないので首を横に振った。
「確かに五条さんの距離感、嫌な人は嫌だと思いますが、私は平気です」
「そうですか。……恋人ではないのですか?」
「ち、ち、違いますよ!」
私が慌てて否定すると、七海さんはしまったと表情を歪めた。
「すみません。こういった質問はハラスメントですね」
「大丈夫です、全然気にしてないので。ふ…ふふ」
「どうしましたか?」
いきなり笑い出した私に、七海さんは眉を寄せた。
「すみません。あまりにも七海さんと五条さんの性格が対極すぎて面白くなっちゃいました」
失礼だと思って口を元に戻そうとするが、なかなか戻ってくれない。
「ねー、俺もう入っていい?」
まさかもう一人人が居たと思わず、肩が跳ねてしまった。
七海さんの大きな身体の後ろから、ひょっこり顔を出したのは随分若い子だった。
「あ、生徒さん…?」
「虎杖悠仁っす」
遠目でちらりと制服姿の生徒さんは見えたことがあったが、面と向かって話すのは初めてだった。
「事務員の名字名前です。よろしくね」
「へー…。前からいたっけ?」
「ううん。数日前から」
「そうなんだ!よろしく」
「年上には敬語を使いなさい」
「いいです、いいです。先生じゃないですし」
人懐っこそうな笑顔が可愛らしかった。
「ナナミンが入ってくるなって言うから、五条先生とやらしーことしてんのかなって焦った」
「ええっ!?違うよ!」
面談してたことと、五条さんの目のことを話した。
「確かに先生の目、綺麗だもんね」
「だよね。吸い込まれそうだった」
ヒューって、と吸い込まれる動作をすると虎杖くんは笑った。
「名前さんって、なんか可愛いね」
「えっ!?」
「ここには居ないタイプ」
「あ、ありがとう?」
「虎杖くん、変なところ五条さんに似ないでください」
私なんて、❝平凡❞を着飾って歩いているような人間だけど、非凡な人達が大勢いる環境では、私こそが非凡に映るのか…。
「(非凡……平凡…)」
哲学的な考えが頭をぐるぐる回るので、あまり深く考えないように蓋をした。
「俺、名前さんとは仲良くなれそう!」
「君は誰とでもなるでしょう」
「わー、嬉しい!仲良くしてね」
差し出された手を握ると、虎杖くんはそれを軽く上下に振った。
「今度、伏黒と釘崎にも紹介させて」
「ありがとう。楽しみにしてるね」
一通り話が終わったところで、七海さんに顔を向けると、さっきはスルーしてしまった「ナナミン」という呼称が過った。
「ふふっ…。七海さんは生徒からナナミンって呼ばれてるんですね」
「そう呼ぶのは五条さんと虎杖くんだけです」
「七海さんはイメージ通りの方だと思ってましたが、ギャップもあるんですね」
「外部が勝手に呼んでるだけです」
「他にもギャップないんですか?」
「そう言われましても…」
意地悪なことを聞いてしまったと思って謝ろうとしたが、横から虎杖くんが手をマイクを持っているようにグーにして、七海さんの口元に持っていった。
「労働はー!?」
「クソです」
……え?
い、今、七海さんの口からお下品な言葉が出たような?
聞き間違うことなどありえない、たった二文字。
「七海さん……そんな言葉遣いされるんですね」
「ギャップじゃない?俺初めて聞いたとき驚いたもん」
「うん、ギャップ」
意外とノリがいいのかな…?
そう思うが、ゴーグルでよく見えない目はおそらく笑ってはいないだろう。
「ごめんなさい…」
「怒ってないです。元々笑う方ではないので」
よかった、怒ってなかった。
ゴーグルで感情が分かりづらい。
「もっと七海さんのこと知りたくなりました」
こんな真面目な顔して「クソ」なんて毒づくんだから、きっと他にも面白い顔があるのだろう。
「………それは追々」
「俺は!?」
「もちろん、虎杖くんのことももっと教えてね」
「あー、なんかやっぱ名前さんの雰囲気って癒される。ここだけ時間経過違う気がする」
「どこで過ごそうが五分は五分です」
「そういうこと言ってるんじゃないじゃん」
「わかってます。そして貴方はもうそろそろ勉強を始めては?私に聞きたいことあるんでしょう」
「あっ!そうだった。すっかり忘れてた!」
五条先生より七海さんに教わりたいらしい。
七海さん、教職じゃないのに…。
五条さんには秘密にしとこ。
「じゃあ、私はこれで」
「またね!」
ドアを閉めるとき、もう一度会釈すると、七海さんが薄く笑ったように見えた。
