【二章】あの子の秘密
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「やあ」
「こんにちは」
お昼休み、高専のベンチに座っていると夏油さんが目の前を通った。
「隣、いいかい?」
「どうぞ、どうぞ」
体躯が大きい夏油さんが座りやすいように端に寄った。
「そんなに端に寄ったら落ちてしまうよ」
「全然大丈夫です!」
「荷物だって汚れてしまうよ」
地べたに置いた鞄を夏油さんはベンチに上げるように言った。
鞄の底を手で払うと、少し中央に寄せた身体の横に置いた。
私の行動に満足した夏油さんはベンチに腰を下ろした。
やはり、身体の大きい夏油さんが座ると思いの外距離が詰まってしまい、少し動いたら腕が当たってしまいそうだった。
「名前ちゃんは悟とどうやって知り合ったんだい?」
五条さんが私のことを名前で呼んでいるからか、なぜか五条さんに近しい人達は私のことを名前で呼んでくれる。
夏油さんは家入さんのことも名前で呼んでいるし、ここはそういう環境なのかもしれない。
「いや、もうホント情けない話なんですけど…」
ざっくり、呪霊に襲われかけてるところを助けてもらったのだと説明した。
「………それだけ?」
「え?」
私が腰を抜かしたエピソード添えたほうが良かった?
これ以上話すことはないのだか、夏油さんは何を期待しているのだろうか。
「ええっと………以上です?」
「ふーん、そうか…」
「すみません…話下手で」
何とも言えない微妙な空気に耐えかねて、とりあえず謝ってみた。
すると夏油さんはハッとして口元に弧を描いた。
「とんでもない。むしろここ最近一番面白い出来事だよ」
「え?そんなに?」
五条さん経由で私が採用されたことを指しているとは気づかずに、呪霊に襲われた件が一番面白いと言われていると思ってしまった。
案外夏油さんって鬼畜タイプなのかな。
確かに笑顔ちょっと胡散臭……ごほん。
「夏油さんは五条さんと同じ特級クラスとお聞きしました。お強いんですね」
「いやいや、そんなことないよ。彼と違って最強の称号は得てないからね」
「最強?」
「悟はそう言われてる。まあ、自称から始まってるとこあるけど」
「へぇ……」
「なになにー?二人でお喋り?」
ベンチの後ろに立って縁に手を掛けているのは五条さんだった。
「やあ。君のお気に入りがどんな子なのか気になって。話ししたいなって思ってたんだ」
「え、私五条さんに気に入ってもらえてるんですか?嬉しいです」
「そうそう、僕のお気に入り」
いえーい、と手を私と夏油さんの間に出してきたので「いえーい」とタッチしてみた。
「夏油さんもどうぞ」
「遠慮しておくよ」
夏油さんが断ったことで五条さんはその綺麗な手を引っ込めた。
「傑余計なこと言ってなかった?」
「余計なこと…とは?私達の出会いをお話してました」
「あー!あの目を凝らさないと見えないような極小呪霊に腰抜かしたエピソード?」
「極小?」
夏油さんは切れ長の目をきょとりと丸くした。
きっと一級呪霊を想像していたんだろうな。
一級呪霊がどんなものか私は知らないけれど、五条さん曰く私が出会ってる呪霊はクソ雑魚らしい。
「名前ちゃんは特級や一級呪霊見たことないよ」
***********************
(夏油視点)
「そうなのかい?見てみる?」
「え?」
「私は呪霊操術が術式なんだ」
「呪霊そーじゅつ」
本当に何も知らないんだな。
悟から彼女らしさが無くなるから余計な知識を与えるな、と言われているがここに居たら勝手に知識もついていくだろう。
呪霊は怖いけど見てみたい、と表情が物語っていたので悟にチラリと目線を向けると彼も頷いた。
「ほら、この子なんてどうだい?この子は一級呪霊だよ」
「わあ!可愛い」
女の子が好きそうな見た目をしている狐の呪霊を出してやれば喜んでいる。
「こんなに可愛い呪霊もいるんですね」
ゴキブリとは違う…と呟いているが聞かなかったことにしよう。
「じゃあ次はこっちが特級」
ちょっとしたいたずら心だった。
見た目が❝アレ❞に似ている呪霊を出したら、名前ちゃんは丸くした。
お世辞にも可愛いと言えないビジュアルに、さらには主人の私より何倍も大きいフォルムの呪霊はなぜ呼び出されたのか不思議なようだ。
名前ちゃんの反応を伺うと、顔面蒼白で今にも泡を吹いて倒れてしまいそうだ。
「ちょっと傑。オイタが過ぎるよ〜」
「ごめん、ごめん」
パッとしまうと、名前ちゃんは震える唇で「見てせくださってありがとうございました」と述べた。
「そんなに怖いなら五条さんに飛びついてくれても良かったのに〜」
カモーンと両腕を広げる悟に対して名前ちゃんは首を横に振った。
「本当は…よしよししてあげたかったんですけど……ちょっと無理でした」
小心者の自分が憎い、と呟いた。
「虫とか呪霊苦手なんでしょ?」
分かってて出した私の意地の悪さを彼女は責めなかった。
「で、でも。そこらへんに居る野良呪霊とは違うので」
「野良……」
「夏油さんのパートナーなら、私も仲良くしたいと思って……。それに、さっきの子、虫に似てたけど頭良さそうだったからこっちの言ってること理解してそうだったし…」
確かに特級呪霊は知的に賢い者も居る。
「我慢してたんですけど…失礼な態度取っちゃいました」
あとで謝ってたと伝えてもらえますか?と言われ面を食らった。
確かに呪霊はパートナーではあるが、使役しているという感覚の方が強い。
しかし彼女はそうでないらしい。
仲間でありパートナー。
そして知り合いのパートナーとは仲良くしたいという考えなのか。
なるほど、これは呪術師の感覚ではあまり無いな。
しかし、名前ちゃんの人間味のある考え方は好感がもてた。
これは反省するのは私の方だな。
「こんにちは」
お昼休み、高専のベンチに座っていると夏油さんが目の前を通った。
「隣、いいかい?」
「どうぞ、どうぞ」
体躯が大きい夏油さんが座りやすいように端に寄った。
「そんなに端に寄ったら落ちてしまうよ」
「全然大丈夫です!」
「荷物だって汚れてしまうよ」
地べたに置いた鞄を夏油さんはベンチに上げるように言った。
鞄の底を手で払うと、少し中央に寄せた身体の横に置いた。
私の行動に満足した夏油さんはベンチに腰を下ろした。
やはり、身体の大きい夏油さんが座ると思いの外距離が詰まってしまい、少し動いたら腕が当たってしまいそうだった。
「名前ちゃんは悟とどうやって知り合ったんだい?」
五条さんが私のことを名前で呼んでいるからか、なぜか五条さんに近しい人達は私のことを名前で呼んでくれる。
夏油さんは家入さんのことも名前で呼んでいるし、ここはそういう環境なのかもしれない。
「いや、もうホント情けない話なんですけど…」
ざっくり、呪霊に襲われかけてるところを助けてもらったのだと説明した。
「………それだけ?」
「え?」
私が腰を抜かしたエピソード添えたほうが良かった?
これ以上話すことはないのだか、夏油さんは何を期待しているのだろうか。
「ええっと………以上です?」
「ふーん、そうか…」
「すみません…話下手で」
何とも言えない微妙な空気に耐えかねて、とりあえず謝ってみた。
すると夏油さんはハッとして口元に弧を描いた。
「とんでもない。むしろここ最近一番面白い出来事だよ」
「え?そんなに?」
五条さん経由で私が採用されたことを指しているとは気づかずに、呪霊に襲われた件が一番面白いと言われていると思ってしまった。
案外夏油さんって鬼畜タイプなのかな。
確かに笑顔ちょっと胡散臭……ごほん。
「夏油さんは五条さんと同じ特級クラスとお聞きしました。お強いんですね」
「いやいや、そんなことないよ。彼と違って最強の称号は得てないからね」
「最強?」
「悟はそう言われてる。まあ、自称から始まってるとこあるけど」
「へぇ……」
「なになにー?二人でお喋り?」
ベンチの後ろに立って縁に手を掛けているのは五条さんだった。
「やあ。君のお気に入りがどんな子なのか気になって。話ししたいなって思ってたんだ」
「え、私五条さんに気に入ってもらえてるんですか?嬉しいです」
「そうそう、僕のお気に入り」
いえーい、と手を私と夏油さんの間に出してきたので「いえーい」とタッチしてみた。
「夏油さんもどうぞ」
「遠慮しておくよ」
夏油さんが断ったことで五条さんはその綺麗な手を引っ込めた。
「傑余計なこと言ってなかった?」
「余計なこと…とは?私達の出会いをお話してました」
「あー!あの目を凝らさないと見えないような極小呪霊に腰抜かしたエピソード?」
「極小?」
夏油さんは切れ長の目をきょとりと丸くした。
きっと一級呪霊を想像していたんだろうな。
一級呪霊がどんなものか私は知らないけれど、五条さん曰く私が出会ってる呪霊はクソ雑魚らしい。
「名前ちゃんは特級や一級呪霊見たことないよ」
***********************
(夏油視点)
「そうなのかい?見てみる?」
「え?」
「私は呪霊操術が術式なんだ」
「呪霊そーじゅつ」
本当に何も知らないんだな。
悟から彼女らしさが無くなるから余計な知識を与えるな、と言われているがここに居たら勝手に知識もついていくだろう。
呪霊は怖いけど見てみたい、と表情が物語っていたので悟にチラリと目線を向けると彼も頷いた。
「ほら、この子なんてどうだい?この子は一級呪霊だよ」
「わあ!可愛い」
女の子が好きそうな見た目をしている狐の呪霊を出してやれば喜んでいる。
「こんなに可愛い呪霊もいるんですね」
ゴキブリとは違う…と呟いているが聞かなかったことにしよう。
「じゃあ次はこっちが特級」
ちょっとしたいたずら心だった。
見た目が❝アレ❞に似ている呪霊を出したら、名前ちゃんは丸くした。
お世辞にも可愛いと言えないビジュアルに、さらには主人の私より何倍も大きいフォルムの呪霊はなぜ呼び出されたのか不思議なようだ。
名前ちゃんの反応を伺うと、顔面蒼白で今にも泡を吹いて倒れてしまいそうだ。
「ちょっと傑。オイタが過ぎるよ〜」
「ごめん、ごめん」
パッとしまうと、名前ちゃんは震える唇で「見てせくださってありがとうございました」と述べた。
「そんなに怖いなら五条さんに飛びついてくれても良かったのに〜」
カモーンと両腕を広げる悟に対して名前ちゃんは首を横に振った。
「本当は…よしよししてあげたかったんですけど……ちょっと無理でした」
小心者の自分が憎い、と呟いた。
「虫とか呪霊苦手なんでしょ?」
分かってて出した私の意地の悪さを彼女は責めなかった。
「で、でも。そこらへんに居る野良呪霊とは違うので」
「野良……」
「夏油さんのパートナーなら、私も仲良くしたいと思って……。それに、さっきの子、虫に似てたけど頭良さそうだったからこっちの言ってること理解してそうだったし…」
確かに特級呪霊は知的に賢い者も居る。
「我慢してたんですけど…失礼な態度取っちゃいました」
あとで謝ってたと伝えてもらえますか?と言われ面を食らった。
確かに呪霊はパートナーではあるが、使役しているという感覚の方が強い。
しかし彼女はそうでないらしい。
仲間でありパートナー。
そして知り合いのパートナーとは仲良くしたいという考えなのか。
なるほど、これは呪術師の感覚ではあまり無いな。
しかし、名前ちゃんの人間味のある考え方は好感がもてた。
これは反省するのは私の方だな。
