【三章】想い、想われ
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五条さんを待つ間、虎杖くんと相談して現地解散することにした。
このまま虎杖くんと居るところを見られたらマズイ気がしたのだ。
(もう手遅れな気もするが…)
やっぱり学生と外出したことを怒られるのだろうか。
言い訳を考えていると、周囲の空気が少し変わった気がした。
常々、彼は芸能人のようなオーラをしていると思っていた。だが、高専の人達(特に私の周囲)が五条さんを雑に扱うので近頃忘れがちだった。
しかしこういう場所に来るとやはり彼のオーラは圧倒的だ。
「お待たせ」
声を掛けられる前から背後に彼が迫ってきているのを感じていた。
私は振り向いて「お疲れさまです」と返した。
「あの……ごめんなさい」
どう考えても虎杖くんを連れ回したことが原因だと思うので、先手を打って先に謝った。
「んー?なにが?」
口元は弧を描いていて、声色も全く怒ってなさそうだが…。
アイマスクの下、目が見えないのが怖い。
「いたいけな高校生をこんな時間まで連れ回してしまって…」
「あー、いいのいいの!伊地知から聞いてるから」
本当に怒ってない…?
「ここからは大人の時間…ね」
そっと手を取られて手の甲に彼の形のいい唇が落ちてきた。
「あっ!……嫌だった?」
緊張して固まっている私の機嫌を伺うように覗きこまれた。
アイマスクの隙間から見えた瞳は相変わらず綺麗な吸い込まれそうな蒼。
その目は怒りよりも不安が混じっているように見えた。
「ごめん」
手の甲を指の腹で拭われた。
「や、あの…。嫌だったわけじゃなくて、びっくりしたのと緊張しただけで…」
しどろもどろになりながら、弁解すると五条さんは確かめるように私の瞳をじっと見つめた。
「はぁー…またやらかしたと思った」
やらかしたってキスのとこ?
あれは私も合意してたから…。
と、思ったがさらにその前の、お尻を触られたことだと気がついた。
「お尻と手の甲は全然違います…」
「それはそうか」
時々男子高校生になっちゃってゴメンネ、なんて手を合わせてる五条さんがなんだか可愛く思えた。
顔がいいって本当得だな・・・。
「お尻触るって、高校生じゃなくて小学生ですよ」
思わず笑ってしまった私に五条さんは苦笑していた。
「壊れてしまった雰囲気を、これで補ってもらいますか」
五条さんがクイ、と顎を向けた先には完全に真っ暗な夜に輝く眼下の街並みだった。
「綺麗・・・」
虎杖くんと見たときも日は沈んでいたのだが、あの時は周囲にまだ家族連れや友人同士が多かった。
そんな彼らは混み始める前に夕食に移動したのだろう。
今はカップルの方が多かった。
その事実に気付いた途端、五条さんの顔を見るのが恥ずかしくなり、夜景に目を向け続けた。
どれぐらいそうしていただろうか。
ふと緊張の糸が途切れて、焦点を夜景から移したとき、窓ガラスに映る五条さんと目が合った。
アイマスクをしていない綺麗な瞳がガラスに映っている。
「アイマスク・・・いいんですか」
目が疲れるって言ってたはず。
「・・・だって勿体ないでしょ。せっかく名前ちゃんとデートしてるのに」
「デート・・・」
そうか、これはデートなのか。
この状況に至る過程まではとてもデートと呼べるものではないが、今だけを切り取ってみれば間違いなくデートだろう。
指先に五条さんの熱が触れた。
すぐに握らないのは私が逃げる時間をくれているのだろう。
私がじっとそこから手の位置を変えずにいると、さっと指を絡めて掬い取られた。
「綺麗だね」
「はい・・・」
私の目は夜景を映しているが、意識は繋がれた右手の熱さに注がれていた。
このまま虎杖くんと居るところを見られたらマズイ気がしたのだ。
(もう手遅れな気もするが…)
やっぱり学生と外出したことを怒られるのだろうか。
言い訳を考えていると、周囲の空気が少し変わった気がした。
常々、彼は芸能人のようなオーラをしていると思っていた。だが、高専の人達(特に私の周囲)が五条さんを雑に扱うので近頃忘れがちだった。
しかしこういう場所に来るとやはり彼のオーラは圧倒的だ。
「お待たせ」
声を掛けられる前から背後に彼が迫ってきているのを感じていた。
私は振り向いて「お疲れさまです」と返した。
「あの……ごめんなさい」
どう考えても虎杖くんを連れ回したことが原因だと思うので、先手を打って先に謝った。
「んー?なにが?」
口元は弧を描いていて、声色も全く怒ってなさそうだが…。
アイマスクの下、目が見えないのが怖い。
「いたいけな高校生をこんな時間まで連れ回してしまって…」
「あー、いいのいいの!伊地知から聞いてるから」
本当に怒ってない…?
「ここからは大人の時間…ね」
そっと手を取られて手の甲に彼の形のいい唇が落ちてきた。
「あっ!……嫌だった?」
緊張して固まっている私の機嫌を伺うように覗きこまれた。
アイマスクの隙間から見えた瞳は相変わらず綺麗な吸い込まれそうな蒼。
その目は怒りよりも不安が混じっているように見えた。
「ごめん」
手の甲を指の腹で拭われた。
「や、あの…。嫌だったわけじゃなくて、びっくりしたのと緊張しただけで…」
しどろもどろになりながら、弁解すると五条さんは確かめるように私の瞳をじっと見つめた。
「はぁー…またやらかしたと思った」
やらかしたってキスのとこ?
あれは私も合意してたから…。
と、思ったがさらにその前の、お尻を触られたことだと気がついた。
「お尻と手の甲は全然違います…」
「それはそうか」
時々男子高校生になっちゃってゴメンネ、なんて手を合わせてる五条さんがなんだか可愛く思えた。
顔がいいって本当得だな・・・。
「お尻触るって、高校生じゃなくて小学生ですよ」
思わず笑ってしまった私に五条さんは苦笑していた。
「壊れてしまった雰囲気を、これで補ってもらいますか」
五条さんがクイ、と顎を向けた先には完全に真っ暗な夜に輝く眼下の街並みだった。
「綺麗・・・」
虎杖くんと見たときも日は沈んでいたのだが、あの時は周囲にまだ家族連れや友人同士が多かった。
そんな彼らは混み始める前に夕食に移動したのだろう。
今はカップルの方が多かった。
その事実に気付いた途端、五条さんの顔を見るのが恥ずかしくなり、夜景に目を向け続けた。
どれぐらいそうしていただろうか。
ふと緊張の糸が途切れて、焦点を夜景から移したとき、窓ガラスに映る五条さんと目が合った。
アイマスクをしていない綺麗な瞳がガラスに映っている。
「アイマスク・・・いいんですか」
目が疲れるって言ってたはず。
「・・・だって勿体ないでしょ。せっかく名前ちゃんとデートしてるのに」
「デート・・・」
そうか、これはデートなのか。
この状況に至る過程まではとてもデートと呼べるものではないが、今だけを切り取ってみれば間違いなくデートだろう。
指先に五条さんの熱が触れた。
すぐに握らないのは私が逃げる時間をくれているのだろう。
私がじっとそこから手の位置を変えずにいると、さっと指を絡めて掬い取られた。
「綺麗だね」
「はい・・・」
私の目は夜景を映しているが、意識は繋がれた右手の熱さに注がれていた。
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