【三章】想い、想われ
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※唐突な「◯◯しないと出られない部屋」※
私と七海さんは見たこともない部屋に閉じ込められてしまった。
「どうしましょうか…」
「困りましたね」
相変わらず表情はほとんど変わらないが、わずかに眉を寄せた七海さん。
「呪具を持っていないのが痛手です」
いつも携帯している鉈のことだろう。
「目覚めた時にはすでにここでしたから…」
そう、起きたら二人ともここにいたのだ。
七海さんは壁に足を掛け、扉を思いっきり引っ張った。
「びくともしません」
私はコンコンと扉を叩いて「誰かいませんかー?」と問いかけてみたが、全く人の気配を感じない。
「不思議です。呪霊の仕業かと思いましたが、呪力を全く感じません」
ドンドンと力任せに壁や扉を破壊しようとする七海さんに、いつしか五条さんが言っていた「七海は脳筋」という言葉が浮かんだ。
強行突破作戦は七海さんに任せるとして、私は部屋に何か使えそうな物がないかを探した。
ビジネスホテルのような部屋で、ベッドとサイドテーブルしかない。
そのサイドテーブルの引き出しを開けると、中に紙が入っていた。
「えっ…」
思わず出た私の声は七海さんの扉を殴る音で掻き消された。
「あのっ」
今度は大きな声で呼びかけると、七海さんは手を止めて振り返った。
「何かありましたか?」
「これ…」
戸惑いながら持っていた紙を渡すと、七海さんは眉間の皺を一層深めた。
紙にはこう書いてあった。
❝キスしないと出られない部屋❞
「なんですか…これは」
「さ、さあ…」
七海さんは紙を折りたたんで胸ポケットに入れると、他に何か見つからないか部屋を漁った。
私も七海さんと同じように隈無く探すが、そんなに広くもないし、そもそも探す場所もこのサイドテーブルとベッド以外無い。
ベッドの下を覗いた七海さんが諦めて上体を起こした。
「はあ…」
私に対して吐いた溜息ではないと分かっていても、ぎくりと身体が強張った。
「夢…ではないんですよね」
頬をつねってみるが、普通に感覚はある。
というか、夢の中で❝頬をつねったけど、痛くないから夢だ!❞なんてなったことない。
そもそも夢だとつねっても痛くないって本当なのか?
「困りましたね」
七海さんは先程と同じセリフを吐いた。
「もうじき任務があるのですが…」
「大変じゃないですか!」
「ですが、そのおかげて私の異変に気づいてもらえるかもしれません」
確かに、七海さんが現れなければ皆がおかしいと気づいてくれる。
五条さんだったらスルーされそうだが。
「普段の行いですね!」
「任務に穴を開けてしまいますが」
それを聞いて、私の心は痛んだ。
私が居なくなっても高専は困らないが、七海さんが居なくなったら死活問題だ。
それに任務に穴を開ければ、その間に非術師に被害が及んでしまうかもしれない。
「してみますか…?」
「は?」
何を、と言わなくても聡い七海さんなら分かってているだろう。
「どこでもいいならおでことかほっぺとか…」
「まあ…確かに」
「じゃあどこがいいですか?」
「貴女がするんですか!?」
「言い出しっぺの責任を取ろうかと…」
私なんぞの身体にキスさせるなんて申し訳ない。
七海さんの綺麗なお身体に私の唇をつけるのも申し訳ないが。
「無理しなくていいんですよ」
「無理なんてしてないです。七海さんだから大丈夫です」
でもこの言い方だと、七海さんの方が嫌でも言い出しづらくなっちゃうか。
断ってもらってもいい、と上手く伝えるにはどうすれば…と考えていると、手を持ち上げられて手の甲にキスを落とされた。
「へ…?」
「されるより、する方が性に合ってます」
手の甲にキスをした七海さんが上目遣いで私を見上げた。
様になっているその姿に、ボボボッと私の頬に熱が集中した。
「ですが、開いた様子は無さそうですね」
七海さんの言葉で正気を取り戻し、私は照れた顔を隠すために、扉に近づき引っ張ったがやはり開かない。
「こ、今度は私が!!!」
「え?」
もしかしたら、別の部位なら開くかもしれない。
そして私だけ照れているのも恥ずかしかった。
勢いで七海さんの頬にキスをした。
「なっ…」
七海さんが動揺しているのを見て、内心ガッツポーズをした。
「あ、開きましたかね…?」
無音の扉は開いた気配が全くないが、確かめようと再び腰を上げた。
すると、その腰を引き寄せられ、おでこにキスを落とされた。
「やられっぱなしは性に合いません」
「え、でも七海さんの方が先に…」
私は返しただけなのに、と思ったが一つ言えることは七海さんにキスをするのも、されるのも嫌じゃないということだ。
七海さんはどう思っているんだろう、と考えたが彼は嫌なことを仕方なく受け入れるタイプではない。私がさらにお返しと耳にキスをするのを受け入れた。
雰囲気にあてられた私達は、交互にキスを落とした。
しかし、扉は開かなかった。
「(残っているのは…)」
私は七海さんの唇を見つめた。
七海さんはカチャリ、とゴーグルを外しサイドテーブルに置いた。
そして、私の唇に指を這わせた。
「私は……いいですよ」
やはり何が、とは言わなかった。
「五条さんとはお付き合いされていないんですよね?」
「はい」
七海さんのことが好きなのか、と聞かれたら分からない。
自分の気持ちが今はわからなかった。
こんな状況でなければ、七海さんとキスはしない。
けれど、こんな状況ならば七海さんとキスしても構わない。
それぐらいには彼に対して心を開いていた。
「七海さんが嫌でなければ…」
「ずるいですね」
こんな言い方、たとえ嫌だとしても言えないだろう。ましてや女の私に恥をかかせることを彼がするとは思えなかった。
覚悟を決めて目を閉じると、七海さんの両手が私の肩に添えられた。
数秒後、薄い唇が触れた瞬間、カチャリと扉が開く音が耳に届いた。
私と七海さんは見たこともない部屋に閉じ込められてしまった。
「どうしましょうか…」
「困りましたね」
相変わらず表情はほとんど変わらないが、わずかに眉を寄せた七海さん。
「呪具を持っていないのが痛手です」
いつも携帯している鉈のことだろう。
「目覚めた時にはすでにここでしたから…」
そう、起きたら二人ともここにいたのだ。
七海さんは壁に足を掛け、扉を思いっきり引っ張った。
「びくともしません」
私はコンコンと扉を叩いて「誰かいませんかー?」と問いかけてみたが、全く人の気配を感じない。
「不思議です。呪霊の仕業かと思いましたが、呪力を全く感じません」
ドンドンと力任せに壁や扉を破壊しようとする七海さんに、いつしか五条さんが言っていた「七海は脳筋」という言葉が浮かんだ。
強行突破作戦は七海さんに任せるとして、私は部屋に何か使えそうな物がないかを探した。
ビジネスホテルのような部屋で、ベッドとサイドテーブルしかない。
そのサイドテーブルの引き出しを開けると、中に紙が入っていた。
「えっ…」
思わず出た私の声は七海さんの扉を殴る音で掻き消された。
「あのっ」
今度は大きな声で呼びかけると、七海さんは手を止めて振り返った。
「何かありましたか?」
「これ…」
戸惑いながら持っていた紙を渡すと、七海さんは眉間の皺を一層深めた。
紙にはこう書いてあった。
❝キスしないと出られない部屋❞
「なんですか…これは」
「さ、さあ…」
七海さんは紙を折りたたんで胸ポケットに入れると、他に何か見つからないか部屋を漁った。
私も七海さんと同じように隈無く探すが、そんなに広くもないし、そもそも探す場所もこのサイドテーブルとベッド以外無い。
ベッドの下を覗いた七海さんが諦めて上体を起こした。
「はあ…」
私に対して吐いた溜息ではないと分かっていても、ぎくりと身体が強張った。
「夢…ではないんですよね」
頬をつねってみるが、普通に感覚はある。
というか、夢の中で❝頬をつねったけど、痛くないから夢だ!❞なんてなったことない。
そもそも夢だとつねっても痛くないって本当なのか?
「困りましたね」
七海さんは先程と同じセリフを吐いた。
「もうじき任務があるのですが…」
「大変じゃないですか!」
「ですが、そのおかげて私の異変に気づいてもらえるかもしれません」
確かに、七海さんが現れなければ皆がおかしいと気づいてくれる。
五条さんだったらスルーされそうだが。
「普段の行いですね!」
「任務に穴を開けてしまいますが」
それを聞いて、私の心は痛んだ。
私が居なくなっても高専は困らないが、七海さんが居なくなったら死活問題だ。
それに任務に穴を開ければ、その間に非術師に被害が及んでしまうかもしれない。
「してみますか…?」
「は?」
何を、と言わなくても聡い七海さんなら分かってているだろう。
「どこでもいいならおでことかほっぺとか…」
「まあ…確かに」
「じゃあどこがいいですか?」
「貴女がするんですか!?」
「言い出しっぺの責任を取ろうかと…」
私なんぞの身体にキスさせるなんて申し訳ない。
七海さんの綺麗なお身体に私の唇をつけるのも申し訳ないが。
「無理しなくていいんですよ」
「無理なんてしてないです。七海さんだから大丈夫です」
でもこの言い方だと、七海さんの方が嫌でも言い出しづらくなっちゃうか。
断ってもらってもいい、と上手く伝えるにはどうすれば…と考えていると、手を持ち上げられて手の甲にキスを落とされた。
「へ…?」
「されるより、する方が性に合ってます」
手の甲にキスをした七海さんが上目遣いで私を見上げた。
様になっているその姿に、ボボボッと私の頬に熱が集中した。
「ですが、開いた様子は無さそうですね」
七海さんの言葉で正気を取り戻し、私は照れた顔を隠すために、扉に近づき引っ張ったがやはり開かない。
「こ、今度は私が!!!」
「え?」
もしかしたら、別の部位なら開くかもしれない。
そして私だけ照れているのも恥ずかしかった。
勢いで七海さんの頬にキスをした。
「なっ…」
七海さんが動揺しているのを見て、内心ガッツポーズをした。
「あ、開きましたかね…?」
無音の扉は開いた気配が全くないが、確かめようと再び腰を上げた。
すると、その腰を引き寄せられ、おでこにキスを落とされた。
「やられっぱなしは性に合いません」
「え、でも七海さんの方が先に…」
私は返しただけなのに、と思ったが一つ言えることは七海さんにキスをするのも、されるのも嫌じゃないということだ。
七海さんはどう思っているんだろう、と考えたが彼は嫌なことを仕方なく受け入れるタイプではない。私がさらにお返しと耳にキスをするのを受け入れた。
雰囲気にあてられた私達は、交互にキスを落とした。
しかし、扉は開かなかった。
「(残っているのは…)」
私は七海さんの唇を見つめた。
七海さんはカチャリ、とゴーグルを外しサイドテーブルに置いた。
そして、私の唇に指を這わせた。
「私は……いいですよ」
やはり何が、とは言わなかった。
「五条さんとはお付き合いされていないんですよね?」
「はい」
七海さんのことが好きなのか、と聞かれたら分からない。
自分の気持ちが今はわからなかった。
こんな状況でなければ、七海さんとキスはしない。
けれど、こんな状況ならば七海さんとキスしても構わない。
それぐらいには彼に対して心を開いていた。
「七海さんが嫌でなければ…」
「ずるいですね」
こんな言い方、たとえ嫌だとしても言えないだろう。ましてや女の私に恥をかかせることを彼がするとは思えなかった。
覚悟を決めて目を閉じると、七海さんの両手が私の肩に添えられた。
数秒後、薄い唇が触れた瞬間、カチャリと扉が開く音が耳に届いた。
