【二章】あの子の秘密
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七海さんに社会見学を頼んだ私は、思わぬ事実を知ってしまった。
よりにもよって、私が呪霊を生み出してしまっていたなんて。
見えるけど、自分から湧き出て居るなんて思いもよらなかった。
だが、心当たりは十二分にあった。
どっから湧き出た!?ってことが多々あったから。そして私が生み出すぐらいだから、呪霊はクソ雑魚というのも納得できた。
「はあ……」
私はお借りしている寮の自室でため息を吐いた。
「出て行った方がいいよね…」
完全お荷物じゃん、私。
五条さんのお情けで口利きしてもらって、置いてもらえてるんだから。
しかし、勝手に出ていったらきっと五条さんが気にかけて探してくれるだろうし、事前に話し合っても引き止められるのは目に見えていた。
だから結局のところ…。
「もっと仕事で役に立たないと…」
ここに置いてもらえる価値を自分で作り出すしかない。
そして結局のところ、綺麗事は置いといて本音を言うと、やっぱり出ていくの怖いし。
ギュッと枕を腕の中に抱えた。
センチメンタルな胸中を破るかのように、コンコンとドアをノックする音が聞こえた。
「はい…?」
私の部屋を訪ねてくる人なんてほぼ居ない。
かといって、高専内だから訪ね人は不審者なわけもないため、不思議には思ったが躊躇わずにドアを開けた。
「やっほー。うんうん、荷造りしてなくてよかった」
立っていたのは五条さんで、不躾に部屋の中へ目線をやると満足そうに頷いた。
「出て行くべきだと思ってはいますが、怖くてできないです…」
「それでいいの!出て行っても連れ戻されるだけだから。僕の仕事増やさないで?」
「ほんと、すみません…」
五条さんは私が招き入れる前に、ズカズカ部屋に入ってローテーブルの前に腰を下ろした。
「あー、もう。こうなるから隠しておきたかったんだよね」
五条さんはそういうが、遅かれ早かれ誰かが気づいて指摘されていたと思う。
「バレるにしても、遅いに越したことないと思ってたんだけど、予想より早かった。僕の仕事が多すぎて傍にいられなかったから」
「そうですか…?結構五条さんと絡んでる気がするんですけど」
出張以外はほぼ毎日何回も顔を合わせている気がする。
「僕としてはもっと一緒に居る予定だったの!」
「ふふ、ありがとうございます」
五条さんの優しさに、ぽわっと胸の奥が温かくなる。
「でも真面目な窓っ子ちゃんは駄目だって言ってんのに呪術の勉強始めちゃうしさ」
「窓っ子って私のことですか…?」
勉強してるの気づかれてた。
やっぱり五条さんに隠し事は無理だなぁ。
「呪霊退治の見学したいって言い出したときから嫌な予感してたんだよね。帰ってきたら七海と名前ちゃん両方いないから気になって探してみたら…」
「ごめんなさい」
五条さんは尖らせていた唇を引っ込めた。
「こんなことなら僕が連れて行ってあげたらよかった」
「え、でも……」
「僕のスマートな呪霊退治見たら惚れるかもよ」
「ふふ。七海さんもスマートでしたよ」
「えー、あいつゴリゴリ武闘派じゃん」
確かに大きな鉈を操っている七海さんは、普段の所作からは考えられない豪胆さがある。
でも、鉈を扱っている割にはやはり本人の品格なのかスマートに見えた。
それを言うとまた拗ねてしまいそうなので、言わなかった。
「じゃあ、今度見せてください」
「任せて!んで、その後デートしよ」
「デート?」
「任務後は甘いもの食べるって決めてるから、付き合ってよ」
私が高専内に籠もりきりだから気を使ってくれてるのかな?
「はい!甘いもの、楽しみです」
「甘いものって何好き?」
「何でも好きですよ。パフェ、クレープ、アイス、パンケーキ…」
「分かる!これから何回もデートして、全部食べよ。お店考えてく」
このときは、私の息抜きのために時間を使ってくれることに後ろめたさを感じないように、❝デート❞という単語を使ってくれているのだと思っていた。
まさか、本気でデートに誘ってくれていたと知るのはもう少し後のことだった。
よりにもよって、私が呪霊を生み出してしまっていたなんて。
見えるけど、自分から湧き出て居るなんて思いもよらなかった。
だが、心当たりは十二分にあった。
どっから湧き出た!?ってことが多々あったから。そして私が生み出すぐらいだから、呪霊はクソ雑魚というのも納得できた。
「はあ……」
私はお借りしている寮の自室でため息を吐いた。
「出て行った方がいいよね…」
完全お荷物じゃん、私。
五条さんのお情けで口利きしてもらって、置いてもらえてるんだから。
しかし、勝手に出ていったらきっと五条さんが気にかけて探してくれるだろうし、事前に話し合っても引き止められるのは目に見えていた。
だから結局のところ…。
「もっと仕事で役に立たないと…」
ここに置いてもらえる価値を自分で作り出すしかない。
そして結局のところ、綺麗事は置いといて本音を言うと、やっぱり出ていくの怖いし。
ギュッと枕を腕の中に抱えた。
センチメンタルな胸中を破るかのように、コンコンとドアをノックする音が聞こえた。
「はい…?」
私の部屋を訪ねてくる人なんてほぼ居ない。
かといって、高専内だから訪ね人は不審者なわけもないため、不思議には思ったが躊躇わずにドアを開けた。
「やっほー。うんうん、荷造りしてなくてよかった」
立っていたのは五条さんで、不躾に部屋の中へ目線をやると満足そうに頷いた。
「出て行くべきだと思ってはいますが、怖くてできないです…」
「それでいいの!出て行っても連れ戻されるだけだから。僕の仕事増やさないで?」
「ほんと、すみません…」
五条さんは私が招き入れる前に、ズカズカ部屋に入ってローテーブルの前に腰を下ろした。
「あー、もう。こうなるから隠しておきたかったんだよね」
五条さんはそういうが、遅かれ早かれ誰かが気づいて指摘されていたと思う。
「バレるにしても、遅いに越したことないと思ってたんだけど、予想より早かった。僕の仕事が多すぎて傍にいられなかったから」
「そうですか…?結構五条さんと絡んでる気がするんですけど」
出張以外はほぼ毎日何回も顔を合わせている気がする。
「僕としてはもっと一緒に居る予定だったの!」
「ふふ、ありがとうございます」
五条さんの優しさに、ぽわっと胸の奥が温かくなる。
「でも真面目な窓っ子ちゃんは駄目だって言ってんのに呪術の勉強始めちゃうしさ」
「窓っ子って私のことですか…?」
勉強してるの気づかれてた。
やっぱり五条さんに隠し事は無理だなぁ。
「呪霊退治の見学したいって言い出したときから嫌な予感してたんだよね。帰ってきたら七海と名前ちゃん両方いないから気になって探してみたら…」
「ごめんなさい」
五条さんは尖らせていた唇を引っ込めた。
「こんなことなら僕が連れて行ってあげたらよかった」
「え、でも……」
「僕のスマートな呪霊退治見たら惚れるかもよ」
「ふふ。七海さんもスマートでしたよ」
「えー、あいつゴリゴリ武闘派じゃん」
確かに大きな鉈を操っている七海さんは、普段の所作からは考えられない豪胆さがある。
でも、鉈を扱っている割にはやはり本人の品格なのかスマートに見えた。
それを言うとまた拗ねてしまいそうなので、言わなかった。
「じゃあ、今度見せてください」
「任せて!んで、その後デートしよ」
「デート?」
「任務後は甘いもの食べるって決めてるから、付き合ってよ」
私が高専内に籠もりきりだから気を使ってくれてるのかな?
「はい!甘いもの、楽しみです」
「甘いものって何好き?」
「何でも好きですよ。パフェ、クレープ、アイス、パンケーキ…」
「分かる!これから何回もデートして、全部食べよ。お店考えてく」
このときは、私の息抜きのために時間を使ってくれることに後ろめたさを感じないように、❝デート❞という単語を使ってくれているのだと思っていた。
まさか、本気でデートに誘ってくれていたと知るのはもう少し後のことだった。
