【二章】あの子の秘密
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(五条視点)
あっ。
給湯室から名前ちゃんが出ていったときに己の中から出てきた言葉は言葉ですらなかった。
「今そこで名前ちゃんとすれ違ったんだけど…何かあったのかい?」
そう聞いてきたのは、自分と同じ特級のあいつだった。
すれ違っただけでそんな質問されるなんて。
「ハァ〜〜〜ッ」
大きなため息を吐いてしゃがみ込んだ。
「ここは皆の給湯室なんだ。邪魔になる」
クイッと顎を外に向けて出るように促された。
目隠しをしていてよかったと初めて思った。
きっと今の自分は情けない表情をしているだろう。
「随分情けない顔をしているね」
……前言撤回。
フルフェイスカバー買おうかな。
場所を中庭に移した。
自分が犯した失態をこいつに知られるのは癪だが、他に言う奴もいない。
「ふーん…。それは謝った方がいいね」
「小学生でもできるアドバイスどうも。ってか何で呪霊出してんの?」
傑と二人になると、昔の己が顔を出す瞬間がある。無意識の内に話し方が昔に戻っていた。
「これかい?散歩だよ」
「は?呪霊の?」
「呪霊をパートナーとして考える彼女に倣ってみたんだ。面白いことにね、散歩が好きな呪霊もいたんだ」
「へー。で、仲良くなればパワーアップすんの?ゲームじゃん」
「見返りを求めたらダメだよ。それはパートナーじゃない」
傑の足元にいる狐の呪霊は身体を包めている。
「私は呪霊との付き合いが長いが、そんな考え方彼女に会うまでしたことなかった」
調伏して使役する。
呪術師としての考え方はこっちの方が正しい。
だが、非術師家系出身の傑は名前ちゃんの考え方を自分の中に落とし込むことができたらしい。
「見返りを求めているわけじゃないが、結果としてパワーアップする呪霊もいる」
「無意識に求めるだろ」
呪術師やってて(やってなかったとしても傑は)見返り求めないとかありえない。
「無意識レベルはどうしようもない。意識レベルでは求めてない」
つーか、今はそんな話どうでもいい。
「まあ、それはさておき。そもそも何で触ったの」
「………癖?」
「そんな性癖君にあったなんて知らなかったな」
随分付き合いは長いはずなんだが。
傑はそう言って鼻で笑った。
「今まで関係もった女達と同じノリがつい出た」
「私の記憶ではその女達と彼女はあまりタイプが似てなかったと思うけど」
「まあ、ぶっちゃけ俺に触られて嫌がる女居なかった…みたいな?」
「中身、高校生のまま成長しなかったんだね」
憐れむような目で見るな。
正直、心の何処かで慢心があった。
自分に靡かない女は居ないって。
多少の強引さも、外見がカバーしてくれていた。
外見以外に持っている「御三家出身」「特級呪術師」というステータスは彼女の前には意味をなさない。
誰しもが己に媚を売ってくる中で、自分を知らない人がいるというのは新鮮だった。
自分が特級呪術師だと知った時もにこにこと「すごいんですねぇ」とイマイチ凄さが分かってない感じだった。
分かっていたのに。
名前ちゃんが今までの女とは違うって。
だからこそ惹かれている自分がいる。
そして心の何処かで自分が好きになった子は必ず自分を好きになるという驕りがあった。
「ゴキブリ(呪霊)退治するだけで好きになるわけないだろ」
「そういうこという?」
こんなに格好いい男が守ってくれたら惚れない?
「仮に惚れていたとしても、同意なく身体を触られたら百年の恋も冷めるんじゃないか?」
結局のところやることは一つなのだ。
「謝ってくる」
「骨拾いに行こうか?」
「振られにいくわけじゃない」
まるで高校生に戻ったような感覚。
悩みなんてここ数年持ったことがなかった。
なんせ最強なもんで、悩みに発展する前に解決できてしまう。
女で悩んだこともなかったのに。
しかし、悩めるほど感情を動かされる人に出会えたことは幸せなのかもしれない。
僕は彼女に謝るために傑に背を向け歩き出した。
あっ。
給湯室から名前ちゃんが出ていったときに己の中から出てきた言葉は言葉ですらなかった。
「今そこで名前ちゃんとすれ違ったんだけど…何かあったのかい?」
そう聞いてきたのは、自分と同じ特級のあいつだった。
すれ違っただけでそんな質問されるなんて。
「ハァ〜〜〜ッ」
大きなため息を吐いてしゃがみ込んだ。
「ここは皆の給湯室なんだ。邪魔になる」
クイッと顎を外に向けて出るように促された。
目隠しをしていてよかったと初めて思った。
きっと今の自分は情けない表情をしているだろう。
「随分情けない顔をしているね」
……前言撤回。
フルフェイスカバー買おうかな。
場所を中庭に移した。
自分が犯した失態をこいつに知られるのは癪だが、他に言う奴もいない。
「ふーん…。それは謝った方がいいね」
「小学生でもできるアドバイスどうも。ってか何で呪霊出してんの?」
傑と二人になると、昔の己が顔を出す瞬間がある。無意識の内に話し方が昔に戻っていた。
「これかい?散歩だよ」
「は?呪霊の?」
「呪霊をパートナーとして考える彼女に倣ってみたんだ。面白いことにね、散歩が好きな呪霊もいたんだ」
「へー。で、仲良くなればパワーアップすんの?ゲームじゃん」
「見返りを求めたらダメだよ。それはパートナーじゃない」
傑の足元にいる狐の呪霊は身体を包めている。
「私は呪霊との付き合いが長いが、そんな考え方彼女に会うまでしたことなかった」
調伏して使役する。
呪術師としての考え方はこっちの方が正しい。
だが、非術師家系出身の傑は名前ちゃんの考え方を自分の中に落とし込むことができたらしい。
「見返りを求めているわけじゃないが、結果としてパワーアップする呪霊もいる」
「無意識に求めるだろ」
呪術師やってて(やってなかったとしても傑は)見返り求めないとかありえない。
「無意識レベルはどうしようもない。意識レベルでは求めてない」
つーか、今はそんな話どうでもいい。
「まあ、それはさておき。そもそも何で触ったの」
「………癖?」
「そんな性癖君にあったなんて知らなかったな」
随分付き合いは長いはずなんだが。
傑はそう言って鼻で笑った。
「今まで関係もった女達と同じノリがつい出た」
「私の記憶ではその女達と彼女はあまりタイプが似てなかったと思うけど」
「まあ、ぶっちゃけ俺に触られて嫌がる女居なかった…みたいな?」
「中身、高校生のまま成長しなかったんだね」
憐れむような目で見るな。
正直、心の何処かで慢心があった。
自分に靡かない女は居ないって。
多少の強引さも、外見がカバーしてくれていた。
外見以外に持っている「御三家出身」「特級呪術師」というステータスは彼女の前には意味をなさない。
誰しもが己に媚を売ってくる中で、自分を知らない人がいるというのは新鮮だった。
自分が特級呪術師だと知った時もにこにこと「すごいんですねぇ」とイマイチ凄さが分かってない感じだった。
分かっていたのに。
名前ちゃんが今までの女とは違うって。
だからこそ惹かれている自分がいる。
そして心の何処かで自分が好きになった子は必ず自分を好きになるという驕りがあった。
「ゴキブリ(呪霊)退治するだけで好きになるわけないだろ」
「そういうこという?」
こんなに格好いい男が守ってくれたら惚れない?
「仮に惚れていたとしても、同意なく身体を触られたら百年の恋も冷めるんじゃないか?」
結局のところやることは一つなのだ。
「謝ってくる」
「骨拾いに行こうか?」
「振られにいくわけじゃない」
まるで高校生に戻ったような感覚。
悩みなんてここ数年持ったことがなかった。
なんせ最強なもんで、悩みに発展する前に解決できてしまう。
女で悩んだこともなかったのに。
しかし、悩めるほど感情を動かされる人に出会えたことは幸せなのかもしれない。
僕は彼女に謝るために傑に背を向け歩き出した。
