今も未来も/土井
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「やったぁ!晴れた!」
約束した当日は晴天で。
まるで太陽が私達を応援してくれているみたいだ。
「今日は……町でデートして、お団子買って、野原でのんびり過ごしながら食べる」
誰でも思いつきそうな、至って普通なデートプランだが、結局普通が一番だ。
お洒落のレパートリーもたいして無いが、いつもは適当に化粧している私も、鏡とにらめっこして一番可愛く見えるメイクを施した。
気持ちが逸りすぎて、正門で待ち合わせしているのに早めに着いてしまった。
「晴れてよかったね。名前ちゃん、楽しんできてね!」
「ありがとう、行ってきます!」
楽しみすぎて、小松田さんには色々話を聞いてもらった。
あれはどうかな、最近の流行り知ってる?等々…。
人のデート事情なんてどうでもいいだろうに、小松田さんは本気で一緒に考えてくれて、同じテンションで盛り上がってくれた。
小腹が空いた時用におにぎりも握った。
できれば町ではお団子以外も食べたいから、お弁当はやめにした。
恋仲とのデートなんて、いつぶりだろう。
すっかり室町時代に慣れた自分だが、不思議と違和感はなかった。
今はもう室町時代の人間だという自信が持てるほど、一般的な生活をこなせるようになっていた。
「お待たせ」
土井先生の声が聞こえて、パッと顔を向けると平服を身に纏った彼が小走りでやってきた。
「全然待ってないです」
きっとお休みなのに、ギリギリまで仕事をしていたんだろう。
彼の頬についている煤 を指で払った。
「お疲れ様です」
指についた煤を叩いて地面に落とすと、土井先生は恥ずかしそうに笑った。
「さ、行こうか」
自然に私の手を取り歩き出す土井先生。
何の躊躇いもなく繋がれた手が、私達の関係性を表していた。
「ヘームヘムヘム!!!」
「「ヘムヘム?!」」
四足歩行で一生懸命こちらに走ってくるヘムヘムが見えて、私達は足を止めた。
「ヘム!ヘムヘムー!!」
「ええ!?」
私もヘムヘムの言っていることはだいぶ分かるようになってきたが、それはヘムヘムが私に合わせて分かりやすくジェスチャーしてくれるからで、今みたいにヘムヘム語の理解度が高い土井先生相手だと、ジェスチャーが少なくて良くわからない。
だが、ヘムヘムの焦り具合から嫌な予感がした。
困ったように眉を下げて「誰か代わりの先生にお願いできないか」とヘムヘムに言っている時点で、何となく状況を察した。
「ヘムヘム〜……」
「そこを何とか」
「ヘムゥ…」
「ヘムヘムにも何か買ってくるから…!」
ヘムヘムと交渉している土井先生だが、ヘムヘムの顔がそういう問題じゃない、と言っていた。
「あの……ヘムヘムはなんて…?」
「ドクタケの動きが怪しいから、探ってくるように学園長が言ってるらしいんだ」
いつもの突然の思いつきじゃないのか。
動きが怪しいって、もしかしたら戦の準備してるとか…?
「ヘム、ヘムヘム…」
「いや、でも…。私もこれから大事な用があるんだ」
土井先生は分かりやすく溜息を吐いた。
これは…。
「あの…。行ってきてください」
「名前さん…」
「お出かけはいつでもできますから」
世の中、しょうがないことは多々ある。
それは現代でも同じだ。
社会人あるある。
「本当に…いいのかい?」
「はい…」
本当はすごく楽しみにしてたけど。
何も悪くないヘムヘムは困ってるし、代替案も無い現状、私が我慢するのが一番丸く収まる。
ヘムヘムと一緒に学園長の庵に向かった土井先生の背中を、私はしばらく見つめていた。
約束した当日は晴天で。
まるで太陽が私達を応援してくれているみたいだ。
「今日は……町でデートして、お団子買って、野原でのんびり過ごしながら食べる」
誰でも思いつきそうな、至って普通なデートプランだが、結局普通が一番だ。
お洒落のレパートリーもたいして無いが、いつもは適当に化粧している私も、鏡とにらめっこして一番可愛く見えるメイクを施した。
気持ちが逸りすぎて、正門で待ち合わせしているのに早めに着いてしまった。
「晴れてよかったね。名前ちゃん、楽しんできてね!」
「ありがとう、行ってきます!」
楽しみすぎて、小松田さんには色々話を聞いてもらった。
あれはどうかな、最近の流行り知ってる?等々…。
人のデート事情なんてどうでもいいだろうに、小松田さんは本気で一緒に考えてくれて、同じテンションで盛り上がってくれた。
小腹が空いた時用におにぎりも握った。
できれば町ではお団子以外も食べたいから、お弁当はやめにした。
恋仲とのデートなんて、いつぶりだろう。
すっかり室町時代に慣れた自分だが、不思議と違和感はなかった。
今はもう室町時代の人間だという自信が持てるほど、一般的な生活をこなせるようになっていた。
「お待たせ」
土井先生の声が聞こえて、パッと顔を向けると平服を身に纏った彼が小走りでやってきた。
「全然待ってないです」
きっとお休みなのに、ギリギリまで仕事をしていたんだろう。
彼の頬についている
「お疲れ様です」
指についた煤を叩いて地面に落とすと、土井先生は恥ずかしそうに笑った。
「さ、行こうか」
自然に私の手を取り歩き出す土井先生。
何の躊躇いもなく繋がれた手が、私達の関係性を表していた。
「ヘームヘムヘム!!!」
「「ヘムヘム?!」」
四足歩行で一生懸命こちらに走ってくるヘムヘムが見えて、私達は足を止めた。
「ヘム!ヘムヘムー!!」
「ええ!?」
私もヘムヘムの言っていることはだいぶ分かるようになってきたが、それはヘムヘムが私に合わせて分かりやすくジェスチャーしてくれるからで、今みたいにヘムヘム語の理解度が高い土井先生相手だと、ジェスチャーが少なくて良くわからない。
だが、ヘムヘムの焦り具合から嫌な予感がした。
困ったように眉を下げて「誰か代わりの先生にお願いできないか」とヘムヘムに言っている時点で、何となく状況を察した。
「ヘムヘム〜……」
「そこを何とか」
「ヘムゥ…」
「ヘムヘムにも何か買ってくるから…!」
ヘムヘムと交渉している土井先生だが、ヘムヘムの顔がそういう問題じゃない、と言っていた。
「あの……ヘムヘムはなんて…?」
「ドクタケの動きが怪しいから、探ってくるように学園長が言ってるらしいんだ」
いつもの突然の思いつきじゃないのか。
動きが怪しいって、もしかしたら戦の準備してるとか…?
「ヘム、ヘムヘム…」
「いや、でも…。私もこれから大事な用があるんだ」
土井先生は分かりやすく溜息を吐いた。
これは…。
「あの…。行ってきてください」
「名前さん…」
「お出かけはいつでもできますから」
世の中、しょうがないことは多々ある。
それは現代でも同じだ。
社会人あるある。
「本当に…いいのかい?」
「はい…」
本当はすごく楽しみにしてたけど。
何も悪くないヘムヘムは困ってるし、代替案も無い現状、私が我慢するのが一番丸く収まる。
ヘムヘムと一緒に学園長の庵に向かった土井先生の背中を、私はしばらく見つめていた。
