狼さんと一緒/荒北
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「荒北と本当に付き合ってないんだよね?」
あれ、なんかデジャブ。
私は体育の授業が終わり、制服に着替えているとき合同で同じ授業になる隣のクラスの女子に聞かれた。
この間も同じシチュエーションで別の女子に聞かれたが、今回は何か違う。
目の前の女子は鬼気迫るような雰囲気で、単純な疑問を投げかけているというよりは念押ししているように感じる。
「う・・・うん」
私は少し引き気味に頷くと、その子が口元を上げた。
「じゃあ、私が告ってもいいよね」
「えっ・・・」
驚いて何も返せないでいるとその子は茶色い髪を靡かせながら教室を出て行った。
周りで会話を聞いていた同じクラスの女子がざわめく。
「ちょっ!名前、いいの!?」
友達が私の肩を掴んだ。
「えっと・・・いいも悪いも私には何も言う権利ないというか・・・」
「あんた達事実婚みたいなもんでしょ!言う権利あるって」
事実婚って・・・。
私はぼーっとしながら着替えを終えて席についた。
同じクラスの女子からは「私達は名前ちゃんの味方だよ!」と励まされるが苦笑するしかなかった。
だって付き合っていないのだから彼女が告白しようが何しようが勝手だ。
私には関係ない。
4限目の英語が始まり、ちらりと隣に目をやると荒北くんはすでに机につっぷして寝ている。
体育で火照った身体がまだ冷めていないのか少し顔が赤い。
いつ告白するのかなぁ。
なぜかわからないけれど気になってしまう。
さっき自分は関係ないと思ったばかりなのに。
意外と長い睫毛に視線を向けながらそんなことを考えていると、荒北くんは何か感じ取ったのかパチリと目を開けた。
私は驚いて仰け反った。
視線を感じたのだろうか・・・さすが野性。
ばっちり荒北くんと目が合う。
彼は口パクで「どーしたのォ?」と問いかけてきた。
私はぶんぶん首を横に振ると授業に集中するフリをした。
関係ないって思うのに、どうして気になるんだろう。
もやもやした気持ちを抱えながらノートに視線を戻した。
隣から荒北くんの視線を感じるが気づいていないことにして長い長い4限目を終えた。
昼休み。
私は友達とお弁当を食べようと彼女の席に向かおうとした。
すると彼女は立ち上がってこちらに向かってくる。
今日は私の方の席で食べるのかな、そう思って再び椅子に腰を下ろした。
「荒北ー。私今日お昼一緒に食べられないから名前と食べてよ」
「おー」
「今日会議あったっけ?」
「まー、そんなとこ」
友達は教室から出ていくとき、私の肩を叩いた。
何で叩かれたんだろう?
まるでエールを送るような行為に私は首を傾げた。
「荒北くん、新開くん達と食べる?私1人でも大丈夫だよ?」
「いや、特に約束してねェし、ここで食べる」
荒北くんは机にコンビニで買った昼食を出した。
私もお弁当を自分の机に広げた。
お弁当を手に取り身体が向かい合わせになるように座る。
荒北くんもおにぎりを掴みながら私の方を向いている。
「なー、名前チャン、さっき俺のコト見てた?」
「起こしちゃってごめんね」
「それはいいんだケド・・・」
荒北くんは言いにくそうに少し視線を外した。
「何か深刻そうだったからァ」
荒北くんは本当に勘がいい。
「深刻ってほどのことじゃないけどちょっともやもやしてて・・・」
なんて言えばいいのかわからなかった。
まさか本人に、これから貴方は隣のクラスの女子に告白をされて、そのことを考えていたら少しもやもやしてきたんだけど、何でかわかる?なんて聞けない。
うーん・・・と黙り込む私に荒北くんは少し焦った表情を浮かべた。
「エ・・・、俺なにかした?」
「あ、ううん。荒北くんのせいじゃないの!」
私は慌ててお弁当を机に置き両手を身体の前で振った。
「悩み事あンなら聞くからァ」
しょうもない私の感情で荒北くんに心配をかけていることが途端に申し訳なくなった。
「ありがとう・・・でも大丈夫だよ」
私の返事に納得いかなさそうだったが、とりあえずそこで会話は終わった。
再び箸を進め始めると、教室の扉が開いた。
「ねぇ、荒北いる?」
そう叫んだ彼女は例の女の子だった。
制服のスカートを極限まで短く折り曲げ、茶色い髪は彼女によく似合っている。
化粧もばっちりで目元がキラキラ光っている。
どちらかというと地味な私とは正反対。
クラスの中心にいるような、そんな女の子。
というか、さっき告白するだのなんだの言ってもう来たんだ・・・。
想像以上に早かった。
私はてっきり2.3日後だと思っていたから。
「ここだけどォ」
荒北くんが手を挙げて返事をした。
彼女がこちらに向かってくる。
彼女は私を一瞥すると、荒北くんの腕を取った。
「ねぇ、今からちょっと時間ほしいんだけど」
男子は相変わらず騒いでいるが、体育の時に事情を知っているクラスの女子達が若干静まりこちらを伺っている。
・・・視線が痛い。
「何の用?」
荒北くんは立ち上がろうとはせずその場で要件を聞こうとした。
「ここじゃ話しにくいしさ、ちょっと来てよ。荒北借りてもいいよね?」
突然私の方を向いたので驚いた。
「えっ。あ、うん・・・」
私は視線をお弁当のウインナーに落とした。
クラスの女子が「ちょっと名前!」っと言っている気がした。
けれど俯いたまま顔を上げることができない。
行ってきていいよ、そう言わないと。
「あー、昼飯まだ途中だからまた今度でいいかァ?」
荒北くんの言葉に、今まで重すぎてあげられなかった頭が途端に軽くなった。
「あんた、もう終わってんじゃん」
彼女はおにぎりの包み紙を指して言った。
「でも名前チャン終わってないし」
荒北くんは私のお弁当を指差した。
「はあ?意味わかんない」
彼女は口を尖らせた。
「今日の昼休みは名前チャンと一緒って決まってんの。また今度か、それが嫌なら今ここで聞く」
椅子に座ったまま全く動こうとしない荒北くんに彼女は「もういい」と怒って出て行った。
まさかの結末に私はポカンとした。
「早く食べないと昼休み終わっちゃうヨ」
「あ・・・うん」
私は急いでからあげを口に放り込んだ。
パクパク食べている私を見て荒北くんは満足げだ。
「ちょっとは元気になったみたいでよかったネ」
「どうしよう・・・」
私はピタリと箸を持ったまま固まった。
荒北くんが再び考えこむ私に首を傾げた。
「私、すごく性格悪いかもしれない・・・」
「なんで?」
「だって・・・さっき荒北くんが行かなくてよかったって思ってる」
人の不幸を喜ぶなんてなんて私は性格が悪いんだろう、と自己嫌悪に陥る。
しかし荒北くんは顔が青くなる私とは対照的に顔が真っ赤だ。
「やっぱり私、性格悪いよね・・・?」
おそるおそる尋ねた私に荒北くんは答えた。
「名前チャンはすげェいい子だヨ」
荒北くんは私の気持ちを幸せにしてくれる。
もしかしたら彼は魔法使いなのかもしれない・・・と思った。
あれ、なんかデジャブ。
私は体育の授業が終わり、制服に着替えているとき合同で同じ授業になる隣のクラスの女子に聞かれた。
この間も同じシチュエーションで別の女子に聞かれたが、今回は何か違う。
目の前の女子は鬼気迫るような雰囲気で、単純な疑問を投げかけているというよりは念押ししているように感じる。
「う・・・うん」
私は少し引き気味に頷くと、その子が口元を上げた。
「じゃあ、私が告ってもいいよね」
「えっ・・・」
驚いて何も返せないでいるとその子は茶色い髪を靡かせながら教室を出て行った。
周りで会話を聞いていた同じクラスの女子がざわめく。
「ちょっ!名前、いいの!?」
友達が私の肩を掴んだ。
「えっと・・・いいも悪いも私には何も言う権利ないというか・・・」
「あんた達事実婚みたいなもんでしょ!言う権利あるって」
事実婚って・・・。
私はぼーっとしながら着替えを終えて席についた。
同じクラスの女子からは「私達は名前ちゃんの味方だよ!」と励まされるが苦笑するしかなかった。
だって付き合っていないのだから彼女が告白しようが何しようが勝手だ。
私には関係ない。
4限目の英語が始まり、ちらりと隣に目をやると荒北くんはすでに机につっぷして寝ている。
体育で火照った身体がまだ冷めていないのか少し顔が赤い。
いつ告白するのかなぁ。
なぜかわからないけれど気になってしまう。
さっき自分は関係ないと思ったばかりなのに。
意外と長い睫毛に視線を向けながらそんなことを考えていると、荒北くんは何か感じ取ったのかパチリと目を開けた。
私は驚いて仰け反った。
視線を感じたのだろうか・・・さすが野性。
ばっちり荒北くんと目が合う。
彼は口パクで「どーしたのォ?」と問いかけてきた。
私はぶんぶん首を横に振ると授業に集中するフリをした。
関係ないって思うのに、どうして気になるんだろう。
もやもやした気持ちを抱えながらノートに視線を戻した。
隣から荒北くんの視線を感じるが気づいていないことにして長い長い4限目を終えた。
昼休み。
私は友達とお弁当を食べようと彼女の席に向かおうとした。
すると彼女は立ち上がってこちらに向かってくる。
今日は私の方の席で食べるのかな、そう思って再び椅子に腰を下ろした。
「荒北ー。私今日お昼一緒に食べられないから名前と食べてよ」
「おー」
「今日会議あったっけ?」
「まー、そんなとこ」
友達は教室から出ていくとき、私の肩を叩いた。
何で叩かれたんだろう?
まるでエールを送るような行為に私は首を傾げた。
「荒北くん、新開くん達と食べる?私1人でも大丈夫だよ?」
「いや、特に約束してねェし、ここで食べる」
荒北くんは机にコンビニで買った昼食を出した。
私もお弁当を自分の机に広げた。
お弁当を手に取り身体が向かい合わせになるように座る。
荒北くんもおにぎりを掴みながら私の方を向いている。
「なー、名前チャン、さっき俺のコト見てた?」
「起こしちゃってごめんね」
「それはいいんだケド・・・」
荒北くんは言いにくそうに少し視線を外した。
「何か深刻そうだったからァ」
荒北くんは本当に勘がいい。
「深刻ってほどのことじゃないけどちょっともやもやしてて・・・」
なんて言えばいいのかわからなかった。
まさか本人に、これから貴方は隣のクラスの女子に告白をされて、そのことを考えていたら少しもやもやしてきたんだけど、何でかわかる?なんて聞けない。
うーん・・・と黙り込む私に荒北くんは少し焦った表情を浮かべた。
「エ・・・、俺なにかした?」
「あ、ううん。荒北くんのせいじゃないの!」
私は慌ててお弁当を机に置き両手を身体の前で振った。
「悩み事あンなら聞くからァ」
しょうもない私の感情で荒北くんに心配をかけていることが途端に申し訳なくなった。
「ありがとう・・・でも大丈夫だよ」
私の返事に納得いかなさそうだったが、とりあえずそこで会話は終わった。
再び箸を進め始めると、教室の扉が開いた。
「ねぇ、荒北いる?」
そう叫んだ彼女は例の女の子だった。
制服のスカートを極限まで短く折り曲げ、茶色い髪は彼女によく似合っている。
化粧もばっちりで目元がキラキラ光っている。
どちらかというと地味な私とは正反対。
クラスの中心にいるような、そんな女の子。
というか、さっき告白するだのなんだの言ってもう来たんだ・・・。
想像以上に早かった。
私はてっきり2.3日後だと思っていたから。
「ここだけどォ」
荒北くんが手を挙げて返事をした。
彼女がこちらに向かってくる。
彼女は私を一瞥すると、荒北くんの腕を取った。
「ねぇ、今からちょっと時間ほしいんだけど」
男子は相変わらず騒いでいるが、体育の時に事情を知っているクラスの女子達が若干静まりこちらを伺っている。
・・・視線が痛い。
「何の用?」
荒北くんは立ち上がろうとはせずその場で要件を聞こうとした。
「ここじゃ話しにくいしさ、ちょっと来てよ。荒北借りてもいいよね?」
突然私の方を向いたので驚いた。
「えっ。あ、うん・・・」
私は視線をお弁当のウインナーに落とした。
クラスの女子が「ちょっと名前!」っと言っている気がした。
けれど俯いたまま顔を上げることができない。
行ってきていいよ、そう言わないと。
「あー、昼飯まだ途中だからまた今度でいいかァ?」
荒北くんの言葉に、今まで重すぎてあげられなかった頭が途端に軽くなった。
「あんた、もう終わってんじゃん」
彼女はおにぎりの包み紙を指して言った。
「でも名前チャン終わってないし」
荒北くんは私のお弁当を指差した。
「はあ?意味わかんない」
彼女は口を尖らせた。
「今日の昼休みは名前チャンと一緒って決まってんの。また今度か、それが嫌なら今ここで聞く」
椅子に座ったまま全く動こうとしない荒北くんに彼女は「もういい」と怒って出て行った。
まさかの結末に私はポカンとした。
「早く食べないと昼休み終わっちゃうヨ」
「あ・・・うん」
私は急いでからあげを口に放り込んだ。
パクパク食べている私を見て荒北くんは満足げだ。
「ちょっとは元気になったみたいでよかったネ」
「どうしよう・・・」
私はピタリと箸を持ったまま固まった。
荒北くんが再び考えこむ私に首を傾げた。
「私、すごく性格悪いかもしれない・・・」
「なんで?」
「だって・・・さっき荒北くんが行かなくてよかったって思ってる」
人の不幸を喜ぶなんてなんて私は性格が悪いんだろう、と自己嫌悪に陥る。
しかし荒北くんは顔が青くなる私とは対照的に顔が真っ赤だ。
「やっぱり私、性格悪いよね・・・?」
おそるおそる尋ねた私に荒北くんは答えた。
「名前チャンはすげェいい子だヨ」
荒北くんは私の気持ちを幸せにしてくれる。
もしかしたら彼は魔法使いなのかもしれない・・・と思った。
