狼さんと一緒/荒北
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あの事件の翌日、荒北くんは防犯ブザーをくれた。
小学生がよくランドセルにつけているやつ。
「通学鞄につけておきなサイ」
「えー、恥ずかしいよ」
私がためらっていると友達が私の手から防犯ブザーを奪った。
「今回は荒北に賛同!」
友達は荒北くんから事情を聞いたらしい。
「私と帰ること多いけど、1人のときもあるんだから。気を付けなよ」
私の鞄にはピンクの防犯ブザーがぶら下がった。
「もー、心配性だなぁ」
「俺は名前チャンを心配しすぎて最近早死にする気がする」
苦笑する荒北くんの頭に白い紙が置かれた。
頭に感触を覚えた荒北くんはそれを手に取った。
「俺はお前の頭の方が心配だけどな」
「げっ」
その正体は前回行った国語のテスト。
振り向くと先生が荒北くんの前に立っていた。
荒北くんは点数を見て口元が引きつっている。
友達は先生が来たので自分の席に戻った。
「よーし。授業の前にこの間のテスト返すぞー。荒北みたいに50点以下は再テストな」
「バラすんじゃねェよ!」
あ、荒北くん50点なかったんだ。
「再テストは3日後の放課後な。教育係しっかり頼むぞ」
先生は私の目を見てそう言った。
「あ、はい」
思わず頷いてしまった。
3日後なのでほとんど時間はない。
実質勉強できるのは今日と明日だ。
逆にいうと今回のテストとほぼ似たような形式で出されるらしいので復習をしっかりしていれば解けるはず。
幸い今日は自転車部はオフの日。
明日は部活があるのでなんとしても今日中に終わらせたい。
「似たようなテストを作って明日用意しておくね。漢字は自分で覚えてきてもらうとして・・・」
荒北くんの答案用紙を見ているとふとあることに気づいた。
「荒北くんって小説の設問が苦手?」
「あーそうカモ」
お世辞にも勉強が得意とは荒北くんは言えないが特に今回のはひどい。
内容は小説だった。
「人の感情とかぶっちゃけどーでもイイし」
「でもこれはテストだから必ずどこかに導き出せる答えが載っているはずなんだよ。感情を感じ取るんじゃなくて文章から探して読み取るの」
「ンー・・・」
私は荒北くんと話していて1つ疑問を感じた。
「さっき人の感情はどうでもいいって言ったけど、荒北くんって私のことよくわかってくれてるよね?」
なんとなく浮かんだ疑問だった。
荒北くんは目を丸くしていた。
「だって、自販機で私が気になってたジュース買ってくれたり・・・」
私は先生におつかいを頼まれたときの出来事を思い出した。
「ねぇ、なんで荒北くんは私のことよく知ってるの?」
荒北くんは困ったような表情を浮かべていた。
「何でって・・・まァ、名前チャンは特別だからネ」
「特別・・・?」
「俺の高校生活友達第一号」
「そっかぁ!」
私はパン!と両手を合わせた。
「私も荒北くんが高校生活友達第一号だよ!だから私も荒北くんのことが特別!」
荒北くんは心なしか顔が赤かった。
「だからかぁ。うんうん」
1人で納得している様子の私に荒北くんは首をかしげた。
「ずっとね、荒北くんと一緒に卒業したいなぁとか一緒の大学いけたらいいなぁとか思ってたの。それって特別だからだね」
最近、荒北くんのテストの点数が悪いと私の気持ちが沈んでいた。
自分のテストの点数が悪いわけじゃないのになんでだろうと思っていた謎が解けた。
私の言葉を聞いて荒北くんは姿勢を正しシャーペンを握りなおした。
「・・・・ねェ、これはどーいうコト?」
「あ、これはね」
荒北くんのやる気スイッチが入ったらしく、それからの集中力はすさまじいものだった。
そして3日後の再テスト。
荒北くんは95点を叩き出し、先生を驚かせたのであった。
*******************
俺は今回国語のテストが引くぐらい悪かった。
再テストを受けるために名前チャンの手を借りることになった。
まァいつものことだケド。
でも名前チャンに手伝ってもらって追試もダメだったら合わせる顔がない。
というか名前チャン、教え方が悪かったからとか言って自分のこと責めそうだし。
頑張るしかねェな・・・と思うものの、やる気がいまいち出ない。
そんなとき名前チャンが言った。
「ねぇ、なんで荒北くんは私のことよく知ってるの?」
簡単だけど難しい答え。
俺は照れ隠しで「高校生活友達第一号」だからだと返した。
本当はもう少し別の感情が入っていることを俺自身自覚していた。
しかし名前チャンはこの答えで納得したらしい。
さらには俺のコトを特別だと言ってくれた。
極めつけは最後のこのセリフ。
「ずっとね、荒北くんと一緒に卒業したいなぁとか一緒の大学いけたらいいなぁとか思ってたの。それって特別だからだね」
これで俺のやる気スイッチは全開になった。
小説のがどうとか古典漢文がどうとかぶっちゃけ今でもどーでもイイ。
でも俺の中ではっきりと勉強する目的ができた。
俺は一生懸命解説する名前チャンの横顔を見つめた。
名前チャンのいう特別が俺の特別と同じだと今は思わない。
けれどいつか自分と同じ特別になればいい、そう思った。
小学生がよくランドセルにつけているやつ。
「通学鞄につけておきなサイ」
「えー、恥ずかしいよ」
私がためらっていると友達が私の手から防犯ブザーを奪った。
「今回は荒北に賛同!」
友達は荒北くんから事情を聞いたらしい。
「私と帰ること多いけど、1人のときもあるんだから。気を付けなよ」
私の鞄にはピンクの防犯ブザーがぶら下がった。
「もー、心配性だなぁ」
「俺は名前チャンを心配しすぎて最近早死にする気がする」
苦笑する荒北くんの頭に白い紙が置かれた。
頭に感触を覚えた荒北くんはそれを手に取った。
「俺はお前の頭の方が心配だけどな」
「げっ」
その正体は前回行った国語のテスト。
振り向くと先生が荒北くんの前に立っていた。
荒北くんは点数を見て口元が引きつっている。
友達は先生が来たので自分の席に戻った。
「よーし。授業の前にこの間のテスト返すぞー。荒北みたいに50点以下は再テストな」
「バラすんじゃねェよ!」
あ、荒北くん50点なかったんだ。
「再テストは3日後の放課後な。教育係しっかり頼むぞ」
先生は私の目を見てそう言った。
「あ、はい」
思わず頷いてしまった。
3日後なのでほとんど時間はない。
実質勉強できるのは今日と明日だ。
逆にいうと今回のテストとほぼ似たような形式で出されるらしいので復習をしっかりしていれば解けるはず。
幸い今日は自転車部はオフの日。
明日は部活があるのでなんとしても今日中に終わらせたい。
「似たようなテストを作って明日用意しておくね。漢字は自分で覚えてきてもらうとして・・・」
荒北くんの答案用紙を見ているとふとあることに気づいた。
「荒北くんって小説の設問が苦手?」
「あーそうカモ」
お世辞にも勉強が得意とは荒北くんは言えないが特に今回のはひどい。
内容は小説だった。
「人の感情とかぶっちゃけどーでもイイし」
「でもこれはテストだから必ずどこかに導き出せる答えが載っているはずなんだよ。感情を感じ取るんじゃなくて文章から探して読み取るの」
「ンー・・・」
私は荒北くんと話していて1つ疑問を感じた。
「さっき人の感情はどうでもいいって言ったけど、荒北くんって私のことよくわかってくれてるよね?」
なんとなく浮かんだ疑問だった。
荒北くんは目を丸くしていた。
「だって、自販機で私が気になってたジュース買ってくれたり・・・」
私は先生におつかいを頼まれたときの出来事を思い出した。
「ねぇ、なんで荒北くんは私のことよく知ってるの?」
荒北くんは困ったような表情を浮かべていた。
「何でって・・・まァ、名前チャンは特別だからネ」
「特別・・・?」
「俺の高校生活友達第一号」
「そっかぁ!」
私はパン!と両手を合わせた。
「私も荒北くんが高校生活友達第一号だよ!だから私も荒北くんのことが特別!」
荒北くんは心なしか顔が赤かった。
「だからかぁ。うんうん」
1人で納得している様子の私に荒北くんは首をかしげた。
「ずっとね、荒北くんと一緒に卒業したいなぁとか一緒の大学いけたらいいなぁとか思ってたの。それって特別だからだね」
最近、荒北くんのテストの点数が悪いと私の気持ちが沈んでいた。
自分のテストの点数が悪いわけじゃないのになんでだろうと思っていた謎が解けた。
私の言葉を聞いて荒北くんは姿勢を正しシャーペンを握りなおした。
「・・・・ねェ、これはどーいうコト?」
「あ、これはね」
荒北くんのやる気スイッチが入ったらしく、それからの集中力はすさまじいものだった。
そして3日後の再テスト。
荒北くんは95点を叩き出し、先生を驚かせたのであった。
*******************
俺は今回国語のテストが引くぐらい悪かった。
再テストを受けるために名前チャンの手を借りることになった。
まァいつものことだケド。
でも名前チャンに手伝ってもらって追試もダメだったら合わせる顔がない。
というか名前チャン、教え方が悪かったからとか言って自分のこと責めそうだし。
頑張るしかねェな・・・と思うものの、やる気がいまいち出ない。
そんなとき名前チャンが言った。
「ねぇ、なんで荒北くんは私のことよく知ってるの?」
簡単だけど難しい答え。
俺は照れ隠しで「高校生活友達第一号」だからだと返した。
本当はもう少し別の感情が入っていることを俺自身自覚していた。
しかし名前チャンはこの答えで納得したらしい。
さらには俺のコトを特別だと言ってくれた。
極めつけは最後のこのセリフ。
「ずっとね、荒北くんと一緒に卒業したいなぁとか一緒の大学いけたらいいなぁとか思ってたの。それって特別だからだね」
これで俺のやる気スイッチは全開になった。
小説のがどうとか古典漢文がどうとかぶっちゃけ今でもどーでもイイ。
でも俺の中ではっきりと勉強する目的ができた。
俺は一生懸命解説する名前チャンの横顔を見つめた。
名前チャンのいう特別が俺の特別と同じだと今は思わない。
けれどいつか自分と同じ特別になればいい、そう思った。
