狼さんと一緒/荒北
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「荒北くんと付き合ってないの?」
私がこの学校に入学してから最も聞かれる質問No1。
女子はこの手の話が好きだ。
体育の授業で着替えていたときにクラスの女子に聞かれた。
「付き合ってないよ」
勝手に付き合ってると思っている人もいるみたいだが、わざわざその人のところへ行って訂正することはない。
ただ、このように面と向かって聞かれたときはちゃんと答えている。
「付き合わないの?」
この質問もよくされるがこれを聞かれると私は困る。
「はいはい、ところであんたはどうなのよ?」
私がどうやって答えようかともんもん悩んでいると友達が助け舟を出してくれた。
話の中心を私から逸らしてくれたおかげで、ほっとした。
「ありがとう」
「どういたしまして」
この手の質問はすごく困る。
だって、付き合う付き合わないって私一人の気持ちじゃないし。
それに仲良いから付き合ってるというのもピンとこない。
お昼ご飯を食べ終わった後、友達は委員長会議で教室を出て行ったので、私は中庭に移動した。
「あ、荒北くん!」
ベンチに座り、黒猫と一緒にお昼ご飯を食べている荒北くんを発見した。
この黒猫、出会ったときは小さくて華奢だったのに、どんどんおデブちゃんになっていき、今では荒北くんとお昼の取り合いをしているのが常である。
「名前チャン」
私に気を取られた瞬間、黒猫が荒北くんのパンに飛びかかった。
「あ、オイ!」
荒北くんが気付いたときにはパンが食いちぎられている。
「あちゃ」
私が声を上げると荒北くんはベンチの真ん中から少し左側にずれ、私が座るスペースを空けてくれた。
「一人?」
「友達は委員長の会議に行っちゃって」
「ふーん」
私は荒北くんの隣に腰を下ろした。
猫が私の膝に飛び乗る。
ふと先ほど聞かれたことを思い出し、猫を撫ぜながらパンをかじる荒北くんの横顔を眺めた。
「……」
じーっと見すぎたからか荒北くんのパンをかじる手が止まった。
「ナニ?」
荒北くんはなぜ見られているんだろう、という表情をしている。
「付き合うってなんだろう、って考えてた」
突然私がそんなことを言い出したから荒北くんは切れ長の目を少しだけ見開いた。
「いきなりどしたの」
そりゃそうだ。
脈略がなさすぎる。
私がなんて説明しようか悩んでいたら荒北くんはなんとなく事情を察したらしい。
いつも思うけど荒北くんはすごい。
私のことをなんでもわかってる気がする。
「まー、あれだ。他人は人のアレコレに口を出すのが好きなんだヨ」
「荒北くんも自分の噂されて困ったりする?」
「どーでもイイ。俺は自分の目で見たことしか信じねェし、興味もねェ。それに…」
荒北くんはじっと私の目を見た。
「俺は名前チャンと福チャンに信じてもらえればそれでイイ」
荒北くんの瞳は真っすぐだった。
多分今の言葉には新開くんや東堂くんも含まれているのだろう。
荒北くんが言いたいことはなんとなく伝わってきた。
「うん、私も荒北くんと友達に信じてもらえればそれでいいかな」
付き合うとは何かという疑問は解消できなかったけど、荒北くんと話してこの疑問をもつこと自体今は無意味なことだと思った。
だって目の前には荒北くんがいて、毎日が楽しい。
その事実だけで十分だ。
納得した私を見て荒北くんは私の頭に手を置きポンポンとしてから昼食を再開した。
*******************
ほんと誰だよ、名前チャンに余計なことを吹き込んだ奴は。
俺は5限目の授業が始まり、教師の言うことは右から左に流しつつさっきの会話を思い出していた。
きっと俺と付き合っていないのかとかなんだとか誰かに聞かれたからあんな質問をしてきたのだろう。
確かに俺も聞かれるが、それは新開や東堂ぐらいで他の奴らは俺にキレられるのを恐れてかあまり聞かれた試しはない。
こういうのはお互いのペースってのがあるし、第一名前チャンが俺のことを男として好きかどうかさえ分からない。
それを他人に引っ掻き回されてるのが気に食わねェ。
つーか自分の心配でもしてろっての。
一番気になるのは俺の悪口を吹き込まれて名前チャンに疎遠にされることだ。
ぶっちゃけ俺のことを嫌いな人間は男女問わずに一定数いることには自覚がある。
名前チャンが俺の悪評に流されるとは思わないが、万が一ってこともあるしな。
ちゃんと見ておかねーと。
俺は真剣な表情で黒板を書き写す名前チャンを尻目にそんなことを思った。
私がこの学校に入学してから最も聞かれる質問No1。
女子はこの手の話が好きだ。
体育の授業で着替えていたときにクラスの女子に聞かれた。
「付き合ってないよ」
勝手に付き合ってると思っている人もいるみたいだが、わざわざその人のところへ行って訂正することはない。
ただ、このように面と向かって聞かれたときはちゃんと答えている。
「付き合わないの?」
この質問もよくされるがこれを聞かれると私は困る。
「はいはい、ところであんたはどうなのよ?」
私がどうやって答えようかともんもん悩んでいると友達が助け舟を出してくれた。
話の中心を私から逸らしてくれたおかげで、ほっとした。
「ありがとう」
「どういたしまして」
この手の質問はすごく困る。
だって、付き合う付き合わないって私一人の気持ちじゃないし。
それに仲良いから付き合ってるというのもピンとこない。
お昼ご飯を食べ終わった後、友達は委員長会議で教室を出て行ったので、私は中庭に移動した。
「あ、荒北くん!」
ベンチに座り、黒猫と一緒にお昼ご飯を食べている荒北くんを発見した。
この黒猫、出会ったときは小さくて華奢だったのに、どんどんおデブちゃんになっていき、今では荒北くんとお昼の取り合いをしているのが常である。
「名前チャン」
私に気を取られた瞬間、黒猫が荒北くんのパンに飛びかかった。
「あ、オイ!」
荒北くんが気付いたときにはパンが食いちぎられている。
「あちゃ」
私が声を上げると荒北くんはベンチの真ん中から少し左側にずれ、私が座るスペースを空けてくれた。
「一人?」
「友達は委員長の会議に行っちゃって」
「ふーん」
私は荒北くんの隣に腰を下ろした。
猫が私の膝に飛び乗る。
ふと先ほど聞かれたことを思い出し、猫を撫ぜながらパンをかじる荒北くんの横顔を眺めた。
「……」
じーっと見すぎたからか荒北くんのパンをかじる手が止まった。
「ナニ?」
荒北くんはなぜ見られているんだろう、という表情をしている。
「付き合うってなんだろう、って考えてた」
突然私がそんなことを言い出したから荒北くんは切れ長の目を少しだけ見開いた。
「いきなりどしたの」
そりゃそうだ。
脈略がなさすぎる。
私がなんて説明しようか悩んでいたら荒北くんはなんとなく事情を察したらしい。
いつも思うけど荒北くんはすごい。
私のことをなんでもわかってる気がする。
「まー、あれだ。他人は人のアレコレに口を出すのが好きなんだヨ」
「荒北くんも自分の噂されて困ったりする?」
「どーでもイイ。俺は自分の目で見たことしか信じねェし、興味もねェ。それに…」
荒北くんはじっと私の目を見た。
「俺は名前チャンと福チャンに信じてもらえればそれでイイ」
荒北くんの瞳は真っすぐだった。
多分今の言葉には新開くんや東堂くんも含まれているのだろう。
荒北くんが言いたいことはなんとなく伝わってきた。
「うん、私も荒北くんと友達に信じてもらえればそれでいいかな」
付き合うとは何かという疑問は解消できなかったけど、荒北くんと話してこの疑問をもつこと自体今は無意味なことだと思った。
だって目の前には荒北くんがいて、毎日が楽しい。
その事実だけで十分だ。
納得した私を見て荒北くんは私の頭に手を置きポンポンとしてから昼食を再開した。
*******************
ほんと誰だよ、名前チャンに余計なことを吹き込んだ奴は。
俺は5限目の授業が始まり、教師の言うことは右から左に流しつつさっきの会話を思い出していた。
きっと俺と付き合っていないのかとかなんだとか誰かに聞かれたからあんな質問をしてきたのだろう。
確かに俺も聞かれるが、それは新開や東堂ぐらいで他の奴らは俺にキレられるのを恐れてかあまり聞かれた試しはない。
こういうのはお互いのペースってのがあるし、第一名前チャンが俺のことを男として好きかどうかさえ分からない。
それを他人に引っ掻き回されてるのが気に食わねェ。
つーか自分の心配でもしてろっての。
一番気になるのは俺の悪口を吹き込まれて名前チャンに疎遠にされることだ。
ぶっちゃけ俺のことを嫌いな人間は男女問わずに一定数いることには自覚がある。
名前チャンが俺の悪評に流されるとは思わないが、万が一ってこともあるしな。
ちゃんと見ておかねーと。
俺は真剣な表情で黒板を書き写す名前チャンを尻目にそんなことを思った。
