狼さんと一緒/荒北
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夕日が眩しいなぁ…。
そんなセンチメンタルな感情がぼんやりと過った。
今は前にクレープを食べたあの公園のベンチに座っている。
あの後、荒北くんは神崎さんに別れを告げて私の腕を引いて立ち上がった。
私はされるがままに荒北くんの後ろをついて歩いた。
さっきのが聞き間違いでなければとんでもなく嬉しいことを言われた気がする。
「チャリ以外で考えンのは名前チャンだけにしたい」
さっきのフレーズを思い出して私の顔は自分でも分かるほど火照った。
どうか夕日の反射だと荒北くんは思ってくれますように。
チラリと隣に座る彼に視線を送ると真っ直ぐ夕日を見つめていた。
何を考えているんだろう…。
荒北くんに促されたので座ったのだが、私達の間に流れるのは沈黙だ。
喋りかけた方がいいのかな…。
「荒北く「名前チャン」
意を決して開いた口は再び閉口した。
「悪ィ」
がしがしと頭を掻いた荒北くんは少し俯いたかと思うとハァァと息を大きく吐いた。
「あー!!めんどくせェ」
私はビクリと肩を震わせた。
「ゴチャゴチャ考えンの苦手だし、余計悪化する気ィするから」
一人言のように吐き出したかと思うと私の両肩に荒北くんの手が置かれた。
しっかりと合わせられた目は、逸らしたくても逸らせなかった。
彼の瞳はここぞというときに見せる野性味を帯びていた。
その一方でまるで恋人がキスする直前のような熱っぽさも僅かに籠っている。
「荒北くん…?」
何を私は言われるのだろう…。
彼の表情から期待と不安が渦巻いた。
*************
神崎には悪いと思ってる。
2回目の差し入れは断るべきだった。
メッセージだって返信すべきではなかった。
カフェで神崎に話しかけられたとき、彼女の言葉は耳にほとんど入ってこなかった。
それよりも名前チャンがどう思ってるのか、感じているのかそればかりが気になった。
変な駆け引きは止めだ。
元から性に合わねェ。
ましてや名前チャンの悲しそうな表情は見たくねェ。
自惚れかもしれねェけど、でも伝えるなら今だと思った。
勝負時を誤っては勝てるもんも勝てねェ。
だから神崎にはあの場ではっきりと告げた。
俺の気持ちを理解してくれたみたいだった。
「わかった、もう諦めるね」
諦めてもらうほどのいい男ではない。
けれど彼女の気持ちを否定はしたくなかったら最後に「色々ありがとネ」と月並みな言葉を返した。
それを最後に俺は名前チャンを連れて店を出た。
今度こそ小細工なしだ。
「名前チャン、俺と付き合ってほしい」
*************
さぁっと駆け巡った風が私の髪を撫でた。
一瞬、時が止まったかと思った。
「え…?」
荒北くんの言葉を理解するのに数秒を要した。
彼の言う付き合うは男女交際的な意味なのだろうか…。
私の疑問を汲み取ったかのように荒北くんは続けた。
「いつから好きになったかなんて覚えてねェ。でも名前チャンとずっと一緒に居たい、そう思ってる」
これって恋だろォ?
まさか荒北くんの口から恋というフレーズが出てくるとは思わなかった。
でも笑うことなんてできなくて、ただ私は嬉し涙が溢れないようにグッと堪えた。
私も伝えなきゃ。
「私も荒北くんに恋してます」
絞り出した声はきっとカフェで向かい合った距離だと聞こえなかっただろう。
でも今数十センチ隣にいる彼にはしっかり届いたようだ。
照れている顔を見られたくなかったのか、荒北くんは細いけれど私よりもしっかりしたその手で私の後頭部を押さえた。
ポスっと荒北くんの肩口に私の顔が埋まる。
「大事にするからァ。こらからもよろしくネ、名前チャン」
〜Fin〜
そんなセンチメンタルな感情がぼんやりと過った。
今は前にクレープを食べたあの公園のベンチに座っている。
あの後、荒北くんは神崎さんに別れを告げて私の腕を引いて立ち上がった。
私はされるがままに荒北くんの後ろをついて歩いた。
さっきのが聞き間違いでなければとんでもなく嬉しいことを言われた気がする。
「チャリ以外で考えンのは名前チャンだけにしたい」
さっきのフレーズを思い出して私の顔は自分でも分かるほど火照った。
どうか夕日の反射だと荒北くんは思ってくれますように。
チラリと隣に座る彼に視線を送ると真っ直ぐ夕日を見つめていた。
何を考えているんだろう…。
荒北くんに促されたので座ったのだが、私達の間に流れるのは沈黙だ。
喋りかけた方がいいのかな…。
「荒北く「名前チャン」
意を決して開いた口は再び閉口した。
「悪ィ」
がしがしと頭を掻いた荒北くんは少し俯いたかと思うとハァァと息を大きく吐いた。
「あー!!めんどくせェ」
私はビクリと肩を震わせた。
「ゴチャゴチャ考えンの苦手だし、余計悪化する気ィするから」
一人言のように吐き出したかと思うと私の両肩に荒北くんの手が置かれた。
しっかりと合わせられた目は、逸らしたくても逸らせなかった。
彼の瞳はここぞというときに見せる野性味を帯びていた。
その一方でまるで恋人がキスする直前のような熱っぽさも僅かに籠っている。
「荒北くん…?」
何を私は言われるのだろう…。
彼の表情から期待と不安が渦巻いた。
*************
神崎には悪いと思ってる。
2回目の差し入れは断るべきだった。
メッセージだって返信すべきではなかった。
カフェで神崎に話しかけられたとき、彼女の言葉は耳にほとんど入ってこなかった。
それよりも名前チャンがどう思ってるのか、感じているのかそればかりが気になった。
変な駆け引きは止めだ。
元から性に合わねェ。
ましてや名前チャンの悲しそうな表情は見たくねェ。
自惚れかもしれねェけど、でも伝えるなら今だと思った。
勝負時を誤っては勝てるもんも勝てねェ。
だから神崎にはあの場ではっきりと告げた。
俺の気持ちを理解してくれたみたいだった。
「わかった、もう諦めるね」
諦めてもらうほどのいい男ではない。
けれど彼女の気持ちを否定はしたくなかったら最後に「色々ありがとネ」と月並みな言葉を返した。
それを最後に俺は名前チャンを連れて店を出た。
今度こそ小細工なしだ。
「名前チャン、俺と付き合ってほしい」
*************
さぁっと駆け巡った風が私の髪を撫でた。
一瞬、時が止まったかと思った。
「え…?」
荒北くんの言葉を理解するのに数秒を要した。
彼の言う付き合うは男女交際的な意味なのだろうか…。
私の疑問を汲み取ったかのように荒北くんは続けた。
「いつから好きになったかなんて覚えてねェ。でも名前チャンとずっと一緒に居たい、そう思ってる」
これって恋だろォ?
まさか荒北くんの口から恋というフレーズが出てくるとは思わなかった。
でも笑うことなんてできなくて、ただ私は嬉し涙が溢れないようにグッと堪えた。
私も伝えなきゃ。
「私も荒北くんに恋してます」
絞り出した声はきっとカフェで向かい合った距離だと聞こえなかっただろう。
でも今数十センチ隣にいる彼にはしっかり届いたようだ。
照れている顔を見られたくなかったのか、荒北くんは細いけれど私よりもしっかりしたその手で私の後頭部を押さえた。
ポスっと荒北くんの肩口に私の顔が埋まる。
「大事にするからァ。こらからもよろしくネ、名前チャン」
〜Fin〜
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