狼さんと一緒/荒北
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名前チャンの顔を見てほっとした。
駅前のカフェまで自転車を飛ばす道中、どうして何も言ってくれなかったのか、どうしてあの場に居たのが真波だったのか、付き合っても居ない俺には何も言う権利などないはずなのにそう思った。
喉が渇いたので、店員が持ってきた水とは別でドリンクを注文した。
「聞きたいことって…?」
「真波に聞いた」
名前チャンは何を言っているのかわからない、という表情を浮かべた。
「真波くん…?」
いつの間にそんなに仲良くなったンだ?
柄にもなく焦りを感じる。
名前チャンのことは何でも知りたいし、いつでも力になるのは俺でありたい。
「危ない目にあったって聞いた」
「危ない目…」
「防犯ブザー鳴らしたって」
「……ああ!!」
やっと思い出したらしい。
けれど名前チャンは両手を身体の前で振った。
「あれは間違えて鳴らしちゃって…」
そこから事の経緯を詳しく聞いた。
確かに危ない目に遭ったわけではないが、公園で絡まれたことに変わりはない。
どこのクラスの奴だヨ。
「まァ、無事でよかった」
とにかく彼女に危機的状況に陥ったわけではなかったので一安心した。
-----------------
荒北くんは額に少し汗をかいていた。
そんなに焦ってまで聞きたいことってなんだろうと考えていたらこの間の公園の一件だと分かった。
まさか心配してくれて…?
神崎さんには申し訳ないけど嬉しかった。
嬉しくて涙が出そうになった。
荒北くんにこのまま私の気持ちを伝えてしまおうか。
さっきは伝えないって言ったけど、言うべきなんじゃないかと思った。
「名前チャン、どうした?」
考えあぐねていると荒北くんが心配そうに覗き込んだ。
「あ、ううん。ちょっと考え事…」
ぱっと顔を上げた。
その時、荒北くん越しに見知った顔を捉えた。
……神崎さん!!!
見間違えるはずがない。
彼女もまた学校帰りに寄り道しているらしく、制服のままだ。
友達と2人で席に案内されていた。
私は視線を逸らした。
………どうしよう。
けれど逃げる場所もないのでどうしようもない。
少し離れた席に案内されたようなので、荒北くんと神崎さんがお互い気付く前にこの店を出たい。
どうやって荒北くんを外に連れ出そうか…。
「何、どーしたの?」
挙動不審な私に対してテーブルに肘をついて怪訝そうな顔をした荒北くん。
「ううん、何でもない…」
-----------------
名前チャンの様子がおかしい。
俯いて涙を堪えているように見えたかと思えば、顔が真っ青になり動揺しだした。
問いかけても何も教えてくれない。
まるで心を閉ざされているみたいだ。
どうやったら前みたいに笑い合えるのだろうか。
彼女の心が知りたい。
そう思っていた時、俺が注文したドリンクとパフェを店員が運んできた。
「あれ、パフェ頼んだの?」
「おー。まだ食える?名前チャン好きかなって思って」
俺は新しいスプーンを取り出して名前チャンに差し出した。
「え、でも…」
「ほら、早くしないと溶けちまう」
無理矢理押し付けると、名前チャンは戸惑いながらもパフェを一口掬って口へ運んだ。
「美味しい!」
久々に彼女の心からの笑顔を見た気がした。
女子は甘いモンが好きなのは知っているが、ここまでの効果があるものなのか。
笑顔の彼女を見て俺の口角も上がっていた。
「ごめんね、気を遣わせて」
「気なんて遣ってないけどォ。俺は自分がしたいことするだけだし」
「優しいね、荒北くん。最後にいい思い出ができてよかった」
まるで遠いところへ引っ越すような口ぶり。
俺の鼻が疼いた。
今日を逃したら名前チャンの本音が一生聞けない気がする。
思っていることを全部聞かなければ。
「名前チャン」
俺が切り出すと彼女は目を丸くした。
俺の顔に何かついてンのか?
そう思ったが目線自体が合っていない気がする。
「荒北くん?」
後ろから声を掛けられた。
振り向くとそこには神崎が立っていた。
駅前のカフェまで自転車を飛ばす道中、どうして何も言ってくれなかったのか、どうしてあの場に居たのが真波だったのか、付き合っても居ない俺には何も言う権利などないはずなのにそう思った。
喉が渇いたので、店員が持ってきた水とは別でドリンクを注文した。
「聞きたいことって…?」
「真波に聞いた」
名前チャンは何を言っているのかわからない、という表情を浮かべた。
「真波くん…?」
いつの間にそんなに仲良くなったンだ?
柄にもなく焦りを感じる。
名前チャンのことは何でも知りたいし、いつでも力になるのは俺でありたい。
「危ない目にあったって聞いた」
「危ない目…」
「防犯ブザー鳴らしたって」
「……ああ!!」
やっと思い出したらしい。
けれど名前チャンは両手を身体の前で振った。
「あれは間違えて鳴らしちゃって…」
そこから事の経緯を詳しく聞いた。
確かに危ない目に遭ったわけではないが、公園で絡まれたことに変わりはない。
どこのクラスの奴だヨ。
「まァ、無事でよかった」
とにかく彼女に危機的状況に陥ったわけではなかったので一安心した。
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荒北くんは額に少し汗をかいていた。
そんなに焦ってまで聞きたいことってなんだろうと考えていたらこの間の公園の一件だと分かった。
まさか心配してくれて…?
神崎さんには申し訳ないけど嬉しかった。
嬉しくて涙が出そうになった。
荒北くんにこのまま私の気持ちを伝えてしまおうか。
さっきは伝えないって言ったけど、言うべきなんじゃないかと思った。
「名前チャン、どうした?」
考えあぐねていると荒北くんが心配そうに覗き込んだ。
「あ、ううん。ちょっと考え事…」
ぱっと顔を上げた。
その時、荒北くん越しに見知った顔を捉えた。
……神崎さん!!!
見間違えるはずがない。
彼女もまた学校帰りに寄り道しているらしく、制服のままだ。
友達と2人で席に案内されていた。
私は視線を逸らした。
………どうしよう。
けれど逃げる場所もないのでどうしようもない。
少し離れた席に案内されたようなので、荒北くんと神崎さんがお互い気付く前にこの店を出たい。
どうやって荒北くんを外に連れ出そうか…。
「何、どーしたの?」
挙動不審な私に対してテーブルに肘をついて怪訝そうな顔をした荒北くん。
「ううん、何でもない…」
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名前チャンの様子がおかしい。
俯いて涙を堪えているように見えたかと思えば、顔が真っ青になり動揺しだした。
問いかけても何も教えてくれない。
まるで心を閉ざされているみたいだ。
どうやったら前みたいに笑い合えるのだろうか。
彼女の心が知りたい。
そう思っていた時、俺が注文したドリンクとパフェを店員が運んできた。
「あれ、パフェ頼んだの?」
「おー。まだ食える?名前チャン好きかなって思って」
俺は新しいスプーンを取り出して名前チャンに差し出した。
「え、でも…」
「ほら、早くしないと溶けちまう」
無理矢理押し付けると、名前チャンは戸惑いながらもパフェを一口掬って口へ運んだ。
「美味しい!」
久々に彼女の心からの笑顔を見た気がした。
女子は甘いモンが好きなのは知っているが、ここまでの効果があるものなのか。
笑顔の彼女を見て俺の口角も上がっていた。
「ごめんね、気を遣わせて」
「気なんて遣ってないけどォ。俺は自分がしたいことするだけだし」
「優しいね、荒北くん。最後にいい思い出ができてよかった」
まるで遠いところへ引っ越すような口ぶり。
俺の鼻が疼いた。
今日を逃したら名前チャンの本音が一生聞けない気がする。
思っていることを全部聞かなければ。
「名前チャン」
俺が切り出すと彼女は目を丸くした。
俺の顔に何かついてンのか?
そう思ったが目線自体が合っていない気がする。
「荒北くん?」
後ろから声を掛けられた。
振り向くとそこには神崎が立っていた。
