狼さんと一緒/荒北
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めんどくせェ・・・。
結局神崎のIDは登録することなくポケットへしまい込んだままなのだが、たまに廊下ですれ違うときにちらちらと視線を感じる。
野性の勘が鋭い自分を心底憎んだ。
視線なんて気づかない鈍感な人間に今はなりたい。
あの差入れをもらってから初めて会ったときはさすがに感想の1つぐらい礼儀だと思って「うまかった、サンキュ」と声を掛けた。
その時彼女が照れ笑いしたと同時に何か言いたげだったことに気づかないふりをして俺はその場を去った。
その「何か」が分からないほど俺は鈍感じゃなかった。
遠くの方で神崎と喋っている友達が「もしかしらた気づかなっかただけかも」とかなんとか言っているのもうっすら聞こえてきた。
俺は「はァ」とため息を一つ吐いた。
**********
「荒北くん、部活頑張ってね」
ニコリとほほ笑んで部活へ行く俺を見送ってくれる名前チャンに、ドラマの「あなた仕事頑張って、いってらっしゃい」的なあれと重ねつつ勝手に満ち足りた気持ちで部活へ向かった。
部室へ向かう道すがら、校舎の壁にもたれ掛かっている神崎を見つけた。
「クン」
俺の鼻が反応した。
何となく嫌な予感がしたので俺は道を変えようと踵を返した。
自意識過剰かもしれねェけど。
けれど背中を向けたとき「荒北くん!」と呼ばれてしまいビクッと肩が上がった。
反応してしまった手前振り向かないわけにも行かず、身体を反転させた。
「何ンか用ォ?」
「もうすぐ部活だよね、良かったらどうぞ」
そう言って彼女は紙袋を差し出した。
中を見るとタッパーが入っていて漫画で出てくる定番「レモンのハチミツ漬」だ。
「いや・・・なんつーかこういうのはもう・・・」
俺は丁重に断ろうとしたのだがそれに気づいた神崎の顔が曇った。
「迷惑?」
うっ・・・。
俺は名前チャン以外の女子に慣れてねェから、こういういかにも傷つきましたみたいな顔
されると困る。
これで「うぜェ」とか言ったら次の日から学年中に村八分にされる。
どうすっかなァ・・・。
頭を悩ませていると遠くの方で壁から3つ頭が出ていることに気づいた。
俺が顔を上げた瞬間消えたが見逃さなかった。
あれは新開、東堂、真波だ。
アー・・・心底めんどくせェ。
「わァーったから」
俺は紙袋を受け取った。
「ありがとう」
「じゃァな」
一刻もこの場を去ってあの3人が余計なことを言わないように釘を刺さなければならない。
そう思いとりあえず受け取ってその場を離れた。
部室へ急いだものの時すでに遅し。
部室を開けた瞬間部員に取り囲まれた。
「おい!荒北、お前羨ましすぎるだろ!」
「神崎さんの差し入れ俺にも!」
わらわらと群がる男子(特に3年)に紙袋を渡した。
「欲しけりゃやるよ・・・おい、新開、東堂、真波!!」
覗き魔3人を俺は締め上げた。
「荒北、お前神崎さんからとはやるな」
東堂の発言にピキッとこめかみに青筋が立つのを感じた。
「昨日、名前チャンがどーのこーのとか言ってたくせにお前ェはどっちの味方なんだヨ」
「俺は女の子の味方だ!」
どん!と胸を叩く東堂に冷ややかな視線を送った。
「どうするんだ、靖友」
新開にそう問われ首を傾げた。
「昨日のIDはどうしたんだ?」
「別にどうでもいいだろォ」
そういやポケットに入れっぱなしだ。
「おい!荒北、見ろよ!」
さっき紙袋を渡した連中の1人が俺に小さい紙きれを渡してきた。
「げっ・・・」
「ヒュウッ」
それは昨日差し入れの中に入っていた物と同じだった。
「随分熱烈みたいじゃないか」
俺はため息をついて昨日と同じように鞄に突っ込んだ。
「とっとと部活始めよォぜ、福チャン」
どんどんめんどくせェことに巻き込まれている気がする・・・。
俺は考えたくなくて自転車に跨った。
結局神崎のIDは登録することなくポケットへしまい込んだままなのだが、たまに廊下ですれ違うときにちらちらと視線を感じる。
野性の勘が鋭い自分を心底憎んだ。
視線なんて気づかない鈍感な人間に今はなりたい。
あの差入れをもらってから初めて会ったときはさすがに感想の1つぐらい礼儀だと思って「うまかった、サンキュ」と声を掛けた。
その時彼女が照れ笑いしたと同時に何か言いたげだったことに気づかないふりをして俺はその場を去った。
その「何か」が分からないほど俺は鈍感じゃなかった。
遠くの方で神崎と喋っている友達が「もしかしらた気づかなっかただけかも」とかなんとか言っているのもうっすら聞こえてきた。
俺は「はァ」とため息を一つ吐いた。
**********
「荒北くん、部活頑張ってね」
ニコリとほほ笑んで部活へ行く俺を見送ってくれる名前チャンに、ドラマの「あなた仕事頑張って、いってらっしゃい」的なあれと重ねつつ勝手に満ち足りた気持ちで部活へ向かった。
部室へ向かう道すがら、校舎の壁にもたれ掛かっている神崎を見つけた。
「クン」
俺の鼻が反応した。
何となく嫌な予感がしたので俺は道を変えようと踵を返した。
自意識過剰かもしれねェけど。
けれど背中を向けたとき「荒北くん!」と呼ばれてしまいビクッと肩が上がった。
反応してしまった手前振り向かないわけにも行かず、身体を反転させた。
「何ンか用ォ?」
「もうすぐ部活だよね、良かったらどうぞ」
そう言って彼女は紙袋を差し出した。
中を見るとタッパーが入っていて漫画で出てくる定番「レモンのハチミツ漬」だ。
「いや・・・なんつーかこういうのはもう・・・」
俺は丁重に断ろうとしたのだがそれに気づいた神崎の顔が曇った。
「迷惑?」
うっ・・・。
俺は名前チャン以外の女子に慣れてねェから、こういういかにも傷つきましたみたいな顔
されると困る。
これで「うぜェ」とか言ったら次の日から学年中に村八分にされる。
どうすっかなァ・・・。
頭を悩ませていると遠くの方で壁から3つ頭が出ていることに気づいた。
俺が顔を上げた瞬間消えたが見逃さなかった。
あれは新開、東堂、真波だ。
アー・・・心底めんどくせェ。
「わァーったから」
俺は紙袋を受け取った。
「ありがとう」
「じゃァな」
一刻もこの場を去ってあの3人が余計なことを言わないように釘を刺さなければならない。
そう思いとりあえず受け取ってその場を離れた。
部室へ急いだものの時すでに遅し。
部室を開けた瞬間部員に取り囲まれた。
「おい!荒北、お前羨ましすぎるだろ!」
「神崎さんの差し入れ俺にも!」
わらわらと群がる男子(特に3年)に紙袋を渡した。
「欲しけりゃやるよ・・・おい、新開、東堂、真波!!」
覗き魔3人を俺は締め上げた。
「荒北、お前神崎さんからとはやるな」
東堂の発言にピキッとこめかみに青筋が立つのを感じた。
「昨日、名前チャンがどーのこーのとか言ってたくせにお前ェはどっちの味方なんだヨ」
「俺は女の子の味方だ!」
どん!と胸を叩く東堂に冷ややかな視線を送った。
「どうするんだ、靖友」
新開にそう問われ首を傾げた。
「昨日のIDはどうしたんだ?」
「別にどうでもいいだろォ」
そういやポケットに入れっぱなしだ。
「おい!荒北、見ろよ!」
さっき紙袋を渡した連中の1人が俺に小さい紙きれを渡してきた。
「げっ・・・」
「ヒュウッ」
それは昨日差し入れの中に入っていた物と同じだった。
「随分熱烈みたいじゃないか」
俺はため息をついて昨日と同じように鞄に突っ込んだ。
「とっとと部活始めよォぜ、福チャン」
どんどんめんどくせェことに巻き込まれている気がする・・・。
俺は考えたくなくて自転車に跨った。
