狼さんと一緒/荒北
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来週は祝日が運良く金曜に当たり3連休がある。
荒北くんが教室に忘れ物をして部活に行ってしまったことに気づいたので私は部室へと届けに行く道中、次の3連休何をするか考えていた。
友達誘ったら遊んでくれるかなぁ。
映画、ウインドウショッピング、カラオケ…色々な娯楽が私の頭を巡る。
そうこうしているうちに自転車競技部の部室に着いた。
拳を作りノックをすると、事前に連絡をしていたので荒北くんが出てきた。
「名前チャン、わざわざアリガト」
「どういたしまして」
じゃあ、部活頑張ってねと踵を返そうとすると中から東堂くんが飛び出してきた。
「名字ちゃんがいるではないか!!」
いきなり飛び出してきたかと思えば肩を掴まれた。
「と…東堂くん。こんにちは」
「東堂、離しやがれ」
荒北くんが私の肩に掛かっている東堂くんの手を振り払った。
「荒北!名字ちゃんにあの件頼めばいいのではないか?」
あの件?
話の先が見えず荒北くんに視線を移した。
「ぜってェー、ダメ」
「ねぇ、何の話?」
荒北くんは断っているが、何の話か気になった。
「今度の3連休、俺ら合宿するんだけどその時にマネージャー的な子がいたらいいなって話になってそこにちょうど名前ちゃんが来たんだよ」
新開くんがいつものパワーバーを齧りながら出て来た。
そういえば箱根学園は強豪なのに女子マネージャーがいない。
1.2年が持ち回りで雑用してるって言ってたっけ。
「マネージャー…」
「女子マネージャーって色々問題になること多いから取らないんだけど、合宿だけだし名前ちゃんなら安心だし」
「新開も同意見ではないか!名字ちゃん、やってくれんかね」
私は今まで部活に入ったことがなく青春というものを味わっていない。
全国連覇を狙う強豪チームのサポートをできる機会なんて普通はない。
それにもし私が少しでもみんなの役に立てるなら断る理由なんてない。
「寿一はどうだ?」
新開くんが部室にいる福富くんに声を掛けた。
「うむ、もし都合が悪くないのであればぜひお願いしたい」
相変わらず表情を崩さないままだが、福富くんも賛成している。
「ぜひやらせて…」
「だからァ!ダメだってェ!」
私が了承の返事をしようとしたところを荒北くんに遮られた。
荒北くんが声を荒げることはよくあるが、その対象が私になることは今まで一度もなかった。
私の肩が大きく揺れたことに気づいた荒北くんは気まずそうな表情を浮かべた。
「……とにかく、俺は反対だからァ」
荒北くんは機嫌を悪くしたまま部室に戻った。
「あいつは何を怒っているんだ?」
東堂くんは腕を組み呟いた。
「名前ちゃん、気にすることないよ。俺らが説得するし」
新開くんが気を使って私に話しかけてくれる。
「あ…でも、よく考えたら私みたいな素人が中途半端な気持ちでやっちゃうと迷惑かかると思うし…」
やってみたいけれど、この部は本気で全国優勝を狙っている。
そこに素人が合宿に参加したらサポートどころか邪魔になりかねない。
きっと荒北くんは士気を削がれるのが嫌なのだ。
「荒北くんが反対するのは正しいと思う」
私は眉毛を下げて答えた。
「せっかく誘ってくれたのにごめんね。みんな、部活頑張って」
私は踵を返して自転車競技部を後にした。
「荒北!」
「あンだよ。東堂…」
こいつの声は脳に響く。
俺はストレッチを続けた。
「さっきのはなんなんだ!なぜ名前ちゃんの合宿参加に反対なのだ」
「うるせェな」
「名前ちゃん、悲しそうだったぞ」
新開の一言でストレッチしていた身体が一瞬止まった。
「自分がいると迷惑かかるから…荒北が言っていることは正しいって言ってたな、なぁ寿一?」
福チャンを見ると「うむ」と頷いていた。
「本当はそんな理由じゃないんだろ?」
完全にストレッチしていた手は止まっていた。
「部活が始まるまであと10分ある。まだ彼女もその辺にいると思うから話して来たらどうだ?」
俺の脳裏に名前チャンの悲しそうな顔が浮かんだ。
「ったく」
俺は身体を起こすとジャージを羽織り部室を飛び出した。
「やれやれ、世話がやけるな」
後ろからそんな声が聞こえたが無視した。
彼女は新開の言うとおりゆっくり歩いていたのですぐにその背中を捉えた。
「名前チャン!」
名前を呼ばれて振り返った名前チャンと目があった。
「ゴメン」
その距離が1メートルになった時頭を思いっきり下げた。
「え?」
名前チャンはいきなり謝罪する俺に驚いていた。
「いきなり怒鳴っちまって…」
頭を起こすと彼女は慌てていた。
「いいよいいよ!荒北くんが反対するのは当たり前のことだし…」
名前チャンは勘違いをしている。
俺は迷惑だからとかそんな理由で反対しているわけじゃない。
「ほら、よく考えたら私、友達みたいにちゃきちゃきしてるタイプじゃないし…」
「いや、そうじゃなくて…」
俺は頭を掻いた。
「別に、名前チャンが迷惑とかそんなんじゃなくてェ…むしろ来てくれたら嬉しいケド…」
歯切れの悪い俺に名前チャンは首を傾げる。
「心配なンだヨ」
「心配?」
「チャリ部は大所帯で男ばっかだから」
名前チャンは目を丸くしている。
「監督とコーチもいるし変なやつはいないと思うケド、それでも心配」
名前チャンはチャリ部に出入りしているから知り合いも多いし、俺の目があるから絶対変なことする奴はいないと思うがそれでも心配なものは心配だった。
合宿になれば俺もチャリに集中するから四六時中一緒にいることはできない。
俺の真意が理解できたのか名前チャンは嬉しそうに笑顔を見せた。
「迷惑じゃなかったんだね、よかった」
「当たり前じゃン」
名前チャンは腕組みをしてうーんと唸った。
「あのね、それなら友達も誘ったらだめかな?」
「委員長?」
「私ね、もし少しでもみんなの役に立てるなら頑張りたいなって思って。荒北くんが女子1人になることを心配してるならこれで解決できるかなって…」
俺は委員長の顔を思い浮かべた。
確かにあいつなら万一のことがあっても男1人沈められそうだもんな。
「それに荒北くんのサポートできるなら嬉しい」
俺もダルいと思ってた合宿に名前チャンがいるなら俄然やる気が出る。
結局、委員長も合宿に参加できるということで3日間女子マネージャーが2人入ることになった。
まァ、合宿始まるまでに全員に釘さしとけばいいか。
さっきまでは心配で堪らなかったはずが今は合宿が待ち遠しくなった俺は超現金だと思う。
荒北くんが教室に忘れ物をして部活に行ってしまったことに気づいたので私は部室へと届けに行く道中、次の3連休何をするか考えていた。
友達誘ったら遊んでくれるかなぁ。
映画、ウインドウショッピング、カラオケ…色々な娯楽が私の頭を巡る。
そうこうしているうちに自転車競技部の部室に着いた。
拳を作りノックをすると、事前に連絡をしていたので荒北くんが出てきた。
「名前チャン、わざわざアリガト」
「どういたしまして」
じゃあ、部活頑張ってねと踵を返そうとすると中から東堂くんが飛び出してきた。
「名字ちゃんがいるではないか!!」
いきなり飛び出してきたかと思えば肩を掴まれた。
「と…東堂くん。こんにちは」
「東堂、離しやがれ」
荒北くんが私の肩に掛かっている東堂くんの手を振り払った。
「荒北!名字ちゃんにあの件頼めばいいのではないか?」
あの件?
話の先が見えず荒北くんに視線を移した。
「ぜってェー、ダメ」
「ねぇ、何の話?」
荒北くんは断っているが、何の話か気になった。
「今度の3連休、俺ら合宿するんだけどその時にマネージャー的な子がいたらいいなって話になってそこにちょうど名前ちゃんが来たんだよ」
新開くんがいつものパワーバーを齧りながら出て来た。
そういえば箱根学園は強豪なのに女子マネージャーがいない。
1.2年が持ち回りで雑用してるって言ってたっけ。
「マネージャー…」
「女子マネージャーって色々問題になること多いから取らないんだけど、合宿だけだし名前ちゃんなら安心だし」
「新開も同意見ではないか!名字ちゃん、やってくれんかね」
私は今まで部活に入ったことがなく青春というものを味わっていない。
全国連覇を狙う強豪チームのサポートをできる機会なんて普通はない。
それにもし私が少しでもみんなの役に立てるなら断る理由なんてない。
「寿一はどうだ?」
新開くんが部室にいる福富くんに声を掛けた。
「うむ、もし都合が悪くないのであればぜひお願いしたい」
相変わらず表情を崩さないままだが、福富くんも賛成している。
「ぜひやらせて…」
「だからァ!ダメだってェ!」
私が了承の返事をしようとしたところを荒北くんに遮られた。
荒北くんが声を荒げることはよくあるが、その対象が私になることは今まで一度もなかった。
私の肩が大きく揺れたことに気づいた荒北くんは気まずそうな表情を浮かべた。
「……とにかく、俺は反対だからァ」
荒北くんは機嫌を悪くしたまま部室に戻った。
「あいつは何を怒っているんだ?」
東堂くんは腕を組み呟いた。
「名前ちゃん、気にすることないよ。俺らが説得するし」
新開くんが気を使って私に話しかけてくれる。
「あ…でも、よく考えたら私みたいな素人が中途半端な気持ちでやっちゃうと迷惑かかると思うし…」
やってみたいけれど、この部は本気で全国優勝を狙っている。
そこに素人が合宿に参加したらサポートどころか邪魔になりかねない。
きっと荒北くんは士気を削がれるのが嫌なのだ。
「荒北くんが反対するのは正しいと思う」
私は眉毛を下げて答えた。
「せっかく誘ってくれたのにごめんね。みんな、部活頑張って」
私は踵を返して自転車競技部を後にした。
「荒北!」
「あンだよ。東堂…」
こいつの声は脳に響く。
俺はストレッチを続けた。
「さっきのはなんなんだ!なぜ名前ちゃんの合宿参加に反対なのだ」
「うるせェな」
「名前ちゃん、悲しそうだったぞ」
新開の一言でストレッチしていた身体が一瞬止まった。
「自分がいると迷惑かかるから…荒北が言っていることは正しいって言ってたな、なぁ寿一?」
福チャンを見ると「うむ」と頷いていた。
「本当はそんな理由じゃないんだろ?」
完全にストレッチしていた手は止まっていた。
「部活が始まるまであと10分ある。まだ彼女もその辺にいると思うから話して来たらどうだ?」
俺の脳裏に名前チャンの悲しそうな顔が浮かんだ。
「ったく」
俺は身体を起こすとジャージを羽織り部室を飛び出した。
「やれやれ、世話がやけるな」
後ろからそんな声が聞こえたが無視した。
彼女は新開の言うとおりゆっくり歩いていたのですぐにその背中を捉えた。
「名前チャン!」
名前を呼ばれて振り返った名前チャンと目があった。
「ゴメン」
その距離が1メートルになった時頭を思いっきり下げた。
「え?」
名前チャンはいきなり謝罪する俺に驚いていた。
「いきなり怒鳴っちまって…」
頭を起こすと彼女は慌てていた。
「いいよいいよ!荒北くんが反対するのは当たり前のことだし…」
名前チャンは勘違いをしている。
俺は迷惑だからとかそんな理由で反対しているわけじゃない。
「ほら、よく考えたら私、友達みたいにちゃきちゃきしてるタイプじゃないし…」
「いや、そうじゃなくて…」
俺は頭を掻いた。
「別に、名前チャンが迷惑とかそんなんじゃなくてェ…むしろ来てくれたら嬉しいケド…」
歯切れの悪い俺に名前チャンは首を傾げる。
「心配なンだヨ」
「心配?」
「チャリ部は大所帯で男ばっかだから」
名前チャンは目を丸くしている。
「監督とコーチもいるし変なやつはいないと思うケド、それでも心配」
名前チャンはチャリ部に出入りしているから知り合いも多いし、俺の目があるから絶対変なことする奴はいないと思うがそれでも心配なものは心配だった。
合宿になれば俺もチャリに集中するから四六時中一緒にいることはできない。
俺の真意が理解できたのか名前チャンは嬉しそうに笑顔を見せた。
「迷惑じゃなかったんだね、よかった」
「当たり前じゃン」
名前チャンは腕組みをしてうーんと唸った。
「あのね、それなら友達も誘ったらだめかな?」
「委員長?」
「私ね、もし少しでもみんなの役に立てるなら頑張りたいなって思って。荒北くんが女子1人になることを心配してるならこれで解決できるかなって…」
俺は委員長の顔を思い浮かべた。
確かにあいつなら万一のことがあっても男1人沈められそうだもんな。
「それに荒北くんのサポートできるなら嬉しい」
俺もダルいと思ってた合宿に名前チャンがいるなら俄然やる気が出る。
結局、委員長も合宿に参加できるということで3日間女子マネージャーが2人入ることになった。
まァ、合宿始まるまでに全員に釘さしとけばいいか。
さっきまでは心配で堪らなかったはずが今は合宿が待ち遠しくなった俺は超現金だと思う。
